19年5月の書籍雑誌推定販売金額は755億円で、前年比10.7%減。
書籍は388億円で、同10.3%減。
雑誌は367億円で、同11.1%減。その内訳は月刊誌が291億円で、同9.5%減、週刊誌は75億円で、同16.9%減。
返品率は書籍が46.2%、雑誌は49.2%で、月刊誌は50.6%、週刊誌は42.9%。
前月の反動で、全体の推定販売金額、書籍、雑誌の推定販売金額がトリプルで二ケタ減という、これまでにない最悪のデータになってしまった。
とりわけ週刊誌の16.9%減は『週刊少年ジャンプ』や『週刊現代』などが1号少なかったことも要因とされるが、かつてなかったマイナスである。
たまたま日本ABC協会の「ABC雑誌販売部数表2018年下期(2018年7~12月)」が出され、こちらも同11.9%減となっていることからすれば、2019年上期のデータもさらなるマイナスで推移していくと予測される。
それは書籍、雑誌の返品率も同様で、双方が50%近くに及んでいる月例も初めてだと思われる。
いずれにしても、推定販売金額と返品率が最悪の状況を迎えている中で、19年の後半に入っていくことになる。
1.アルメディア調査によれば、2019年5月1日時点での書店数は1万1446店で、前年比580店の減少。
売場面積は126万872坪で、4万7355坪のマイナス。
1999年からの書店数の推移を示す。
年 | 書店数 | 減少数 |
1999 | 22,296 | − |
2000 | 21,495 | ▲801 |
2001 | 20,939 | ▲556 |
2002 | 19,946 | ▲993 |
2003 | 19,179 | ▲767 |
2004 | 18,156 | ▲1,023 |
2005 | 17,839 | ▲317 |
2006 | 17,582 | ▲257 |
2007 | 17,098 | ▲484 |
2008 | 16,342 | ▲756 |
2009 | 15,765 | ▲577 |
2010 | 15,314 | ▲451 |
2011 | 15,061 | ▲253 |
2012 | 14,696 | ▲365 |
2013 | 14,241 | ▲455 |
2014 | 13,943 | ▲298 |
2015 | 13,488 | ▲455 |
2016 | 12,526 | ▲962 |
2017 | 12,026 | ▲500 |
2018 | 11,446 | ▲580 |
島根県だけが前年同数で、その他の全都道府県で減少。その中でもマイナス幅が大きいのは東京都81店、大阪府67店、北海道39店、愛知県33店、神奈川県、福岡県32店である。
東京都の場合、書店数は1222店だが、そのうち日書連会員店は324店で、後者は東京古書組合加盟の古本屋の半分という事態となっている。
またアルメディの書店数は売場面積を有しない本部、営業所も含んでいるので、実際の書店数は1万174店であり、来年は1万店を下回ることは確実だ。それとパラレルに、東京都日書連会員数も300店を割りこみ、全国日書連会員数も現在の3112から2000台へと落ちこんでいくだろう。
1999年の全国書店数は2万2296店だったわけだから、半減してしまったことになるけれど、下げ止まる気配はまったくない。
2.アルメディアによる「取次別書店数と売場面積」も挙げておこう。
取次会社 | 書店数 | 前年比(店) | 売場面積 | 前年比 | 平均面積 | 売場面積占有率 | 前年比 (ポイント) |
トーハン | 4,404 | ▲84 | 493,289 | ▲982 | 112 | 39.1 | 1.3 |
日本出版販売 | 3,900 | ▲352 | 615,859 | ▲46,681 | 158 | 48.8 | ▲1.8 |
大阪屋栗田 | 979 | ▲78 | 116,964 | 66 | 119 | 9.3 | 0.4 |
中央社 | 399 | ▲9 | 21,190 | ▲268 | 53 | 1.7 | 0.1 |
その他 | 943 | ▲19 | 13,570 | 510 | 14 | 1.1 | 0.1 |
不明・なし | ー | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
