2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧
前回「東亜研究叢書」について、その十三冊を挙げ、そのうちの既刊本は五冊だが、どれだけ刊行されたのかは不明だと既述しておいた。また「以下続刊」との記載があったものの、時代状況からすれば、それは困難だったのではないかと推測していたからだ。しか…
2009年に『週刊ダイヤモンド』(9/5号))が「ニッポンの団地」特集を組んでいた。これが現在まで続く団地をめぐる様々な特集や言説、出版などの先駈けになったように思われる。 1955年に日本住宅公団が設立され、翌年に大阪の金岡団地や千葉の稲毛団地の竣…
前回『概観回教圏』における竹内好の「日本」を紹介し、そこで学術研究を目的とするものに回教圏研究所、東亜経済調査局、東亜研究所があるとの指摘を記しておいた。 (『概観回教圏』)満鉄調査部の東亜経済調査局に関しては、本連載564の「大川周明、井筒…
イスラム問題をめぐる日本の状況は大東亜戦争の始まりとともに、さらに注視が高まり、研究も進められていったようで、昭和十七年には回教圏研究所編『概観回教圏』なる一冊が誠文堂新光社から刊行に至っている。 (『概観回教圏』)その口絵写真には東京モスク…
(第1巻) (第11巻) 消費社会の風景はまったく映し出されていないのだが、郊外のニュータウンそのものを舞台とする不気味な物語がずっと書き続けられてきた。それは小説でなく、コミックで、カネコアツシの『SOIL[ソイル]』 という大作である。エンターブレ…
本連載573で、『メッカ巡礼記』の鈴木剛が連合国によって安全な航海を保障された安導券を有する輸送船の阿波丸に乗り、日本をめざしていたが、昭和二十年四月にアメリカの潜水艦に撃沈され、二千余名の乗船者たちとともに海の藻屑と化してしまったことを…
前回、地平社の単行本をリストアップしたが、そこにエミール・レンギル著、伊藤敏夫訳『ダニューブ』という一冊が含まれていたことを覚えているだろうか。先にいってしまえば、訳者の伊藤敏夫は埴谷雄高のペンネームで、この名前は妻の結婚前の伊藤敏子から…
本連載で、郊外消費社会が全国的に出現し始めたのは一九八〇年代だったことを繰り返し書いてきた。だからその歴史はすでに四半世紀の年月を経てきたことになる。それ以前の六〇年代から七〇年代にかけての郊外はまだ開発途上にあり、新しい団地に象徴される…
前回の鈴木剛『メッカ巡礼記』の版元である地平社についても、ふれておきたい。その奥付住所は東京市神田錦町、発行者は田中秀雄となっている。巻末広告の出版リストを示す。 * アラビアのロレンス著、柏倉俊三・小林元共訳『沙漠の叛乱』上下 * ハロルド…
大東亜戦によって、吾が共栄圏内に多数の回教徒を包容せんとする今日に於て、回教研究は吾等に取りて必要欠き難き現実当面の問題となった。大川周明『回教概論』(ちくま学芸文庫) これも浜松の時代舎で見つけ、購入してきた一冊だが、本連載567の田中逸…
出版状況クロニクル99(2016年7月1日〜7月31日) 16年6月の書籍雑誌の推定販売金額は1147億円で、前年比3.4%減。 書籍は543億円で、同1.2%減、雑誌は604億円で、同5.4%減。 雑誌の内訳は月刊誌が490億円で、同4.3%減、週刊誌は113億円で、同9.8%減。 返…