出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル157(2021年5月1日~5月31日)

21年4月の書籍雑誌推定販売金額は1073億円で、前年比9.7%増。
書籍は581億円で、同21.9%増。
雑誌は492億円で、同1.8%減。
雑誌の内訳は月刊誌が420億円で、同0.7%減、週刊誌は72億円で、同8.2%減。
返品率は書籍が27.5%、雑誌は40.3%で、月刊誌は39.3%、週刊誌は45.3%。

4月の大幅なプラスは前年同月が11.7%減、書籍に至っては21.0%のマイナスであったことが大きく影響している。その反動として書籍の21.9%増があるわけで、書籍の店頭売上も14%増となっている。
しかしこの出版科学研究所のデータは取次出荷金額から書店の取次への返品金額を引いたもので、あくまで実売金額ではないことに留意されたい。
それでも2020年のGDPが4.6%減、21年1月から3月のGDPが5.1%減とされていることからすれば、出版物はまだ健闘しているというべきかもしれない。


1.講談社、小学館、集英社と丸紅が出版流通の問題を解決し、新しい出版流通の仕組みをつくる新会社を年内に設立すると発表。 
 それは「AIの活用による業務効率化事業」と「RFID活用事業」の2つで、前者はAIを使っての書店配本や発行部数などの算出、後者は書籍や雑誌にICタグを付し、在庫や販売状況の管理を目的とする。
 丸紅は大手出版社3社の要請を受け、新会社に参画する。

 この新会社設立に関して、『日本経済新聞』を始めとする全国紙が、丸紅と大手出版社3社が組んでデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、流通事業を始めると報道したことから、新しい取次が誕生するかのように受け止められた。
 しかしこれが先走った誤報であることは、大阪屋栗田の失敗と楽天BNへの移行を考えればただちにわかるはずだ。『出版状況クロニクル5』でトレースしているように、2016年に大阪屋は栗田を吸収合併し、大阪屋栗田となった。それを主導したのは講談社や小学館で、集英社などとともに株主となり、社長には講談社の大竹深夫が就任した。ところが18年には第三者割当増資により、経営権は楽天に移り、その子会社となったのである。
 つまりそれらの事実は大手出版社3社による取次経営が失敗したことを物語り、出版社にとって取次は鬼門であることを肝に銘じたはずだ。
 そのことを認識していれば、今回の報道の信憑性に疑いがあることは自明だったと思われる。



2.『新文化』(4/29)が「トーハンが描く書店の未来像」と題して、トーハンの近藤敏貴社長にインタビューしている。

 これは前回の本クロニクルでふれたメディアドゥとの資本業務提携に基づく「電子書籍」「デジタル付録」「電子図書館」に関してである。
 だが「電子書籍」は「詳細なスキームや販売方法は検討中」。「デジタル付録」は「付録のコンテンツをつくるのは出版社、加工するのはメディアドゥ、書店に供給するのはトーハン」だが、書店マージンは「いまの段階ではなんともいえません」。「電子図書館」は「メディアドゥ傘下のOven Drive社と、トーハンの支社・支店が、公共・学校図書館に電子図書館の導入を促進」する。
 「皆が同じ方向で努力すれば、道は必ず拓ける」し、「当社はルビコン川を渡りました。地域書店と出版流通の持続的発展のために、不退転の覚悟で臨んでい」く。

 その一方で、このままいけば、24年にグループ書店法人はすべて赤字に転落するし、今期の取次事業も10億円の赤字だと述べている。また不動産収益は13億円で、来期からさらに成長させていくと。
 結局のところ、3つのメディアドゥ絡みの新事業に関してだけでなく、トーハンや書店の「未来像」はコンクリートに語られておらず、本社跡再開発事業などの不動産収益だけが浮かび上がってくるインタビューとなっている。



3.4月の書店閉店は26店、開店は12店だが、変更店として、かなり多くの書店がリストアップされている。
 これらは楽天BN帳合の書店で、楽天が丸善ジュンク堂のみならず、実質的に書店取次から撤退しつつあることを告げているのだろう。

 これは前回の本クロニクルでふれているように、地方・小出版流通センターの「最大の危機」との認識を示しておいたが、中小書籍出版社の返品額が次第に明らかになり、やはり「最大の危機」を迎えつつある。本クロニクル155で予測しておいたことが現実化してしまった。
 どの出版社も楽天BNのこれまでの年商を超えるもので、これから1年の注文によって相殺することが困難な金額に達している。それにこれらの変更店の返品を加えれば、さらに増えていくことになる。
 現在のところ、楽天BNから逆ザヤ分を現金で相殺するようにとの要請は出されていないけれど、そのままで放置されるとは思われない。そうなると、さらなる危機が押し寄せてくる。出版社ではないにしても、取次としてのJRCやトランスビューもその余波を受けているかもしれない。
 なお変更書店はいずれ明らかになるだろうし、ここではまだ確定されていないと思われるのでリストを示さない。
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4.コロナ禍による東京、京都、大阪、兵庫の4都道府県に発出した政府の3回目の緊急事態宣言によって、4月25日から5月11日まで休業を強いられた書店は300店とされる。
 休業書店は取次別でトーハン150店、日販110店、楽天BN46店。

