2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧
本探索1126で、昭和六年の国劇向上会による演劇『芸術殿』の創刊、同1127で春陽堂と大日本文庫刊行会の関係にふれてきたこともあって、それらにまつわる一編も書いておこう。 その雑誌のほうを意識していたのかは不明だが、『芸術殿』という同じタイトルの一…
また春陽堂が続いてしまったので、ここで単行本ではあるけれど、大正十五年刊行の石井研堂の『増訂明治事物起原』も挙げておきたい。そこには『近代出版史探索』152で既述したように、「予約出版の始」という項目もあるからだ。残念ながら「外交販売の始」は…
『春陽堂書店発行図書総目録』を繰っていて、『頭註国訳本草綱目』が昭和九年に十五冊目の索引を刊行し、完結したことをあらためて知った。十五年ほど前だが、今はなき三島の北山書店で『頭注国訳本草綱目』第一冊から第六冊までの五冊を購入している。なお…
前回の「大日本文庫」の各巻校訂者の名前を見ていて、「文学篇」の『物語文学集』を吉澤義則が担当していたることに気づかされた。 (「大日本文庫」) 実はいつか取り上げなければならないと思っていた「全訳王朝文学叢書」の訳者の一人が吉澤だったからだ…
ずっと続けて予約出版と外交販売による古典籍類の全集や大系などをたどってきたけれど、そうした企画は様々な出版社に持ち込まれ、おそらくスポンサーや公的助成金付きで、刊行されていったと思われる。まだ残されているそれらをいくつか取り上げてみたい。 …
これは戦後のことになってしまうが、坪内逍遥訳『シェークスピヤ全集』の再刊にもふれておきたい。 それを意識したのは辻佐保子の『「たえず書く人」辻邦生と暮らして』(中央公論新社)を読んだからでもあった。私は辻邦生のよき読者とはいえないけれど、『…
本探索1120で挙げた正宗白鳥『人間嫌ひ』はまったく読まれていないだろうし、『近代出版史探索Ⅴ』854の『人間』の、昭和二十四年における連載時の評判に関しても伝えられていない。 ただイニシャル表記であっても、戦後の混乱と再生の中にある出版界の出来事…
前回、松村英一が『田園短歌読本』を編むにあたって、改造社の『新万葉集』と『支那事変歌集 銃後篇』から選出したことにふれておいた。(『田園短歌読本』)(『新万葉集』) 実は一年ほど前に、浜松の時代舎で、『支那事変歌集 戦地篇』を入手していて、こ…
前回の紅玉堂書店の「新釈和歌叢書」の著者に松村英一がいて、同じく彼は『歌集やますげ』『現代一万歌集』も上梓し、「新歌壇の中堅作家」、『短歌雑誌』の編集者、寄稿者の一人であったことを既述しておいた。 その松村が昭和十七年に海南書房から刊行した…
前回の『桂園遺稿』に関連して、確か二十年以上前に、紅玉堂書店の『香川景樹歌集』を拾っていたことを思い出した。 その当時、「西村陽吉と東雲堂書店」(『古本探究』所収)を書き、西村が東雲堂書店の編集者で、若山牧水『別離』、石川啄木『一握の砂』、…
21年1月の書籍雑誌推定販売金額は896億円で、前年比3.5%増。 書籍は505億円で、同1.9%増。 雑誌は391億円で、同5.7%増。 前月の20年12月に続くトリプル増である。 雑誌の内訳は月刊誌が321億円で、同8.9%増、週刊誌は69億円で、同7.2%減。 返品率は書籍が31.…