出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル100(2016年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル100(2016年8月1日〜8月31日)


16年7月の書籍雑誌の推定販売金額は1068億円で、前年比5.7%減。
を見ればわかるように、今年になって最大の落ちこみで、これにオリンピックが重なった8月が控えているのだから、大幅なマイナスはさらに続くだろう。
書籍は498億円で、同3.1%減、雑誌は570億円で、同7.9%減。
雑誌の内訳は月刊誌が461億円で、同7.3%減、週刊誌は109億円で、同10.2%減。
返品率は書籍が42.2%、雑誌は42.8%であり、書籍は5月、雑誌は4月から40%台が続いている。出荷や注文調整にもかかわらず、この高止まりが続いていることを考えると、もはや書店市場と取次配本の組み合わせが機能不全に陥っているのではないかという思いにもかられてしまう。
まだ16年下半期の最初の1ヵ月を終えたばかりだが、残された月が平穏無事であるとはとても考えられない。

1.出版科学研究所による16年上半期の出版物推定販売金額を示す。

■2016年上半期 推定総販売金額
推定総販売金額書籍雑誌
(百万円)前年比(%)(百万円)前年比(%)(百万円)前年比(%)
2016年
1〜6月計
770,095▲2.7406,4081.6363,687▲7.1
1月103,907▲4.554,0480.149,859▲9.1
2月147,551▲0.184,4259.863,126▲10.9
3月181,691▲3.4106,318▲2.575,373▲4.7
4月125,936▲1.161,2016.564,735▲7.4
5月96,289▲4.146,104▲3.250,185▲4.9
6月114,721▲3.454,312▲1.260,409▲5.4


[書籍雑誌推定販売金額は7700億円、前年比2.7%減。前年は5.3%のマイナスなので、書籍のブラスなどもあり、2.7%マイナスで折り返しているが、それでも16年の売上は1兆5000億円を割りこむだろう。

その内訳は書籍が4064億円、1.6%増、雑誌が3636億円、7.1%減。そのうちの月刊誌は2960億円、6.8%減、週刊誌は676億円で、8.1%減。雑誌は前年が8.4%マイナスであり、今年もそれに近い数字となるはずで、その下げ止まりはまったく見られない。

返品率のほうだが、書籍は34.3%、雑誌は42.0%で、月刊誌は43.1%、週刊誌は36.7%。雑誌の前年返品率は41.8%であるから、毎月の部数調整にもかかわらず、高止まりしたままである。

とりあえず、書籍は微増となっているけれど、雑誌売上は月を追うごとに売れなくなっている事実を突きつけている]

2.今年から出版科学研究所データは電子出版市場も含まれ、『出版月報』(7月号)には「紙と電子出版物販売金額」も掲載されているので、それも引いておく。

■2016年上半期 紙と電子の出版物販売金額
2016年1〜6月電子紙+電子
書籍雑誌紙合計電子コミック電子書籍電子雑誌電子合計紙+電子合計
(億円)4,0643,6377,701633122928478,548
前年同期比(%)101.692.997.3126.2116.2176.9128.999.7
占有率(%)47.542.590.17.41.41.19.9100.0


[電子出版物販売金額は847億円、前年比28.9%増。その内訳は電子コミックが633億円、同26.6%増、電子雑誌92億円、76.9%増、電子書籍122億円、16.2%増で、前二者でそのシェアは89.1%に及んでいる。

これらの分類とそのシェアに日本の出版業界のみならず、日本の電子書籍市場の特殊性がはっきりと表れている。日本の場合は「電子書籍」というよりも、「電子雑誌」市場と見なすべきだ。

欧米の出版業界とは書籍をコアとして成立し、電子書籍化とは文字通り書籍を主とするものであった。しかし日本の出版業界は書籍だけでなく、雑誌とコミックも含んでというよりも、雑誌やコミックが生産、流通、販売の要であり、とりわけ書店は雑誌とコミックの売上をベースとして書籍を販売してきた。それゆえに雑誌とコミックが書店の生命線だったのだ。