 300坪を超える商業施設などの大型店舗の対象となるために、そこにテナント出店している書店も休業を余儀なくされ、紀伊國屋、丸善ジュンク堂、有隣堂、くまざわ書店、蔦屋書店、リブロ、大垣書店などのチェーン店も含まれている。
 その後、緊急事態宣言は北海道、愛知、岡山、広島、福岡、沖縄にまで及んでいるが、5月末時点における書店休業の現状は伝えられていない。
 
 本クロニクル145で既述しておいたが、昨年の5月の書店休業はトーハンが700店、日販が640店だったことに比べれば、今年はまだ少ないといえるであろう。
 ただそうはいっても、このような休業が書店の体力を衰えさせることは確実だし、トータルとしての返品の行方も気になるところだ。
odamitsuo.hatenablog.com



5.5月11日の『朝日新聞』『読売新聞』『日本経済新聞』3紙に、「緊急事態」として、宝島社の二面の全面広告が掲載された。
 コロナの拡大写真と戦時中に竹槍訓練をする児童を描いたもので、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ政治に殺される。」との見出しコピーに続いて、次のような「怒り」の一節が挙がっていた。
 「私たちは騙されている。この一年は、いったい何だったのか。いつまで自粛をすればいいのか。我慢大会は、もう終わりにして欲しい。ごちゃごちゃ言い訳するな。無理を強いるだけで、なにひとつ変わらないではないか。今こそ、怒りの声をあげるべきだ。


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 『FACTA』(6月号)がこの宝島社の広告を転載、引用しながら、「COVER STORY『令和の東条内閣』」として「万骨枯る菅『五輪決行』」を発信している。
 宝島社の広告から、コロナ対策の現状をガダルカナル島の戦いやインパール作戦にたとえ、それらの大量の戦死者を出した後に、本土決戦を唱えた東条内閣に擬し、「もはや五輪開催国のメンツという国体を擁護し、菅首相が続投するため、国民は黙々と竹槍担いでコロナ敗戦への白骨街道をびくびくよろよろ歩くしかないのだろうか」と結ばれている。

 『選択』(5月号)も、「政治家の嘘で汚れた『東京五輪』」において、福島の汚染水は「コントロール」されているという安倍の嘘から始まり、嘘の連鎖が続いた「東京五輪」の内実を衝いている。
 いずれも直販誌ならではの記事で、購読者も増えているようで何よりだ。『選択』の21年3月期は購読料収入が11.8%増とされ、それは『FACTA』も同様だと思われる]
f:id:OdaMitsuo:20210525175025j:plain facta.co.jp  www.sentaku.co.jp



6.KADOKAWAの連結決算は売上高2099億4700万円、前年比2.6%増、営業利益は136億2500万円、同68.5%増、当期純利益は95億8400万円、同18.4%増の増収増益となった。
「出版事業」売上高は1295億7500万円、同10.5%増。
「映像事業」売上高は313億1400万円、同8.2%減。 
「ゲーム事業」売上高は166億3600万円、同16.9%増で、「出版」と「ゲーム」は2ケタ増となっている。


7.イーブックイニシアティブジャパンの決算は売上高299億5100万円、前年比40.7%増、営業利益は9億5700万円、同20.7%増、純利益は6億6300万円、同21.7%増、売上高、営業利益ともに過去最高の実績。
「ebooksjapan」を展開する「電子書籍事業」売上高は230億1700万円、同41.8%増、紙書籍のオンライン販売「クロスメディア事業」売上高は69億3300万円、同37.4%増。


8.インフォコムの連結決算は売上高680億5500万円、前年比16.6%増、営業利益は108億1200万円、同31.7%増、純利益は62億7600万円、同13.2%増の過去最高益。
「めちゃコミック」などの電子コミック配信事業のネットビジネス部門売上高は440億2700万円、同33.5%増、営業利益は79億9000万円、同59.7%増。


9.インプレスHDの連結決算は売上高140億4900万円、前年比4.0%増、営業利益は8億3600万円、同6.3%減、純利益は6億9000万円、同15.8%減の増収減益。
 コンテンツ事業売上高は116億1400万円、同2.0%増で、電子出版とデジタル広告が好調に推移。


