出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル108(2017年4月1日〜4月30日)

17年3月の書籍雑誌の推定販売金額は1766億円で、前年比2.8%減。送品稼働日が1日多かったことにより、マイナスが小さくなっている。
書籍は1050億円で、同1.2%減、雑誌は716億円で、同5.0%減。
雑誌の内訳は月刊誌が603億円で、同4.2%減、週刊誌は112億円で、同8.9%減。
返品率は書籍が26.5%、雑誌は40.0%で、今年に入って雑誌返品率が3ヵ月連続で40%を超え、書籍をずっと上回っている。
雑誌のほうは販売金額716億円に対し、286億円の返品であり、しかもそれらにはムックとコミックも含まれているわけだから、ものすごい量だと考えるしかない。
書籍は278億円なので、それ以上ということになり、しかも週刊誌、月刊誌は断裁されるしかないし、紙の浪費と見なされ、いずれは紙資源問題にもリンクしていくかもしれない。
書籍にしても、今月は1年ぶりに返品率が30%を下回ったが、村上春樹の『騎士団長殺し』の売れ残りの山はどの書店でも見られるし、ブックオフや三洋堂でもすでに古本が売られ始めている。
この返品も恐ろしい気がする。
騎士団長殺し


1.2016年の雑誌創刊は前年より3点少ない73点で、12年から5年連続で100点を下回った。雑誌銘柄数は2977点、前年比3.3%減となり、3000点を割りこんだ。

 内訳は月刊誌が2896点、週刊誌が81点。創刊、休刊誌一覧は『新文化』(4/13)に掲載。

[日本の出版流通システムが雑誌をベースにして構築されてきたことは、本クロニクルで繰り返し既述しているとおりだ。

しかしその販売インフラは中小書店をメインとする2万店によって支えられていたことを、あらためて実感してしまう。

アルメディアによれば、16年の書店数は1万3041店だったので、現在は1万3000店を割ったとも考えられるし、先頃発表された東京書店組合員数は370店になってしまったのである。そして雑誌もパラレルに減少していったと見なせよう。それと電子雑誌が相乗し、3000誌を下回る状況を招来させたことになろう]



2.『出版月報』(3月号)の特集「2016年文庫本マーケットレポート」の「文庫マーケットの推移」を示す。

■文庫マーケットの推移
新刊点数推定販売部数推定販売金額返品率
(増減率)万冊(増減率)億円(増減率)
19954,7392.6%26,847▲6.9%1,396▲4.0%36.5%
19964,718▲0.4%25,520▲4.9%1,355▲2.9%34.7%
19975,0577.2%25,159▲1.4%1,3590.3%39.2%
19985,3375.5%24,711▲1.8%1,3690.7%41.2%
19995,4612.3%23,649▲4.3%1,355▲1.0%43.4%
20006,09511.6%23,165▲2.0%1,327▲2.1%43.4%
20016,2412.4%22,045▲4.8%1,270▲4.3%41.8%
20026,155▲1.4%21,991▲0.2%1,293 1.8%40.4%
20036,3733.5%21,711▲1.3%1,281▲0.9%40.3%
20046,7415.8%22,1352.0%1,3132.5%39.3%
20056,7760.5%22,2000.3%1,3392.0%40.3%
20067,0253.7%23,7987.2%1,4165.8%39.1%
20077,3204.2%22,727▲4.5%1,371▲3.2%40.5%
20087,8096.7%22,341▲1.7%1,359▲0.9%41.9%
20098,1434.3%21,559▲3.5%1,322▲2.7%42.3%
20107,869▲3.4%21,210▲1.6%1,309▲1.0%40.0%
20118,0101.8%21,2290.1%1,3190.8%37.5%
20128,4525.5%21,2310.0%1,3260.5%38.1%
20138,4870.4%20,459▲3.6%1,293▲2.5%38.5%
20148,6181.5%18,901▲7.6%1,213▲6.2%39.0%
20158,514▲1.2%17,572▲7.0%1,140▲6.0%39.8%
20168,318▲2.3%16,302▲7.2%1,069▲6.2%39.9%