その雑誌とコミックが電子書籍化され、シェアが高まり、さらに成長していくことになれば、ただでさえ苦境にある書店市場はさらなる困難な状況に追いやられることは確実であろう。

『出版状況クロニクル4』で、電子書籍売上高が2000億円に達した場合、この金額は15年のコミックス売上に相当するものであり、しかもそれが紙よりも低価格であることからすれば、コミック誌1100億円をも含んでしまう売上になると指摘しておいた。そしてもしそれが現実となれば、書店にとって壊滅的な状況をもたらすのではないかとも書いてきた。

それは取次にとっても同様で、コミックを刊行する出版社の場合は、既刊分在庫の断裁処分を迫られることになるはずだ。

欧米の新刊書籍の電子書籍を見ると、定価は高く、書籍とほとんど変わっていない。しかし日本の電子雑誌化は安い価格が売りのひとつとなっている。それらは書籍をめぐる状況を、これもさらに悪化させていくであろう]
出版状況クロニクル4

3.インプレスの2015年電子書籍市場調査も出されている。

 それによれば、15年電子書籍市場は1584億円で、前年比25.1%増。そのうちのコミックは1277億円、24.7%増で、シェアの8割を占める。

 電子雑誌は242億円、前年比66.9%増で、これはNTTドコモの「dマガジン」などの定額制読み放題サービスの急成長によっている。

で電子書籍売上が2000億円を超えたら、書店は壊滅的状況に追いやられるのではないかと既述したが、インプレスの予測によれば、20年度は15年度比の1.9倍の3000億円に拡大するとされる]

4.アマゾンの電子書籍定額読み放題サービス「キンドルアンリミテッド」がスタート。

 月額980円で、スタート時は和書12万冊、洋書120万冊が読み放題となる。

 和書の対象は書籍が小説・文学1万6000冊、ビジネス8000冊、実用・ノンフィクション2万冊などの8万冊、コミック3万冊、雑誌は240誌2000冊となる。これらのすべてが電子書籍として単品販売もされる。

 参加出版社は講談社、小学館、文藝春秋、幻冬舎、光文社、東京創元社、ダイヤモンド社、東洋経済新報社、PHP、インプレス、主婦の友、学研、白泉社、秋田書店、祥伝社、双葉社、一迅社、手塚プロダクションなどの「数百社」に及ぶ。

 なお、現在のアマゾン取扱い電子書籍は46万5000点、コミックは16万点に拡大しているという。またアマゾンは取引先に対し、価格拘束をしたとして、公取委が独禁法違反容疑で立ち入り検査したと報じられている。


5.楽天も電子雑誌の定額読み放題サービス「楽天マガジン」を開始。

 月額380円、年間では3600円で、ファッション、ビジネス、グルメ、トラベル、スポーツなどの11ジャンルの200誌をスマホやタブレット端末で読める。

がどのような推移をたどるのか、半年後に出されるであろう出版科学研究所の15年下半期電子書籍販売金額を待って、言及すべきであろう。

しかしいずれにしても、「数百社」の出版社が参加し、雑誌とコミックを「電子雑誌」化するわけだから、書店市場への影響は避けられない。もし2社の定額読み放題サービスが成功すれば、書店に対する影響は必至で、それこそ大量閉店へと向かっていくかもしれない。


楽天の現在については、『FACTA』(9月号)「楽天『国内eコマース』大失速」が詳しい]

6.『文化通信』(8/8)に、小学館のマンガアプリ「マンガワン」の石橋和彦編集長へのインタビューが掲載されている。「マンガワン」も電子雑誌の一種と見なせるので、要約紹介してみる。

2012年に少年サンデー編集部で、ウェブのコミックサイト「裏サンデー」を開設し、14年12月に「マンガワン」としてリリース。

利用者は1日8話までは無料で読め、それ以上読みたい人はポイントを購入するというかたちで課金。またサイトで他社アプリをダウンロードすれば、ポイントがつき、出版社には広告収入が入る仕組みで、利用者が無料で読める感覚を残しつつ、収入を得るシステムにした。その収入を広告費に回し、広告を出すと人が集まる好循環によって大きく成長した。

