2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
前々回、またしても大阪の宝文館関連のことにふれたので、村田松栄館のことも取り上げておこう。村田松栄館は『全国出版物卸商業協同組合三十年の歩み』や脇坂要太郎の『大阪出版六十年のあゆみ』、湯浅末次郎の『上方の出版と文化』にもよく出てくるし、そ…
これは特価本業界とダイレクトな関係は見えないけれど、前回に続いて大阪の俳句絡みの一冊を取り上げてみる。それは平林鳳二、大西一外を著者とする『新撰俳諧年表』で、大正十二年十二月に発行され、翌年の一月に再版が出されている。発行所は大阪市東区北…
混住社会という言葉が生まれたのは、都市近郊の農村地帯が郊外化する過程において、農家と非農家の混住が始まり、一九七〇年代にはその比率が逆転し、非農家数が農家数を上回ることになり、それが全国的な現象を示すようになったからである。これに続いて八…
特価本業界の辞典について続けてみる。脇坂要太郎の『大阪出版六十年のあゆみ』の中に、出版物への言及はないけれど、前田文進堂とその主人梅吉の名前が出てくる。明治三十年代に立ち上がった出版社のようで、日露戦争の勇士で戦傷者、細君が店を守っていて…
福島の古書ふみくらの佐藤周一が亡くなった。まだ六十代半ばであり、早世というしかない。彼には「出版人に聞く」シリーズに、『震災に負けない古書ふみくら』(論創社)として登場してもらった。しかもそれは胃癌の手術、東日本大震災、原発事故というトリ…
(完全版)かつて「図書館での暗殺計画」(『図書館逍遥』所収)という一文を書き、浦沢直樹の『MONSTER』にふれたことがあった。だがそれは二〇〇一年のことで、『MONSTER』はまだ連載中であり、完結していなかった。タイトルからわかるように、拙稿は主と…
これまで既述してきたように、特価本業界が「造り本」にしても数多くの辞典や事典類を送り出してきたことは紛れもない事実であるけれども、それらの出版物については収集も研究もなされておらず、出版史においても無視されているに等しいと思われる。昭和九…
『全国出版物卸商業協同組合三十年の歩み』の中で一ページが割かれ、そこで紹介されている重要な人物や出版社に関して、ずっと言及してきた。しかしそれらとは別に、異例と思われる四ページにわたって、立項と思い出が語られている人物がいて、それは大京堂…
深作欣二のやくざ映画といえば、ただちに『仁義なき戦い』ということになってしまうが、このシリーズ以外にも秀作があり、一九七〇年代において、『仁義なき戦い』と併走していたし、時代を生々しく表象する作品として送り出されていた。 それらを私の好みか…
前回の東京書院は戦前からの出版社であるとの記述を紹介しておいたが、その出版物については入手していなかった。 しかしまったく偶然ながら、家事に関するカラー口絵などに興味を覚え、気紛れに菊判箱入、ビロード装七百ページ近い『最新実用家事全書』を購…
『全国出版物卸商業協同組合三十年の歩み』をベースにして、それに属する出版社とその周辺、及び出版物に関して、ずっと書いてきたわけだが、同書が刊行されたのは昭和五十六年であるから、すでに三十年以上が過ぎていることになる。この三十年間の日本の出…
前回の黒井千次と同様に、後藤明生も「内向の世代」の一人と目され、一九七〇年前後に団地を舞台とするいくつもの作品を発表している。これらの一連の団地小説は会社を辞めた男と団地を描いた『何?』、週刊誌のゴーストライターと団地の生活、及びその過去…
出版状況クロニクル60(2013年4月1日〜4月30日)イオンがダイエーを子会社化すると発表された。ダイエーが創業以来、初の経営赤字に陥ったのは1998年で、2001年創業者の中内㓛が退任し、02年産業再生法の適用認定を受け、04年産業再生法の支援、07年丸紅、イ…