[文庫本販売金額は3年続きの6%を超えるマイナスで、17年には1000億円を割りこんでしまうだろう。16年の書籍推定販売金額の文庫本シェアは14.5%であり、雑誌やコミックと並ぶ書店売上の柱だが、文庫もまたパラレルに落ち続けていることになる。

それは販売部数にも顕著で、16年は1億6302万冊、前年比7.2%減である。こちらも3年連続の7%減となり、20年前と比べれば、1億冊近くのマイナスとなっている。

新刊点数は横ばいだが、2006年の文庫本総流通点数は6万7000点、16年は8万8000点で、2万1000点の増加である。それに対し、07年から16年までの10年間の新刊点数を合算すると、8万1540点で、これを単純計算すれば、16年の総流通点数は15万点を超えるはずだ。だが実際には8万8000点だから、10年間で6万点、1年に6000点の文庫が絶版なっているとわかる。8000点の新刊のかたわらで、6000点が消えている。

それを象徴するように、もはや文庫はロングセラーを中心とするものではなく、新刊、既刊比率が50.3 と49.7%とほぼ半々になっている。それを16年の文庫総流通点数に当てはめれば、新刊8318点と既刊8万点の販売金額がほとんど同じということになり、ここに既刊の絶版が加速している状況が浮かび上がってくる。しかもそれが10年にわたって続いているのである。

これは文庫もまた雑誌と同じような刊行と販売状況に置かれていると見なしていいだろうし、それは文庫も返品されれば補充されずに絶版に追いやられる比率が高いことを告げている。

かつては文庫も2万を超える書店市場に支えられ、既刊の滞留在庫として返品率も低い分野であったが、今世紀に入り、そうした文庫状況も様変わりしてしまったことをこれも実感する。文庫状況も危機にあるというしかない]



3.『FACTA』(5月号)が「朝日新聞『押し紙率32%』に愕然」という記事を発信し、「販売局有志」による内部告発に基づく資料も掲載している。

 それによれば、朝日新聞は1999年に発行部数829万4千部、実売771万3千部、残紙58万1千部だったが、2016年には発行部数654万部、実売444万7千部、残紙209万3千部、残紙率32%となり、3部に1部が配られないまま、毎日廃棄されているという。

 さらに「販売局有志」は東京オリンピックの20年には発行部数463万部、実売部数324万部まで落ちこむと予測し、「この会社がすぐにつぶれるのでなければ、私たちはあなた方よりも長くこの会社に勤めることになります。私たちは自分さえよければいいという愚かな取締役たちに将来をつぶされたくないのです」と締めくくっている。

 また残紙(押し紙)は朝日新聞だけでなく、読売新聞や日経新聞も同様で、毎日新聞や産経新聞はさらに深刻だとの指摘もされている。

[この記事を取り上げたのは、残紙が出版物の返品と相通じるものがあり、リードや における雑誌だけでなく、の文庫にしても、返品率と絶版状況からすれば、断裁率が高くなっていると推測される。書籍にしても、新刊依存度は高まる一方だし、常備寄託、長期委託などによる再出荷の割合は低くなり、かつてのように在庫が出版社の財産と見なせなくなっている。

そのような出版状況の中の高返品率は、新聞の「残紙」(押し紙)と同様に、実質的には雑誌のみならず、書籍も「毎日廃棄される!」に等しい時代を迎えている。

出版業界と新聞業界に共通するのは、紙と活字に加えて再販制で、護送船団的に依存していることである。成長しているうちはよかったが、メディアと社会状況の変化に伴い、もはや制度疲労を起こし、流通と販売システム全体が硬直化し、機能不全に陥ってしまったといっていい。それが宿痾のようなものとして露出してしまったことも共通している。

しかし出版業界において、「私たちは自分さえよければいいとう愚かな取締役たちに将来をつぶされたくないのです」との声は聞こえてこない。それは出版業界のほうがさらに深刻なことを意味しているのかもしれない]



4.『日本の図書館 統計と名簿2016』も出されたので、公共図書館の推移を示す。

 