現在の編集スタッフは11人で、外部のデジタル技術とサプリ化に優れた開発会社と併せて20数人。

連載作品は60本ぐらいで、「裏サンデー」連載のネットオリジナル作品がベースで、8割ほどを占めている。連載作品の95%は単行本となり、『少年サンデー』の点数を抜く月も出ているし、大ヒットには至っていないが、1巻累計部数10万部を超えるものが3、4割になってきている。

最新ダウンロード数は600万に近く、年内には1000万DLに持っていきたい。そうなれば、 BooksアプリではLINEマンガに次ぐ規模になる。

売上規模は開発当始月200万円だったが、今年1月にはコンテンツ課金とコミック販売で5000万円、広告収入が5000万円で、月商1億円以上と成長している。コミック雑誌はほとんど赤字だったけれど、「マンガワン」は最初からコンテンツ課金によって黒字で運営できている。
読者層としてはスマホでマンガを読む層は10代が中心であるように、「マンガワン」のユーザーも10代が半分。それに見合って、ネットでデビューする作家年齢も20代前半である。また紙と異なり、「原稿取り」という概念はなく、地方に住んでいる作家も多いので、スカイプで打ち合わせ、3、4ヵ月ごとにこちらから出張する。

マンガ編集者は作家や原作者を見つけてきて、企画を立ち上げるプロデューサーだと思っているので、紙と電子にそれほど違いはない。編集のスキルがあれば、優れたウェブやアプリを作れると思うが、ただ雑誌は年単位の進化だが、ネットはもっと早いスピードでの進化を必要とする。

最終的に出版社の意義は紙の本を出すことなので、紙は紙で生き残る道を探らなければならないが、僕は紙がなくても生き残れる位置を探るというミッションで動いている。

[出版社発の「マンガアプリ」の内情がここまで具体的に語られてことはなかったと思われるので、今回の一連の電子書籍関連に合わせて紹介してみた。

ネット環境の進化につれて、編集者や著者だけでなく、若年層を中心にして読者も変容しつつあることがよくわかる。大げさにいってしまえば、来るべき編集者、出版者、作者、読者などのひとつの雛型がここに示されているのかもしれない。

それこそインプレスの予測する20年の3000億円規模の電子書籍市場において、「マンガプリ」はどのように進化し、どのようなかたちを見せることになるのであろうか]

7.『日経MJ』(8/3)の15年版「日本の卸売業調査」が出されたので、「書籍・CD・ビデオ」部門を示す。

■書籍・CD・ビデオ卸売業調査
順位社名売上高
(百万円)
増減率
(%)
営業利益
(百万円)
増減率
(%)
経常利益
(百万円)
増減率
(%)
税引後利益
(百万円)
粗利益率
(%)
主商品
1日本出版販売639,893▲3.22,7385.83,291▲9.285611.8書籍
2トーハン488,362▲1.45,911▲5.53,570▲8.71,61512.6書籍
3大阪屋栗田68,6810.8322181138.3書籍
4星光堂62,520▲2.2CD
5図書館流通センター39,898▲3.91,8186.31,9312.71,11219.2書籍
6日教販27,60418.8311▲29.0101▲69.2▲910.4書籍
7ユサコ6,08515.51786.61776.610015.6書籍
11春うららかな書房3,4635.2150▲1.31020.02122.1書籍


 MPD189,458▲1.6705▲27.6729▲28.24.5CD


[例年に比して、取次にとって激動の1年であったことが一目でわかるだろう。昨年までは単独で挙げられていた大阪屋、栗田出版販売、太洋社が消えてしまっている。かろうじて大阪屋栗田として残ってはいるものの、単独ではサバイバルできなかったことを告げているし、太洋社に至ってはまさに消滅してしまったのである。

前回のクロニクルでも書いたように、日販やトーハンにしても構造は同じであり、中小取次の破綻によって問題が解決されたわけではないことも、本クロニクルの読者であれば、当然承知しているであろう]

