2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧
前回、正宗敦夫は井上通泰に師事して歌を学び、与謝野寛・晶子夫妻ともに『日本古典全集』を編集して予約出版で刊行し、その別バージョンの「歌文珍書保存会本」として、井上の『万葉集新考』も出していることを既述しておいた。 (『日本古典全集』) そう…
『世界名著大事典』第六巻の「全集・双書目録」を繰っていると、『日本古典全集』も見つかり、それによって初めてまとまった大部の明細リストを目にすることができた。ただそれは一ページ半に及ぶので、挙げられないし、またこの全集の揃いは古本屋でも見た…
三回続けて中塚栄次郎と国民図書の外交販売を主とする「大系」や「全集」をたどってきたけれど、その流通販売のアウトラインはつかめても、実際の売上、つまりどれほどの成功であったかは不明である。ただ現実的にはすべてが成功したわけでもなく、それは『…
国民図書株式会社の全集類については、拙稿「中塚栄次郎と国民図書株式会社」の他に、『近代出版史探索Ⅲ』551で『現代戯曲全集』、本探索1019で『泡鳴全集』、前々回と前回で『校註日本文学大系』『校註国歌大系』を取り上げてきた。そこでもうひとつの『福…
前回の『校註日本文学大系』に少し遅れて昭和三年からほぼ併走するかたちで、やはり国民図書による『校註国歌大系』が刊行されている。(『校註日本文学大系』) これは『世界名著大事典』の「全集・双書目録」において、誠文堂版が挙げられ、次のような解題…
小川菊松の『出版興亡五十年』を援用しながら、吉川弘文館の外交販売にふれてきたが、そうした出版社・取次・書店という「正常ルート」以外の流通販売は古典類の出版にあって、かなり多く採用されていたと見るべきなのかもしれない。しかもそれを当の小川と…
前回、小川菊松が証言する「外交販売専門で、大正期に早くも大成功した」石原信明の名前を挙げておいたが、石原は『出版人物事典』にも立項が見出せるので、まずそれを引いてみる。 [石原俊明 いしはら・としあき]一八八八~一九七三(明治二一~昭和四八…
続けて二編ほど「外交販売」に関して書いてみる。 昭和六十三年に出版業界紙『新文化』の記者だった村上信明による『出版流通図鑑』(新文化通信社)が出された。これは出版社・取次・書店という「正常ルート」以外の十四のルートを取材し、上梓した一冊で、…
前回の岩波書店『国書総目録』は戦後の出版だし、その流通販売が岩波出版神話に基づく取次や書店、とりわけ全国各地の老舗書店の学校、図書館、職域などを中心とする外商を通じてのものであったと考えられる。それを抜きにして『国書総目録』全八巻の五千部…
20年12月の書籍雑誌推定販売金額は1148億円で、前年比8.3%増。 書籍は552億円で、同8.3%増。 雑誌は596億円で、同8.3%増。 かつてないトリプルの8.3%増である。 雑誌の内訳は月刊誌が523億円で、同11.2%増、週刊誌は73億円で、同8.7%減。 返品率は書籍が29.9…