■公共図書館の推移
    年    図書館数
専任
職員数
(人)
蔵書冊数
(千冊)
年間受入
図書冊数
(千冊)
個人貸出
登録者数
(千人)
個人貸出
総数
(千点)
資料費
当年度
予算
(万円)
1971 8855,69831,3652,5052,00724,190225,338
1980 1,3209,21472,3188,4667,633128,8981,050,825
1990 1,92813,381162,89714,56816,858263,0422,483,690
1997 2,45015,474249,64919,32030,608432,8743,494,209
1998 2,52415,535263,12119,31833,091453,3733,507,383
1999 2,58515,454276,57319,75735,755495,4603,479,268
2000 2,63915,276286,95019,34737,002523,5713,461,925
2001 2,68115,347299,13320,63339,670532,7033,423,836
2002 2,71115,284310,16519,61741,445546,2873,369,791
2003 2,75914,928321,81119,86742,705571,0643,248,000
2004 2,82514,664333,96220,46046,763609,6873,187,244
2005 2,95314,302344,85620,92547,022616,9573,073,408
2006 3,08214,070356,71018,97048,549618,2643,047,030
2007 3,11113,573365,71318,10448,089640,8602,996,510
2008 3,12613,103374,72918,58850,428656,5633,027,561
2009 3,16412,699386,00018,66151,377691,6842,893,203
2010 3,18812,114393,29218,09552,706711,7152,841,626
2011 3,21011,759400,11917,94953,444716,1812,786,075
2012 3,23411,652410,22418,95654,126714,9712,798,192
2013 3,24811,172417,54717,57754,792711,4942,793,171
20143,24610,933423,82817,28255,290695,2772,851,733
2015 3,26110,539430,99316,30855,726690,4802,812,894
20163,28010,443436,96116,46757,509703,5172,792,309

[注視すべきは個人貸出数で、2014、15年は2年続きのマイナスで、7億冊を割りこんでいたが、16年は7億冊を回復している。

本クロニクル98で、出版物の凋落の影響は図書館にも及び、貸出点数もピークアウトしたのではないかとの推測を述べておいたけれど、それが17年も同様であるかはさらに数年のウォッチを要すると考えられる。しかしいずれにしても、書籍の推定販売部数は2011年から7億冊を下回り、12年6億8790万冊、13年6億7738万冊、14年6億4461万冊、15年6億2633万冊であるから、図書館の貸出冊数に抜かれてしまい、水をあけられていくばかりだった。16年はそれがさらに広がり、6億1769万冊であるので、図書館貸出冊数のほうが8600万冊も多いという状況を迎えてしまった。おそらく17年は推定販売部数が6億冊を割ることも考えられるので、図書館貸出冊数との差は1億冊に及んでいくだろう。

本クロニクルでも繰り返し、書店と棲み分けを考慮しない公共図書館の増加が書店を駆逐していったことに言及しているが、その結果がこのような貸出冊数と販売冊数の大きな逆転と差となって現実化したのである。

現在の出版危機の背後には書店の減少と、公共図書館の増加に伴う、貸出数の販売冊数を上回る増加があるといっても過言ではない。

その一方で、『出版ニュース』(4/中)の村田忠夫「東京ユニオンの取り組み」は図書館の現在の職場状況を伝え、それはやはり出版業界の現在の鏡像でもあることを示唆しているといえよう]



5.CCCは新しい商業施設「GINZA SIX」に「銀座蔦屋書店」700坪を開店。

 絵画や写真関連書、国内外美術展図録など6万点を扱う。


6.エディオンはCCCとジョイントし、広島市に新型の家電量販店「エディオン蔦屋家電」を開業。

 家電と関連する本や雑貨を一緒に並べ、カフェも設け、世田谷の蔦屋家電の2店目。


7.三省堂名古屋本店がタカシマヤゲイトタワーモール8階にワンフロア1000坪でオープン。

 雑貨の「神保町いちのいち」30坪とカフェの上島珈琲(UCC)40坪も併設。


8.未来屋書店はブック&カフェ業態の新店「未来屋書店大津京店」260坪と「ミライヤ・ブックマーク・ラウンジカフェ大津京店」45坪を、イオンスタイル大津京4階にオープン。

