出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話999 松村武雄『神話学原論』と『民族性と神話』

本連載992は『世界童話大系』と、『神話伝説大系』前史としての松村武雄と山崎光子=水田光のことに終始してしまったので、ここではその後の松村武雄のことにふれてみたい。(『世界童話大系』) (『神話伝説大系』、近代社版) その立項に示されていたよ…

古本夜話998 細谷清『満蒙伝説集』

昭和十年年代になっても、「伝説」の時代はまだ続いていたようで、、『神話伝説大系』に含まれていなかった『満蒙伝説集』が刊行されている。これは著作兼発行者が、発行所は満蒙社、発売所を神田神保町の丸井書店として出され、細谷と満蒙社の住所は同じ小…

古本夜話997 藤澤衛彦と六文館『日本伝説研究』

もう一編、『神話伝説大系』に関して付け加えておく。本連載991でリストアップしたように、この第十三巻は『日本神話伝説集』で、藤澤衛彦によって編まれている。(近代社版) その内容は「神話」が『古事記』『日本書記』『今昔物語』、「伝説」が『日本…

古本夜話996『白樺』、叢文閣、有島生馬訳『回想のセザンヌ』

本連載993で、『朝鮮童話集』の中村亮平が「新しき村」を離村後、朝鮮へ赴き、同書を著わしたこと、洛陽堂から自伝小説を刊行し、それから美術雑誌の編集に携わったことなどを既述しておいた。それに補足すると、拙稿「洛陽堂『泰西の絵画及彫刻』と『白…

古本夜話995 冨山房「画とお話の本」と『大男と一寸法師』

またしても『朝鮮童話集』のことになるが、前回の「模範家庭文庫」の巻末広告に関連して、その姉妹編としての「画とお話の本」の長い紹介がなされていた。そのコアを記せば、「画とお話の本は、小学校以上の児童のため、それゞゝの学年に相当した課外読物に…

古本夜話994 冨山房「模範家庭文庫」と瀬田貞二『落穂ひろい』

前回の中村亮平『朝鮮童話集』が冨山房の「模範家庭文庫」の一冊であることは既述しておいた。この「模範家庭文庫」に関しては拙稿「吉行淳之介と冨山房『世界童謡集』(『古本屋散策』所収)や本連載237でも平田禿木訳『ロビンソン漂流記』で言及してき…

古本夜話993  中村亮平『朝鮮童話集』

『神話伝説大系』第十四巻の『朝鮮神話伝説集』と『台湾神話伝説集』は中村亮平編となっている。中村はその「まえがき」に当たる「朝鮮神話伝説概観」において、朝鮮の「国土そのものが、大陸との人類文化移植の橋梁の役目」を有し、神話伝説の「多くは吾日…

古本夜話992 松村武雄と山崎光子

前回の一大出版プロジェクトと見なしていい『神話伝説大系』の企画と出版が、どのようにして成立したのか、またその翻訳と編集がどのようにしてなされたのかに関しては詳らかでない。それに例えば、朝倉治彦他編『神話伝説辞典』(東京堂、昭和三十八年)な…

古本夜話991 近代社『神話伝説大系』

前々回に中島悦次の証言を引き、昭和二年に恩師の松村武雄の『神話伝説大系』全十八巻が刊行され始め、神話研究にとって恵まれた年だったことにふれておいた。 (近代社版) この近代社の『神話伝説大系』は裸本で函の有無は不明だが、十年以上前に全巻を入…

出版状況クロニクル141(2020年1月1日~1月31日)

19年12月の書籍雑誌推定販売金額は1060億円で、前年比8.9%減。 書籍は509億円で、同13.1%減。 雑誌は550億円で、同4.6%減。 その内訳は月刊誌が470億円で、同4.2%減、週刊誌は80億円で、同6.6%減。 返品率は書籍が32.9%、雑誌は38.8%で、月刊誌は38.1%、週刊…