合計 | 10,625 | ▲542 | 1,260,872 | ▲47,355 | 119 | 100.0 | ― |
前期のデータは本クロニクル122で既述しているが、日販は同130でふれたように、TSUTAYAの大量閉店もあって、マイナスは前年の222店に対し、352店に及び、取引書店は4000店を下回ってしまった。売場面積にしても、4万6681坪の減少で、1のトータルとしての売場面積の減少は4万7355坪であるから、今期のマイナスは、日販帳合書店の閉店によって大半が占められていると見なすこともできよう。
トーハンは前年の130店に対し、84店とマイナスは縮小しているが、大阪屋栗田は同72店が78店と増加し、こちらも取引書店はついに1000店を割りこんでいる。
しかも19年に入って書店の閉店は加速していて、この5月までにすでに350店近くに及び、その一方で、出店は極めて少ない。来期の閉店は今期の542店を確実に超えてしまうであろう。
3.「喜久屋書店BOOK JAM」を運営していた「BOOK JAM K&S」が破産。
同社は2007年にコープさっぽろの100%子会社として設立され、ピーク時には16店を有し、11年には年商13億6600万円を計上していた。しかしその後、売上高の減少と閉店が続き、昨年は年商7億6100万円まで落ちこみ、赤字決算、債務超過に及んでいたとされる。負債は2億3000万円。
この破産が物語るように、5月には本部のBOOK JAM K&S、及び喜久屋書店BOOK JAM 8店の閉店が伝えられている。取次はトーハンで、売場面積は合わせて700坪となる。その立地は6店がコープさっぽろ内であり、それなりに恵まれた立地とコープ会員に支えられていたにもかかわらず、破産へと追いやられてしまった。その事実は、コープにおいても出版物販売も難しくなっていることを示していよう。
5月の閉店も76店を数え、TSUTAYAは 8店、売場面積は喜久屋書店BOOK JAMの倍以上の1680坪となっている。また文教堂も7店、1000坪を超え、フタバ図書TERAワンダーシティ店に至っては1店だけだが、1100坪という想像を絶する閉店である。
これらの閉店状況は書店市場が最悪の事態を迎えていることを告げている。
なおキクヤ図書販売の「喜久屋書店」と「喜久屋書店BOOK JAM」は、資本関係はなく、納品先で、「喜久屋書店小樽店」「同帯広店」は通常通り営業のリリースが「喜久屋書店」から出されている。
4.日本雑誌販売が債務整理。
同社は1955年創業、雑誌、コミックス、アダルト誌を主とする取次で、ピーク時の1993年には売上高59億円、書店、ゲームショップ、インターネットカフェなど1000店を超える取引実績を有していた。
しかし中小書店の廃業、閉店が相次ぎ、雑誌売上も低迷し、18年には売上高22億円、取引先も500店まで減少していた。
負債は5億円で、7月には自己破産申請するようだ。
日本雑誌販売は多くのアダルト誌を持っていた取次で、太洋社帳合の書店も引き継いでいたこともあり、小取次の破綻だが、その波紋は小さなものではないように思われる。
折しも『出版月報』(6月号)が特集「変容するアダルト誌」を組んでいる。そこで戦後のカストリ雑誌から2010年のDVD付アダルト誌に至る歴史と変化、コンビニでの販売中止、読者の高齢化、アダルト誌の行方などが論じられている。
これは『出版月報』としては出色の企画で、「雑誌市場の未来を予見する? アダルト誌」という見出しは、的を射ているかもしれない。それに私見を添えておけば、戦後のアダルト誌とコミック誌の出現は軌を一にしているし、アダルト誌の行方は「コミック誌の未来をも予見しているようである。
5.日販の連結子会社25社を含めた連結売上高は5457億6100万円で、前年比5.8%減。
営業利益は10億2600万円、同56.6%減、経常利益は10億8400万円、同57.5%減、純利益は2億900万円の損失で、2000年以来の19年ぶりの赤字決算。
そのうちの日販やMPDなどの「取次事業」売上高は5052億1700万円、同6.3%減、営業損失3億3700万円。
日販単体売上高に関しては、下記に示す。
金額 | 増減額 | 増加率 | 返品率 | |
書籍 | 216,858 | ▲11,090 | ▲4.9 | 31.9 |
雑誌 | 137,603 | ▲12,837 | ▲8.5 | 45.8 |