 未来屋書店のブック&カフェは4店目。

[書店数が1万3000店を割りこんでいく一方で、新業態のブック&カフェなどの出店が続いていることになるが、このような出版状況下において、書店売上を採算にのせることはきわめて難しい。芸術書専門店にしても、家電とのジョイントにしても、打ち上げ花火的なものでしかないし、フランチャイズのビジネスモデルに不適格であることはいうまでもないだろう。

折しも『週刊東洋経済』(4/15)が「フランチャイズ 天国と地獄」特集を組んでいる。そこに17年3月時点の「業種別FC店舗数の増減表」が掲載され、CCCのTSUTAYAFC店舗数は1451となっている。本クロニクル106で、MPD経由のTSUTAYAは812店と記しておいたが、それ以外にも600店を超えるFCがあり、それにも日販が絡んでいるのだろうか。

CCCは会社分割による東北TSUTAYA、関西TSUTAYA、日本レジスターサービスの3社の設立も発表している。

また大型店出店に関してだが、前回の本クロニクルで、これも名古屋の栄進堂破産問題として、その在庫図書の所有権は破産会社にあり、その処分権は破産管人に存するという弁護士から出版社への「照会状」を示しておいた。この問題をめぐって業界紙などではまったく報じられていないが、この破産管財人弁護士の申し立てが法的に認められるならば、取次が書店在庫を回収し、売掛金の相殺に当てることも不可能になってしまう。それに加えて、大型店の初期在庫売掛金、出版社の常備寄託、長期委託、延勘口座もまた回収できないことになろう。

もし多大な買掛金と在庫を有するナショナルチェーンが自己破産したら、それらはたちまち取次を直撃し、めぐりめぐって出版社にも及ぶであろう。取協にしても、書協にしても、これは焦眉の重要問題に他ならず、そのような事態が発生した場合、いかなる対応と処置を考えているのだろうか]
週刊東洋経済



9.ブックオフは松下展千社長が代表権のない取締役に退き、コンサルティング会社出身で2006年入社、40歳の堀内康隆取締役執行役員が後任となる。

 ブックオフは17年3月期売上高が50億円減の800億円、営業損益が4億円で2年連続の赤字となる見通しで、業績の早期回復と企業価値の向上のための社長交代とされる。

[ブックオフの社長交代と連続赤字は、出版物の凋落がブックオフにも及んできたこと、またそれにより従来のフランチャイズビジネスの展開ができなくなってきたことを象徴しているのだろう。

ブックオフの創業は1990年で、すでに30年近くが過ぎ、出版物をめぐるメディアと社会環境が激変していることから考えれば、これからの成長は難しいと見なすしかないし、後退戦に追いやられていくと判断していいように思われる。株主の大手出版社も株が暴落する前に売り抜けたほうがいいかもしれない。

ブックオフビジネスの実像に関して必要とあれば、拙著『ブックオフと出版業界』(ぱる出版、のち論創社)を参照されたい]
ブックオフと出版業界



10.ワンダーコーポレーションの連結算は売上高741億9600万円、前年比5.4%減、当期純損失は11億2400万円の減収減益。2年連続の赤字決算。

 事業別内訳はWonder Goo事業が388億4300万円、同7.1%減、リユースのWonder Rex事業が74億3400万円、同12.0%増、TSUTAYA事業が151億4100万円、同3.2%減、新星堂事業124億5100万円、同11.7%減である。

[ワンダーコーポレーションはレンタル、CD、DVDゲームソフト販売などがメインなので、本クロニクル99 の「書籍・文具売上高ランキング」には登場していないが、TSUTAYA事業に示されているように、TSUTAYAのフランチヤイズとしての書店も兼ねている。

そのような複合のワンダーコーポレーションにしても、2年連続赤字は のブックオフと同様であり、やはりゲームソフトと販売やレンタルなどの複合型ビジネスモデルが成立しなくなったことを示唆している。

次年度は売上高725億円、前年比2.3%減との予想が出されているが、リストラも始まるだろうし、3年連続赤字を避けられるであろうか]



