出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話635 内外社『綜合ヂャーナリズム講座』と『綜合プロレタリア芸術講座』

本連載632の新潮社の『社会問題講座』の成功はひとつの出版社を誕生させ、同じような講座をも生み出すに至る。その出版社は内外社で、刊行されたのは『綜合ヂャーナリズム講座』全十二巻である。この編輯健発行人は第一巻から十巻までが橘篤郎、第十一、…

古本夜話634 丘浅次郎『進化論講話』と開成館

前回の大杉栄訳『種の起原』のことで、大正十二年に刊行された彼の『自叙伝』(『大杉栄全集』第十二巻所収、現代思潮社)を再読してみた。すると中学時代の回想として、『進化論講話』との出会いが語られていた。 (講談社学術文庫版) 丘博士の『進化論講話…

古本夜話633 大杉栄訳『種の起原』と佐藤義亮

前回の参照資料として、『新潮社四十年』所収の佐藤義亮「出版おもひ出話」を読んでいたら、『社会問題講座』のところに「大杉栄氏へ絶交状」という一章が置かれていた。これもかつて読んでいたはずなので、すっかり忘れていたことになる。大杉栄は新潮社か…

古本夜話632 新潮社『社会問題講座』、木村毅、大宅壮一

新潮社は円本の『世界文学全集』に先駆けて、大正十五年に『社会問題講座』全十三巻の刊行を始めている。『新潮社七十年』の中で、「これは予約物としては、円本の現われるまで、最大成功の記録保持者だった」と語られている。つまり大成功を収めたと述べら…

古本夜話631 勝野金政『赤露脱出記』

勝野金政の『赤露脱出記』は日本評論社から昭和九年に刊行されているが、美作太郎は治安維持法違反で捕われ、獄中にあったので、『戦前戦中を歩む』の中ではまったくふれられていない。 勝野は「ソヴエト露国を去るまで」という言葉を添えた「序にかへて」で…

古本夜話630 往来社、「映画科学研究叢書」、フリーチェ『芸術社会学の諸問題』

前回飯島正の訳書として『ソビエトロシアの映画』を挙げておいてが、これは本連載215でふれた往来社の「映画科学研究叢書」の一冊である。それをリストアップしてみる。第一編から第十二編の刊行となっているけれど、アラビア数字に代える。 1 ヴエ・プド…

古本夜話629 ニッチ著、飯島正訳『ムッソリィニ恐怖政治と牢獄脱走記』

前回の『シナリオ文学全集』の編輯者の一人として飯島正の名前を挙げたこと、また本連載582で日本評論社からの『ムッソリーニ全集』の刊行を伝えたこともあり、ここでF・F・ニッチ著、飯島正訳『ムッソリィニ恐怖政治と牢獄脱走記』にふれてみたい。その…

古本夜話628 河出書房『シナリオ文学全集』

本連載625の『神秘主義 象徴主義』の巻末広告に「河出書房予約刊行十種」として、次のようなタイトルが挙げられていた。河出書房も多くの出版社の例にもれず、全出版目録を刊行していないので、読者によっては初めて目にするシリーズもあるかもしれない。…

古本夜話627 オットー『聖なるもの』とイデア書院

これは前々回の『神秘主義 象徴主義』を購入した同じ時代の話である。 ドイツの神学者ルドルフ・オットーの宗教学の名著とされる『聖なるもの』の菊判の古本を買い求めたのは二十歳の頃で、読み出してみたが、訳文の晦渋さに阻まれ、通読できなかった。その…

古本夜話626 冨山房『カトリック大辞典』

これらは旧稿であるが、出てきたこと、それに前々回の『新版現代哲学辞典』、前回の『神秘主義』とも関連するので、二編ほど挿入しておきたい。それに『カトリック大辞典』のほうは本連載595でもふれたばかりだからだ。 [f:id:OdaMitsuo:20170204173417j:…

出版状況クロニクル105(2017年1月1日〜1月31日)

16年12月の書籍雑誌の推定販売金額は1283億円で、前年比0.5%減。 書籍は576億円で、同0.8%増、雑誌は706億円で、同1.6%減。 雑誌内訳は月刊誌が605億円で、同0.8%増、週刊誌は101億円で、同13.8%減。 12月のマイナス幅が小さかったのは、31日の特別発売…