10.アルファポリスの決算は売上高77億3500万円、前年比37.4%増、営業利益は21億6300万円、同48.0%増、純利益は13億3400万円、同51.7%増と最高益。
 漫画やライトノベルが好調で、ウェブサイトの月間ユニークユーザー数は436万1000人となり、過去最高を更新。

 雑誌や書籍の出版社というよりも、電子書籍、電子コミック出版社プロパー、もしくは移行しつつある出版社の決算を並べてみた。
 本クロニクル155で、コロナ禍の中での電子コミックの3420億円という急増、講談社の紙媒体を上回るデジタル版権分野の「事業収集」を含む決算、同156でメディアドゥとビーグリーの決算にもふれているが、電子コミックストレンドはさらに加速していくであろう。
 だがそこにのトーハンの「電子書籍事業」ではないけれど、書店における「詳細なスキームや販売方法」はまったく見えていないに等しい。『鬼滅の刃』ブームが去った後の書店のコミック売場はどうなるのだろうか。
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11.丸善CHIHDの決算は売上高1716億2100万円、前年比2.6%減。コロナ拡大による臨時休業などで固定費6億円を特別損失としたことで、営業利益は38億8200万円、同12.4%増、純利益は20億9100万円、同0.7%増。
 主力の書籍部門「店舗・ネット販売事業」売上高は670億400万円、前年比9.2%減、営業利益は1億2100万円、同48.9%減。店舗数は101店。


12.三洋堂HDの連結決算は売上高208億8500万円、前年比4.6%増、営業利益は6億3600万円、同319.2%増、純利益は1億8700万円(前年は13億400万円の損失)の増収増益。
 部門別の「書店」(雑誌、書籍)売上高は138億5000万円、同10.2%増。店舗数は74店。

 コロナ禍の中でのチェーン書店であっても、都市型大型店と郊外型複合店の明暗をダイレクトに示す決算なので、並べて挙げてみた。
 丸善ジュンク堂は臨時休業などのダメージが強いが、三洋堂はコミックに支えられた「書店」だけでなく、「TVゲーム」なども好調で、近年にない営業利益となっている。
 しかし今回の緊急事態宣言は愛知県にも及んでいるので、三洋堂も影響を受けざるを得ないであろう。



13.アバンティブックセンターやアミーゴ書店を展開するアバンティブックセンターは、トーハン100%子会社のブックファーストに事業譲渡。
 アバンティブックセンターは和歌山、大阪、京都、兵庫で15店、アミーゴ書店は大阪、京都、兵庫で18店が展開されている。

 『出版状況クロニクルⅣ』で、1988年にアバンティブックセンターはスーパーのイズミヤの子会社として設立され、2015年にイズミヤがトーハンに全株式を譲渡し、トーハン傘下に入ったことを既述しておいた。
 それがまたしても、ブックファーストへと転売されるのは循環取引のような印象を拭えないし、同様のことがこれからも繰り返されていくと思われる。



14.昭文社HDの決算は売上高63億1300万円、前年比21.8%減、営業損失は14億4800万円(前期は6500万円の営業損失)。
 コロナ禍により事業用資産を減損、特別損失6億2600万円を計上し、純損失は23億7400万円(前期は1億2900万円の純利益)となった。
 出版事業が含まれるメディア事業のセグメント売上高は39億5900万円、セグメント損失は20億1000万円だった。
 コロナ禍の拡大で、海外旅行ガイドブックなどの出版物実売に大きな影響があったとされる。

 実際に書店売上は半減してしまったようで、日販売上は前期の17億4200万円に対して10億4000万円、トーハンは前期の17億4200万円に対して9億4500万円となっている。
 この事実から類推すれば、他の旅行書やガイドブックにしても、半減したと考えられ、本クロニクル151や155でふれたダイヤモンド・ビッグ社の「地球の歩き方」シリーズの学研プラスへの譲渡が了承されるのである。
 またこれから出版社によっては旅行書やガイドブックから撤退するところも出てくるであろう。



15.ブックオフは相模原市とリユース推進や空き家の活用地域産業の推進などの包括連携協定を締結。
 空き家や物の処分をめぐる活用において、リサイクル業界が廃棄、収集、運搬業者とコラボしていくという趣旨だとされる。

 1990年代に郊外消費社会の隆盛に伴い、郊外型書店、ブックオフ、レンタル複合店のTSUTAYAが再版委託制から生まれた団子3兄弟のようなかたちで出揃った。
 しかしアマゾン、ネットフリックスなどの動画配信、電子コミックスが出現するに及んで、3兄弟の市場も変わっていかざるを得ないし、様々な試みが手がけ始められていると推測される。



