出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話646『綜合ヂャーナリズム講座』10

『綜合ヂャーナリズム講座』第十巻には神道久三「日本プロレタリア雑誌発達史」が掲載されている。プロレタリア運動におけるヂャーナリズムの歴史をトレースし、新聞や雑誌のスタイルや主筆者たちの名前も挙がり、簡略なチャートとなっている。だがこれは新…

古本夜話645『綜合ヂャーナリズム講座』9

『綜合ヂャーナリズム講座』第九巻には杉村楚人冠「日本ヂャーナリズムの現勢」、安成二郎「新聞と婦人」も収録されている。前者は新聞編輯部の現在のみならず、印刷設備、科学的新機械の利用、洋紙の現勢などにも及ぶトータルな新聞状況を広範にレポートし…

古本夜話644『綜合ヂャーナリズム講座』 8

前回、美術雑誌においても、専門の評論や記事だけでは成立せず、それらも含めてゴシップなども包括する一般雑誌と同様の編輯方針を必要するという『アトリエ』の編輯主任の藤本韶三の言を紹介しておいた。『綜合ヂャーナリズム講座』にしても、それは同様で…

古本夜話643『綜合ヂャーナリズム講座』7

『綜合ヂャーナリズム講座』第七巻からは次の四編を紹介してみる。 (日本図書センター復刻版) 1 新居格 「婦人雑誌論」 2 佐藤澄子 「婦人雑誌の編輯と記事のとり方」 3 藤本韶三 「美術雑誌の編輯」 4 出口堅造 「出版屋うちわ話」 1 の「婦人雑誌論」に…

古本夜話642『綜合ヂャーナリズム講座』6

(日本図書センター復刻版) 『綜合ヂャーナリズム講座』第六巻は、本連載635でふれた小澤正元による興味深い「日本プロレタリア新聞発達史」も掲載されているが、これは新聞の領域にあると見なし、言及は差し控える。今回は以下の三編とする。 1 菅忠雄 …

古本夜話641『綜合ヂャーナリズム講座』5

『綜合ヂャーナリズム講座』第五巻からは以下の五編を見てみる。 (日本図書センター復刻版) 1 中村武羅夫 「文芸雑誌の編輯」 2 木内高音 「幼年少年少女雑誌の編輯」 3 原田三夫 「自然科学雑誌の編輯」 4 島田青峯 「中間読物としての短歌と俳句」 5 田…

古本夜話640『綜合ヂャーナリズム講座』4

『綜合ヂャーナリズム講座』第四巻からは次の四編を紹介してみよう。 (日本図書センター復刻版) 1 久保栄 「演劇雑誌の編輯に就いて」 2 飯田豊二 「希望社の出版事業概観」 3 丸山岩吉 「哲学・宗教・教育図書の出版」 4 神田豊平 「赤本・浅草本漫話」 1…

古本夜話639『綜合ヂャーナリズム講座』3

『綜合ヂャーナリズム講座』第三巻には平林初之輔「ヂャーナリズムと文学」、森下雨村「雑誌編輯の要諦」、大宅壮一「現代作家総批判」、斎藤精輔「辞書の編纂と出版に就て」といった著名な寄稿者と興味深い論考も見えているが、今回はテーマと内容から、次…

古本夜話638『綜合ヂャーナリズム講座』2

『綜合ヂャーナリズム講座』第二巻からも、次の三編を抽出、紹介してみよう。 (日本図書センター復刻版) 1 広津和郎 「新潮論」 2 〃 「中小出版社の悩み」 3 村田勇治 「通信販売とは何か」(出版物通信販売の研究) 1と 2 の広津が作家であるばかりでな…

古本夜話637『綜合ヂャーナリズム講座』1

続けて内外社にふれてきた。その『綜合ヂャーナリズム講座』は全巻にわたって、「ヂャーナリズム総論」「新聞ヂャーナリズム」「雑誌ヂャーナリズム」「出版ヂャーナリズム」を柱とする構成を採用し、近代出版史を考える上でも見逃せない論考が多く寄せられ…

古本夜話636 「国際最鋭文学叢書」とシャルラー『祖国のない仲間』

前回、内外社の出版物に関して、取り上げられなかったシリーズがあるので、それも挙げておきたい。それは「国際最鋭文学叢書」で、これま同様に取り上げられていないように思われるからだ。まずはラインナップを示す。 1 イリヤ・エレンブルグ、高田保訳 『…

出版状況クロニクル106(2017年2月1日〜2月28日)

17年1月の書籍雑誌の推定販売金額は963億円で、前年比7.3%減。 書籍は508億円で、同6.0%減、雑誌は455億円で、同8.7%減。 雑誌内訳は月刊誌が353億円で、同11. 2%減、週刊誌は101億円で、同1.4%増。 前者の大幅マイナスは、集英社のジャンプコミックス…