11.大阪屋栗田は服部達也副社長が代表取締役となり、企画管理本部とリーディングスタイルも管掌。

[前回の本クロニクルでも、日販の社長と副社長の代表取締役の二人体制を伝えたが、大阪屋栗田も同様となった。

ただこれも本クロニクル99 で既述しておいたように、服部は楽天出身であり、大竹深夫社長は退任するとも伝えられているので、実質的に大阪屋栗田は楽天主導のかたちで進んでいくことになろう。

昨年の段階では「本業のこれまで以上の強化」と「ネットとリアル書店の連携」が謳われていたが、その取次としての「本業」を楽天が担っていくとは思われないし、それは困難だと判断するしかない]



12.『選択』(4月号)が「マスコミ業界ばなし」で、アマゾンの電子書籍定額読み放題サービス「キンドル・アンリミテッド」問題のその後に言及している。

 それによれば、一方的に削除された大手出版社の小学館や光文社のなどの多くが、「アンリミテッド」への書籍提供を再開したけれど、講談社だけは「勇気ある抵抗」を示し、再開しておらず、「アマゾン側の誠意ある対応を求め、交渉を続けている」という。

 [しかしこの記事にしても、巻末ページの補遺のような発信で、『選択』のような直販誌であっても、「アマゾンが事実上、紙の書籍を扱う日本最大の書店である状況」ゆえに、配慮を示していることになろうか。

アマゾンの動向は業界紙でも報道されないが、日販非在庫商品取り寄せ=バックオーダー発注に関しては、6月をもって取引継続を打ち切るとの決定が出版社に通達されている。つまり7月以降のバックオーダー発注は、直接取引を推進していくとの通達であろう]



13.前回のクロニクルでメディアドゥの出版デジタル機構の子会社化を伝えたが、そのメディアドゥの決算が出された。

 売上高155億円、前年比38.2%増、経常利益6億円、同18.8%増、純利益4億円、同23.9%増となり、大幅な増収増益決算。

[そのうちの国内外向け電子書籍事業は142億円、同33.9%増で、それは「楽天マンガ」や「GEOマンガ」へのコンテンツ配信やシステム提供の比重が高いと思われる。ちなみにLINEの「LINEマンガ」は月商10億円を超え、前年比50%増だという。

なおメディアドゥは電子コミックの成長を織りこんでか、今期の売上高を200億円と想定している]



14.コンビニ各社は各店舗への出版物配送時間指定の緩和を実施し、従来の前後30分だった幅を前150分、後30分へと変更。

[出版輸送問題については本クロニクル105 から続けてふれているが、コンビニの時間指定緩和はそうしなければ、コンビニ配送が止まりかねない状況にあったと見なすしかない。

しかしそれだけで問題が解決したわけではなく、ヤマト運輸の値上げも控えているし、配送料も問われていくことは必至だ。

また大手コンビニ5社は25年までに全商品に電子タグをつけることに合意したとされる。消費者のセルフレジと人手不足の解消、及び現在の電子タグ1枚10円から20円を1円以下にするために、18年をめどに一部地域で実験を開始するという。

まだ先のことだとしても、雑誌売上のさらなる減少と配送問題の深刻化、それに電子タグのことも含めると、コンビニでの雑誌販売の行方が見えてくるように思われる]



15.古本買取りのバリューブックスは、音楽書のアルテスパブリッシング、ビジネス書などの英治出版、哲学書などのトランスビュー、文芸書の夏葉社とミシマ社の5社と提携し、バリューブックスが買い取った提携出版社の古本が再度売れた場合、売上の33%を出版社に還元する。
 17年から5社を対象に開始し、提携先を広げることも検討する。

[バリューブックスはアマゾンの「マーケットプレイス」に出品し、年間160万冊を扱い、16年売上高は16億円に達するという。

その提携の仕組みをアピールする専用ページを開設するということなので、それを見てみると、社外取締役として「本屋B&B」の内沼晋太郎が出てくる。そしてこのような企画の構図と人脈が浮かび上がってくることになる]



16.「出版人に聞く」シリーズ番外編の鈴木宏『風から水へ』は遅れてしまったが、5月下旬に刊行予定。

 論創社HPの今月の「本を読む」15 は「1960年代の河野典生と『殺意という名の家畜』」です。