2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧
◆過去の「謎の作者 佐藤吉郎と『黒流』」の記事 1 東北書房と『黒流』 2 アメリカ密入国と雄飛会『黒流』は全十四章立てで、その第一章は「国境」と銘打たれ、北アメリカとメキシコの国境のシーンから始まっている。それは近代文学の書き出し、及び自然、風…
前回 矢野目源一が伊藤竹酔の国際文献刊行会から『補精学』なる訳書を刊行したことを記しておいた。そこで伊藤の名前を出したこと、及び本連載17 「『竹酔自叙伝』と朝香屋書店」で書き残したこともあるので、それを補足しておきたい。それはマリイ・スト…
まえがき この論稿は四年前に書かれたものである。私が住む地方は日系ブラジル人があふれるようになり、十年ほど前に始まった日系ブラジル人たちとの本格的な混住社会に移行する段階へと至ったことを実感するようになった。日系ブラジル人といっても外見的に…
西谷操が営む操書房刊行のアンリ・ド・レニエの矢野目源一訳『ド・ブレオ氏の色懺悔』を持っていると既述した。その矢野目の名前を久し振りに目にした。それは09年に出た長谷川郁夫の『堀口大學』(河出書房新社)の中においてで、「忘れられた奇才・矢野目…
前回で「ゾラからハードボイルドへ」というタイトルの連載の目的は終わりにこぎつけたのであるが、番外編として、もう一編付け加えておきたい。このような機会を逸すると、あらためて書くこともないように思われるからだ。これまで書いてきたように、私見に…
もう一編、尾崎久彌のことを記す。尾崎の著書に『綵房綺言』があり、これはやはり春陽堂から昭和二年に刊行されている。『綵房綺言』は「自序」の「昨日の花ハ今日の夢。二十歳の夢。三十路の夢。凡て昨日ハ今日より。美しきものぞかし。」の書き出しに示さ…
二一世紀に入ってスウェーデンから送り出されたスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』三部作は、今世紀初頭を飾る力作であり、これまでのミステリ、ハードボイルド、警察小説、スパイ小説、サイコサスペンスなどの物語ファクターの最良のエキスを集約したシ…
秋朱之介の『書物』の寄稿者に尾崎久彌がいる。尾崎の名前は城市郎のチャートに出ているが、それは彼が『江戸軟派研究』を発行していること、及び「変態文献叢書」のうちの『会本雑考』を封酔小史のペンネームで刊行していることによると思われる。しかし尾…
初めてブラック・ダリアを目にしたのは、ケネス・アンガーのHollywood Babylon 2 (Dutton Adult,1984)においてだった。『ハリウッド・バビロン』 についてはこの連載の12で既述しているが、『ハリウッド・バビロン2』 (明石三世訳)も同じくリブロポ…
出版状況クロニクル29(2010年9月1日〜9月30日)『出版状況クロニクル2』 が刊行され、3ヵ月になるが、例によって書評はひとつも出ない。再販委託制問題に加えて、本クロニクルが大手新聞や総合誌などを批判していることも作用しているのだろう。 それでも…