2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧
前回、昭和に入ってからのプロレタリア文学書シリーズの刊行リストを挙げ、それらの中に小説だけでなく、年刊日本プロレタリア詩集』『労農詩集第一輯』『ナップ7人詩集』『詩・パンフレット』などの詩も出版されていたことを確認しておいた。これらの年刊ア…
日本のプロレタリア文学運動の雑誌の系譜をたどってみると、『近代出版史探索Ⅱ』210の大正十年創刊の『種蒔く人』から始まり、十三年の『文芸戦線』、昭和三年の『戦旗』へとリンクし、多くの作品が発表されていった。それと併走するように、多彩なプロレタ…
前回の改造社『プロレタリア文学集』に藤沢桓夫の名前があることは意外に思われたが、「生活の旗」を始めとする七つの短編を読んでみると、彼がこの時代において紛れもないプロレタリア作家だったことを実感した。 藤沢のことは『近代出版史探索Ⅱ』283でふれ…
これまで見てきたように、昭和円本時代はプロレタリア文学の時代でもあった。しかもそれには他ならぬ円本も寄り添っていたし、時代のトレンドだったというべきであろう。 それをまさに表象しているのは『近代出版史探索Ⅵ』1101の円本の嚆矢としての改造社『…
前々回の『戦旗』創刊号に、プロレタリア美術運動に参加していた鈴木賢治が挿画、カット、漫画などを描いていたことを知り、岡本唐貴のことを想起してしまった。実は一年ほど前に、浜松の時代舎で『岡本唐貴自傳的回想画集・岡本唐貴自選画集』を購入してい…
前回の自然社に関する一文を書いた後で、浜松の時代舎に出かけ、山崎斌絡みの一冊を見つけてしまったのである。やはり続けて書いておくしかない。彼は既述したように、自然社から処女作長篇『二年後』を刊行し、それが前田河広一郎の、これも第一創作集『三…
『近代出版史探索Ⅳ』783や『同Ⅵ』1061の前田河広一郎は戦旗社「日本プロレタリア作家叢書」には見えていなかったが、本探索1253で挙げておいたように、日本評論社『日本プロレタリア傑作選集』には『セムガ』が収録されていた。それは未見だけれど、大正十一…
本探索1253で戦旗社の出版流通と販売に関して、『近代出版史探索Ⅲ』645で既述していることにふれたが、それは「総合ヂャーナリズム講座」における壺井繁治の証言をベースにしている。『日本近代文学大事典』の『戦旗』の解題においても、それらは言及されて…
続けて戦旗社の「日本プロレタリア作家叢書」の徳永直『太陽のない街』、小林多喜二『蟹工船』を取り上げてきたが、両者が連載された『戦旗』創刊号が手元にある。それは本連載1251の新潮社『トルストイ研究』と同じく、近代文学館編集の講談社「復刻 日本の…
前回の徳永直『太陽のない街』が戦旗社の「日本プロレタリア作家叢書」の一冊であることは既述しておいたが、それらの明細は示さなかったので、ここで挙げてみる。 1 藤森成吉 『光と闇』 2 小林多喜二 『蟹工船』/改訂版『蟹工船』 3 山田清三郎 『五月祭…
徳永直『太陽のない街』の戦旗社版は架蔵している。もちろんそれは昭和四年の初版ではなく、近代文学館からの複刻である。戦旗社の「日本プロレタリア作家叢書」にふさわしい装幀は、柳瀬正夢によるハンマーを振ろうとする労働者の姿を描いたもので、目黒生…
22年2月の書籍雑誌推定販売金額は1079億円で、前年比10.3%減。 書籍は677億円で、同5.7%減。 雑誌は402億円で、同17.0%減。 雑誌の内訳は月刊誌が335億円で、同18.8%減、週刊誌は67億円で、同6.4%減。 返品率は書籍が29.5%、雑誌は39.8%で、月刊誌は38.9%、…