コミックス | 65,137 | 431 | 0.7 | 29.2 |
開発商品 | 26,915 | ▲620 | ▲2.3 | 41.5 |
計 | 446,515 | ▲24,116 | ▲5.1 | 37.1 |
MPDについては同社の「2018年度決算報告」を見てほしい。
「小売事業」売上高は639億1300万円、同0.5%増、営業損失2100万円。グループ書店は10社、266店。
6.トーハンの単体売上高は3971億6000万円で、前年比7.1%減。
営業利益は42億7200万円、同15.2%減、経常利益は21億3900万円、同29.3%減、当期純利益は6億5200万円、同64.2 %減で、2年連続減収減益。
日販同様に売上高内訳を示す。
金額 | 増減額 | 前年比 | 返品率 | |
書籍 | 169,734 | ▲4,324 | ▲2.5 | 40.8 |
雑誌 | 133,105 | ▲10,608 | ▲7.4 | 48.5 |
コミックス | 43,940 | ▲36 | ▲0.1 | 30.1 |
開発商品 | 50,379 | ▲15,335 | ▲23.4 | 17.8 |
計 | 397,160 | ▲30,304 | ▲7.1 | 40.7 |
連結子会社16社を含む連結決算の売上高は4166億4000万円、同6.2%減。
営業利益は38億8700万円、同12.7%減、経常利益は18億1900万円、同24.7%減、当期純利益は5億3100万円、同30.0 %減。
これはあらためていうまでもないけれど、日販にしてもトーハンにしても、連結決算で、「事業領域の拡大」や持株会社移行によって、ポスト取次をめざしているようなイメージを生じさせている。
しかし今回の決算においても、取次事業シェアは日販が93%、トーハンは95%に及び、両社が紛れもない取次の他ならないことは明らかだ。それゆえに本クロニクルでもトーハンのいうところの「本業の回復」にふれてきたが、この「本業の回復」がなされないかぎり、必然的に赤字が累積していく段階へと入るであろうし、もはやそれが否応なく現実化していることを日販の赤字は浮かび上がらせている。
『日経MJ』(6/3)の一面で、プロデュース事業を手がけるスマイルズが紹介されていたことで知ったが、日販の「文喫」も店名も含め、スマイルズの企画だという。日販やCCC=TSUTAYAの周辺にはこうしたコンサルタントが様々にパラサイトし、新たな複合型書店、パルコ型システム、ツタヤ図書館なども、そのようにして出現してきたのだろう。
トーハンにしても、8月には旧京都支店跡地にホテルが開設され、本社の再開発においても、6月にトーハン別館の解体工事が始まり、12月に新本社建設が着工されるという。おそらくこのような不動産プロジェクトにも、多くのコンサルタントが関わっていると考えられる。
コンサルタントにあやつられ、失敗に終わった地方の行政市場プロジェクトをいくつも見てきた。取次がその轍を踏まないように祈るばかりだ。
7.トーハンは文具製造のデルフォニックスを子会社化。
デルフォニックスはリングノートの「ロルバーン」などの機能性やデザイン性が高い文具を特徴とする。それらの自社ブランドに加え、国内外の文具や雑貨を扱うセレクトショップを、首都圏を中心に30店舗展開。18年売上高は40億円。
トーハンは既存の書店にデルフォニックス文具を合わせた複合店舗開発や、デルフォニックスの海外販売などを進める。
本連載131でふれてきたように、デルフォニックスの子会社化も、フィットネスジムの運営、サービス付き高齢者住宅の開業などに続く、トーハンの「事業領域の拡大」ということになろう。そしてさらに6で言及したホテル開設、本社をめぐる不動産プロジェクトが始まっていくのである。
それは「本業の回復」と乖離するばかりのプロセスをたどっていくだろう。
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8.三洋堂HDの決算発表によれば、売上高は204億円で、前年比4.4%減。
営業利益は3200万円、同86.9%減、経常利益は6300万円、同77.2%減、当期純利益は3億800万円の損失。
