出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話458 創元文庫とブル−ノ・タウト『忘れられた日本』

戦後の出版ということになるが、創元社は創元文庫も刊行している。こちらは戦後だが、同様に東京支社の企画である。昭和二十六年九月に創刊され、すでに独立していた東京の創元社の同二十九年の倒産を機に廃刊になったと思われる。ちなみに創元文庫創刊年は…

古本夜話457 小林秀雄と創元選書

残念なことに創元社も全出版目録が刊行されておらず、その全貌は定かではない。それは創業期から東京支社を設けたこともあって、大阪だけでなく、東京でも独自といっていいかたちで出版活動が行なわれ、戦後になって東京支店が独立し、倒産に至り、東京創元…

混住社会論96 近藤ようこ『ルームメイツ』(小学館、一九九七年)

「わたしだってふつうよ/女はみんなふつうの女よ」近藤ようこ『移り気本気』 前々回の山田太一の『岸辺のアルバム』のヒロインで、孤独な主婦の田島則子が還暦を迎え、夫の定年を機にして家出したとすれば、それはどのような物語として展開されるだろうか。…

古本夜話456 北尾鐐之助「近畿景観」シリーズと『新近畿行脚』

本連載283と284で、創元社の創業出版及び創業者の矢部良策と東京支店の小林茂の関係などにふれておいた。それから大谷晃一『ある出版人の肖像』において、創元社の創業期が「艸木蟲魚の時代」と銘打たれているように、薄田泣菫の著作の出版を抜きにし…

古本夜話455 知的協力会議『近代の超克』と創元社

文藝春秋社の社史である『文藝春秋三十五年史稿』や『文藝春秋七十年史』において、、戦前戦後の二度にわたって、『文学界』の発行を引き受けるに至った経緯と事情が述べられていないことと同様に、『文藝春秋七十年史[資料編]』にも『文学界』の総目次は…

混住社会論95 鎌田敏夫『金曜日の妻たちへ』(角川文庫、一九八五年)

前回の山田太一の『岸辺のアルバム』の系譜を引き継ぐホームドラマとして、一九八三年に鎌田敏夫の『金曜日の妻たちへ』が放映された。これは『岸辺のアルバム』と異なり、続編も制作され、『大衆文化事典』(弘文堂、一九九一年)に立項されている。それら…

古本夜話454 文学界社発行『文学界』

前回の文化公論社の『文学界』は現在の文芸春秋の『文学界』の前身ということになるけれど、この『文学界』は様々な紆余曲折を経て、現在に至っているといえるだろう。戦後を迎え、文学界社を版元とし、昭和二十二年六月に出された『文学界』七月復刊号から…

古本夜話453 馬込文士村、田中直樹、チップ・トップ書店

本連載448でふれなかったが、原比露志の『世界風流譚』は様々な図版入りの小型艶笑本である。いうなれば、これもコントと見なしていいのかもしれない。この本を読んでいて、以前に同様の小型艶笑本を取り上げたことを思い出した。それは同39の田中直樹…

混住社会論94 山田太一『岸辺のアルバム』(東京新聞社、一九七七年)

山田太一の『岸辺のアルバム』は東京新聞などに連載され、一九七七年にTBSで鴨下信一たちを演出としてテレビドラマ化され、八千草薫、杉浦直樹、中田喜子、国広富之、竹脇無我たちによって演じられた。この『岸辺のアルバム』は、テレビドラマの歴史を塗り替…

出版状況クロニクル81(2015年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル81(2015年1月1日〜1月31日) 14年12月の書籍雑誌推定販売金額は1367億円で、前年比2.1%減。その内訳は書籍同1.5%減、雑誌2.5%減で、雑誌のうちの月刊誌は1.6%減、週刊誌6.7%減。 マイナスが小幅だったのは送品稼働日が前年よりも1日…