8.中央社は売上高231億円で、前年比1.7%減、当期純利益は1億5323億円で、同7.7%増の減収増益決算。

『出版状況クロニクル4』において、能勢仁の取次に関するセミナーレポートを引き、中央社だけが増収増益を重ねてきたこと、それがアニメイトとのコラボによるコミック販売、病院書店の開発の寄与、返品率29%に基づくことを既述しておいた。

また前回の本クロニクルでも、中央社とのコラボによるアニメイトの成長について記したばかりだ。

中央社、アニメイトの成長はコミックやアニメとともにあったといっていい。だが今期の内容を見ると、返品率は29.3%が保たれているけれど、コミックを除く雑誌が2.7%減、主力の雑誌扱いコミックスも0.6%減と前年を下回り始めている。雑誌の衰退と電子コミックの成長は、中央社の売上高マイナスとリンクしていると見なすしかない。そうした意味において、日販やトーハンと同様に、中央社も来期決算に注目すべきだろう]

9.これもアニメイトと関連するので、続けて取り上げておく。

 出版協は「芳林堂書店選択常備切替え問題」に関して、トーハンからの提案である「5社協議」の対応を検討。

[この問題は緑風出版の高須次郎が6月から発信していた太洋社や芳林堂自己破産にまつわるものである。

緑風出版などの出版協加盟社は、太洋社経由で芳林堂に選択常備セットを出していた。ところが芳林堂の自己破産と書泉へと事業譲渡によって、トーハンが太洋社から在庫を買い取った際に、伝票切替などが行なわれておらず、それをトーハンに求めたところ、所有権はトーハンにあるとの回答で、応じていなかった。

その後トーハンは芳林堂、太洋社破産管財人、トーハン、書泉、出版協会員社の5社協議を提案し、それが今回の出版協緊急集会となったのである。

これ以外にも、太洋社破産は多くの未解決問題を残しているはずだが、その後の太洋社の消息は帳合書店も含めて、まったく聞こえてこない。どうなっているのだろうか]

10.東京リサーチによる2015年書店調査が出された。

 それによれば、全国1128社の15年度売上高合計は1兆47億円で、前年比0.6%減。2年連続減少、連続赤字。減収は467社で、全体の41.4%を占め、横ばいは406社で35.9%、増収は252社で22.6%。

 最終損益が3年連続で判明した411社で見ると、最終損益は合計24億円の赤字となり、14年度のマイナス8億円よりも赤字幅が拡大している。また小書店の事業断念が頻発しているとレポートされてもいる。

[前回のクロニクルで伝えた日書連の2015年「全国小売書店経営実態調査報告書」において、「経営悪化」が85.2%に及んでいた。その事実から考え、日書連に加盟していない書店も含めれば、まだ少しはましという状況が浮かんでくるだけで、こちらもまた苦境の中にある書店のリアルな現在というしかないであろう]

11.「東洋経済オンライン」(8/27)によれば、ヴィレッジヴァンガードコーポレーションは赤字子会社のエスニック雑貨販売のチチカカを、金融情報配信会社フィスコの親会社ネクスグループに売却したことで、最終赤字43億円を計上するに至った。

 ヴィレヴァンは391店、売上高は467億円と伸びてはいたが、利益は12年以降、新規出店も含め、前年割れが続き、14年から赤字に陥っていたとされる。

[ヴィレヴァンの創業は1986年で、2003年に上場し、右肩上がりの成長を続けてきたが、ちょうど創業30年目にして、ビジネスモデルも劣化してきたのではないだろうか。本や雑誌と雑貨の陳列販売は、それこそ現在ではどの書店も取り入れるようになってきたし、おまけにカフェも導入されている。そうした書店状況などもヴィレヴァンならではの集客率の低下に影響しているのだろう。

ビジネスモデルといえば、複合店にしても、新古本産業にしても、ヴィレヴァン同様の年月を重ね、「会社の寿命」が問われる時期へと向かいつつあると思われる]

