2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧
昭和六年に先進社から『大日本思想全集』が刊行されている。その第五巻に当たる『貝原益軒・平賀源内集』の一冊だけが手元にある。タイトルは正確にいえば、「付心学一派・石田梅巖・手島堵庵・中澤道二」との断わりが示されているけれど、煩雑なので、先の…
本探索1133において、冨山房の『漢文大系』には言及しなかったので、ここでその代わりとしてではないけれど、これも同じく予約出版だったと見なせる吉田東伍の『大日本地名辞書』を挿入しておきたい。 私が架蔵しているのは明治三十三年初版、昭和十二年十二…
漢文書出版の系譜をたどる中に、英語文法書や辞典を挿入して違和感を与えるかもしれないけれど、そうしたダブルイメージこそが近代出版の現実でもあった。またそこには思いがけない出版経済のメカニズムすらも潜んでいたのではないかとも推測されるので、そ…
漢文書出版の裾野は想像する以上に広く拡がり、それは博文館も例外ではなく、明治二十五年には「支那文学全書」全二十四巻の刊行を始めている。そのことに関して、『博文館五十年史』は書影を示し、「当時国文学の気勢稍ゝ衰へ、漢文学が漸く頭を擡げたので…
こちらは昭和円本時代になってしまうのだが、やはり漢文書に関連すると見なせる『支那珍籍全集』が刊行されている。これは『全集叢書総覧新訂版』によれば、昭和三年に甲子社から四冊出され、その後は続かなかったとされる。(『支那珍籍全集』) 私にしても…
続けて漢文出版を取り上げてきたけれど、明治から大正にかけて、思いがけずに新書判や袖珍判としても出版されていたのである。 紀田順一郎の『古書収集十番勝負』(創元推理文庫)において、その勝負の六番目に「有朋堂対訳詳解漢文叢書」が挙げられていた。…
前回の『国訳漢文大成』続編の『資治通鑑』を始めとする「経子史部」全二十四巻の訳注のほとんどは公田連太郎によるものである。もちろん正編も『史記本紀』などの四冊を受け持っているし、この事実からすれば、『国訳漢文大成』の企画と編集自体が公田を抜…
かつて「鶴田久作と国民文庫刊行会」(『古本探究』所収)を書き、その際は「世界名作大観」とダントン、戸川秋骨訳『エイルヰン物語』を取り上げのだが、『国訳漢文大成』と『国訳大蔵経』はそれぞれ二万部という成功を収めたことにふれておいた。またその…
本探索1130の石井研堂の『増訂明治事物起原』における「予約出版の始」で、漢籍の複刻が挙げられていたこともあって、以前に早稲田大学出版部の『漢籍国字解全書』と冨山房の『漢文大系』の何冊かを拾っていたことを思い出した。これらはいずれも明治末に刊…
二回ほど飛んでしまったが、ようやく気賀林一『編集五十年』(医道の日本社、昭和58年)が出てきたので、『頭註国訳本草綱目』にまつわる補遺編を書いておきたい。この気賀の著書の版元は月刊『漢方の臨床』や『医道の日本』を刊行する横須賀市の漢方雑誌社…
21年2月の書籍雑誌推定販売金額は1203億円で、前年比3.5%増。 書籍は718億円で、同0.6%増。 雑誌は484億円で、同8.0%増。 20年12月、21年1月に続く3ヵ月トリプル増で、かつてない連続プラスとなっている。 雑誌の内訳は月刊誌が412億円で、同11.5%増、週刊誌…