続けて三洋堂HDの決算を挙げたのは、前回の本クロニクルでもふれておいたように、19年は純損失3億円が予想されていたこと、筆頭株主がトーハンで、フィットネスや古本などの「ブックバラエティストア」を推進している三洋堂こそは、「事業領域の拡大」を実践する書店に他ならないからだ。すでに「書店」売上は204億円のうちの129億円、63%のシェアに縮小している。
しかし来期もフィットネス事業投資、出店、既存店改造の計画もあって、純損失1億3000万円が予想されている。取次と異なり、書店の場合、撤退とリニューアルコストが必然的に生じ、「事業領域の拡大」とのバランスが難しいことを伝えていよう。
9.アメリカの大手書店チェーンで627店舗を有するバーンズ&ノーブルは、ヘッジファンドのエリオット・マネジメントに6億8300万ドルで自社の売却に合意したと発表。
18年にエリオット・マネジメントは英国の大手書店チェーンのウォーターズ・ストーンも買収していて、ウォーターズ・ストーンのCEOジェイムズ・ドーントがB&NのCEOも兼ねるとされる。
これらの海外書店事情はつい最近まで、『出版ニュース』の「海外出版レポート」でその詳細を確認できたのだが、3月の休刊によって、それもかなわぬことになってしまった。本当に残念であるというしかない。海外とはいえ、このような大手書店チェーンのM&Aの行方はどうなるのだろうか。
10.地方・小出版流通センターの決算も出された。 売上高10億2181万円、前年比9.25%減。
「同通信」No514は次のように記している。
経常利益は182万円となりましたが、取次・栗田出版販売、太洋社、東邦書籍の倒産債権157万円を特別損失で処理し、純益68万円という苦しい決算です。
昨年後半期の売上は前年比13.7%減となっており、3年連続の赤字決算は免れたものの、今後、この縮小傾向が上向く可能性はほぼないと思いますので、役割機能を継続維持しつづけるためには規模の縮小を検討せざるを得ないと考えています。
最後に述べられた「この縮小傾向が上向く可能性はほぼないと思いますので、役割機能を継続維持しつづけるためには規模の縮小を検討せざるを得ないと考えています」は、とりわけ大手出版社、取次、書店にとっても深刻な問題として、すでに現実化している。
11.日教販とNECはデジタル教科書・教材、学習アプリなどの流通や普及活動について業務提携。
日教販は教科書発行者社など教育系出版社1000社と取引があり、書店を通じて全国の学校への流通網を有する。一方で、NECは学校向けパソコン、タブレット端末、最適な学習コンテンツを見出すAI技術を持つ。両社の業務提携はシナジー効果が大きく、デジタル学習コンテンツやICサービスを提供していくとされる。
この背景にあるのは4月から改正学校教育法が施行され、小中高校の授業で、デジタル教科書と紙版教科書を併用できるようになったことだ。
それに加え、2020年度には小学校を始めとして、プログラミング学習の導入などのICT(情報通信技術)に関わる教育が強化されん、中高校でもデジタル教科書の活用が進むと予想されているからだ。
とすれば、デジタル教科書の販売権はどこが握ることになるのだろうか。
12.小学館の決算が出された。
売上高は970億5200万円、前年比2.6%増、2年連続の増収で、当期利益は35億1800万円、4年ぶりの黒字決算。
しかし内訳を見てみると、「出版売上」は544億円、同4.1%減に対し、「デジタル収入」205億円、同16.0%増となっている。デジタル部門が200億円を超えたのは初めてで、その売上の90%以上がコミックスだとされる。
「出版売上」のうちの「コミックス」は183億円だから、紙とデジタルはほぼ同じで、来期はデジタルが上回ることになるだろう。
これは本クロニクル131で挙げておいた講談社の決算と共通している。
13.カドカワの連結決算は売上高2086億500万円、前年比0.9%増、営業利益は27億700万円、同13.9 %減、経常利益は42億500万円、同13.2%増、当期純損失は40億8500万円で、14年の発足以来、初の赤字となった。
KADOKAWAなどの「出版事業」は 売上高1159億円、同2.9%増、営業利益72億円、同20.9%増と好調だったが、ドワンゴなどの「webサービス事業」が営業損失25億円となったことが影響している。
カドカワは(株)KADOKAWAに商号変更し、その傘下には56の子会社、孫会社が配置されている。それらに加えて、本クロニクル132で取り上げた「ところざわサクラタウン」などの「事業領域の拡大」も繰りこまれていくのである。