12.『日経MJ』(7/27)に15年度コンビニ調査も出されているので、コンビニ状況にもふれておこう。

 それによれば、国内の全店売上高は10兆8908億円で、前年比5.1%増。総店舗数は5万6427店で、同2.8%増。そのシェアはセブン‐イレブン、ローソン、ファミリーマートの3社で9割を占める。

 しかし16年にはファミリーマートとサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングスが経営統合するので、そのシェアは29.1%まで拡大し、セブン‐イレブンの39.4%に次いで、第2位に浮上する。

[統合後のファミリーマートは1000店のリストラを発表しているし、コンビニの総店舗数はピークアウトを迎え、6万店を超えることはないように思われる。

ここに現在のコンビニ状況を記したのは『出版状況クロニクル4』でも,近年のコンビニにおける出版物販売金額をたどり、その月商30万円台では取次も赤字になっているのではないかと指摘してきた。

また一方で、その売上の回復を見こめないのはコンビニも同様であるから、取次自体も流通をどこまで維持できるかが問題になってくるだろう]

13.講談社のコミック誌『マガジンSPECIAL』が休刊。

 1983年に『週刊少年マガジン』の増刊号として始まり、84年には最大の45万部という部数に達したが、今年は5万部となっていた。

マガジンSPECIAL

14.小学館の月刊誌『AneCan(アネキャン)』が休刊。

 『CanCam』を卒業した30歳前後の女性を読者対象として、2006年に創刊し、10年には32万部を発送していた。だが16年には8万部台に落ちこんでいた。

[大手出版社の雑誌休刊はこれからも続くだろうし、それは「dマガジン」やアマゾン、楽天の「読み放題サービス」によって、さらに加速されていくだろう。

大手出版社がマス雑誌によって築いた近代出版流通システムを、自らが破壊していくということになるのだ]
Anecan CanCam

14.大阪の第一印刷出版が自己破産。

 1927年創業で、雑誌や単行本などの企画編・編集、デザイン、印刷、製本までの出版者を中心とする営業基盤を有していた。

 しかし1995年には売上高15億円を計上していたが、2015年には4億円まで減少し、10年連続の経常赤字だったとされる。負債額は3億5000万円。


15.埼玉県戸田市の早良印刷が倒産。

 1965年創業で、実用書などの単行本、地図関連出版社の仕事を手がけ、99年には売上高6億4000万円だった。

 だがカーナビの普及で業況が悪化し、2009年には民事再生法を申請、認可されたが、取引先への支払い遅延から信用不安を招き、倒産の措置に至った。負債は1億8000万円。

[出版業界の危機が西と東の印刷会社を直撃し、自己破産や破産となったと見なすしかない。

出版社、取次、書店ばかりでなく、印刷を始めとする企業もまた出版危機のあおりを受け、やはり深刻な状況下にあることを、この2社の破産は伝えている]

16.『出版ニュース』(8/上)掲載の「図書館ウォッチング9」が、茨城県守谷市の指定管理者制度の採用とTRCの受託をめぐって、守谷中央図書館館長や職員の複数辞任問題、CCCの新徳山ツタヤ図書館、延岡ツタヤ図書館などに言及している。

[太洋社のその後の消息ではないけれど、ツタヤ図書館問題などもマスコミや業界紙などでもまったく言及されていないが、これを読むと、まだ問題は何も解決されておらず、続いていることを教示してくれる。

とりわけその始まりであった武雄図書館は来館者数も減少し、書店やスタバの収支を含めても赤字で、5年契約が切れる2年後の検証には様々な視点が必要だとの『佐賀新聞』の言も引かれている。

長期にわたる多様な視点からの検証は、出版業界のすべての分野に必要であることはいうまでもないが、それがなされてこなかったことも、現在の出版危機を招来した原因でもある]

17.「出版人に聞く」シリーズ〈20〉の河津一哉、北村正之『花森安治と「暮らしの手帖」の周辺』は10月上旬刊行予定。

 今月の論創社のHP連載「本を読む」7は「時代小説、探偵小説、民俗学」です。