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14.ブックオフGHDの連結決算は売上高807億9600万円、前年比0.9%増、営業利益は15億5000万円、同152.6%増、経常利益は21億2000万円、同94.0%増、当期純利益は21億2000万円、前年は8億8900万円の純損失だったので、4年ぶりの黒字転換。
ハグオール事業における催事販売からの撤退、リユース店舗事業の既存店の増収増益が寄与したとされるが、グループ再編に伴う税負担の軽減などの一過性の要素も大きいと見られる。
だが「本」に関しても、前年比2.3%増とされているものの、「ブックオフオンライン事業」は売上高が75億600万円、同22.2%増だが、2億8900万円の営業損失を計上していることからすれば、実質的にマイナスと考えられる。
それに19年3月自演の店舗数は直営店379店、FC店413店となっているので、当初の「本」をメインとするフランチャイズビジネスとしてのブックオフ事業の成長は終わったのではないだろうか。
15.TSUTAYAは書籍、ムックを返品枠付き買切条件で仕入れる方針で、出版社向け説明会を開催し、194社が参加。
取次のいうところの「プロダクトアウトからマーケットイン型し入り」に呼応しているのだろうが、詳細がはっきりしないので、アマゾンの買切仕入れ以上に釈然としない。
TSUTAYAは本クロニクル130などでトレースしてきたように、昨年から大量閉店状況を迎え、それが今年も続いている。それらの大量閉店において、買切の書籍、ムックはどのように処理されるのか。
また『週刊ダイヤモンド』(6/22)でも、レンタルと複合のTSUTAYAはビジネスモデルとして崩壊しているのではないかと言及されている。
その一方で、CCCグループのTマガジンは、雑誌400誌が月額400円で読み放題となる「T-MAGAZINE」の提供を開始している。これが成功すれば、さらなる閉店へとリンクしていくだろう。
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16.図書カードNEXTを発行する日本図書普及の事業、及び決算概況の発表によれば、期中の発行高は397億8900万円、前年比5.1%減で400億円を割った。それに対して、回収高は403億6100万円、同5.4%減で、前年に続き、発行高を上回った。
『出版状況クロニクルⅤ』において、1997年から2015年までの図書券、図書カードの発行高、回収高の推移を示しておいた。
15年は発行高が500億円を割りこむ484億円だったが、今期はついに400億円を下回ってしまった。
それは何よりも加盟店数の激減で、2000年は1万2500店だったのが、19年には5845店と半分以下になってしまったのである。前年比で255店減とされるので、発行高のマイナスはまだまだ続いていくだろう。
17.『週刊ダイヤモンド』(6/1)が「コンビニ地獄 セブン帝国の危機」、『週刊東洋経済』(6/8)が「コンビニ漂流」という特集を組んでいる。
かつては出版業界において、コンビニ批判はタブーだった。
『出版状況クロニクル』の2008年のところで、古川琢也+週刊金曜日取材班の『セブン-イレブンの正体』((株)金曜日)がトーハンから委託配本を拒否されたことを既述している。そうした時代があったことからすれば、このような特集が組まれるのは隔世の感がある。
だがここではそれらの特集にふみこまないが、このようなコンビニ状況、及びスマホ時代を迎えてのコンビニの雑誌売場はこれからどうなっていくのかに注視していきたいと思う。
18.凸版印刷が図書印刷を完全子会社とし、図書印刷は上場廃止となる。
凸版印刷はこれにより、20年連結売上高1兆5200億円、連結営業利益570億円と予測。
このような印刷業界の再編が出版業界にどのような影響や波紋をもたらしていくのか、それが今後の焦点であろう。
すでにDNPによって、出版社や書店などの再編が進められていったのは周知の事実であるからだ。
19.今月の論創社HP「本を読む」㊶は「種村季弘『吸血鬼幻想』」です。
同HPには拙著『古本屋散策』の最初の書評が「矢口英祐ナナメ読み」No12として掲載されています。
よろしければ、拙文ともどもアクセスして下さい。