16.TSUTAYAの一部店舗で、「新刊本はメルカリで意外と高く売れる!」というPOPを添えた「実証実験」キャンペーンを行ない、ネットで「転売を推奨」「作家への敬意を欠く」「万引きを助長する」などの批判を浴び、キャンペーンを中止。

 書店の売る側の論理とPOPの自在さを考えれば、何ら咎めるに値しないと思われるし、この程度の企画しか考えられないTSUTAYAのレベルが露呈したと見なせばいいだけである。それが騒ぎになってしまうことこそ、現在の書店を取巻く販売環境を伝えているのだろう。
 これもTSUTAYAの最大のFCであるトプカルチャーの一部店舗ではDVDレンタルを止めたようだ。



17.『みすず書房図書目録2021』の巻末「常備店一覧」を見て、ずっと参照してきた『同1997』に比べ、常備店が半減していることに気づいた。
 後者が6ページあったことに対し、前者は3ページになっていた。

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 これはみすず書房の『現代史資料』に関して何本か書く必要があり、現在の在庫状況を確認するために取り寄せたところ、この20年の間に書店地図が大幅に変わってしまったことにあらためて気づかされた次第だ。
 しかもその常備店には蔦屋書店やTSUTAYAが6店も含まれていて、複雑な思いに捉われた。一方には16に記したTSUTAYAがあり、もう一方には蔦屋書店があることになる。それも現在の書店状況を示していよう。



18.白取千夏雄『「ガロ」に人生を捧げた男 全身編集者の告白』(興陽館)を読了。

『ガロ』に人生を捧げた男 ― 全身編集者の告白 f:id:OdaMitsuo:20210526141134j:plain:h115

 同書は知らなかった『ガロ』の終刊をめぐる物語で、2019年にインディーズ本『全身編集者』(おおかみ書房)として出され、絶版となっていたが、ここに当事者の証言も付され刊行された。
 白取は1984年青林堂に入社し『ガロ』編集者として、創業者の長井勝一に寄り添っていく。しかし『ガロ』は部数の低迷からコンピュータ会社の子会社となり、白取も青林堂からツァイトに移籍し、『ガロ』新編集長と『デジタルガロ』編集長を兼任するが、『ガロ』分裂騒動が起き、白取も否応なく、その渦中に巻きこまれていく。その後始末に至る経緯と事情を記し、彼は亡くなっている。まさに知られざるコミック史に他ならない。
booth.pm



19.文弘樹『こんな本をつくってきた』(SURE)はサブタイトルに「図書出版クレインと私」とあるように、文の個人史とクレインの出版史が重なるかたちで語られている。

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 ここであらためて喚起されたのは1980年代から90年代にかけての小出版社状況で、その中からクレインしても版元のSUREにしても立ち上がってきたことだ。また映画『パッチギ』の背景も。
 私がクレインを知ったのはちくさ正文館で、そこにサイード『ペンと剣』や『佐藤泰志作品集』が置かれていたからだ。
 またこの一冊が黒川創との対談形式によっているのは、私がインタビュアとなっている「出版人に聞く」シリーズに触発されたのではないかと思ったりもした。
 同書は直販なので、下のサイトから入手してほしい。
www.groupsure.net パッチギ! (特別価格版) [DVD]



20.ネットフリックスで映画『ヤクザと家族 The Family』を観た。

f:id:OdaMitsuo:20210526145320j:plain:h120 【映画パンフレット】ヤクザと家族 The Family 監督 藤井道人 出演 綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗 ヤクザと家族 (角川文庫)(角川文庫) キネマ旬報 2021年1月上・下旬合併号 No.1857

 これはヤクザと疑似家族をめぐる物語で、1999年、2005年、2019年の3部構成のヤクザクロニクルといっていい。そこに思わず疑似コミュニティとしての出版業界の解体をも重ねて観てしまった。
 ただ監督、脚本の藤井道人は1986年、主演の綾野剛は82年生まれで、その年齢から私たちと異なるヤクザ映画環境の中にあったことがわかる。それに対して、共演の舘ひろしは50年、企画制作/エグゼクティブプロデューサーの河村光庸が49年生まれで、私たちと同世代の2人がこの映画を支え、送り出したことを実感してしまう。
 なお『キネマ旬報』(1/上・下合併号)が特集を組み、河村の「一元化していく社会に対して、新しい価値観を提供する創造性、多様性がより必要」だとする言葉を引いている。



21.辛島デイヴィッド『文芸ピープル』(講談社)を読んだ。

文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々

 これは英語圏における日本の現代文学翻訳状況に言及した一冊で、村田沙耶香『コンビニ人間』(文藝春秋)の英訳Convenience Store Woman の商業的成功をあらためて教えられた。
 それで想起したのは増田みず子『シングル・セル』(福武書店、1986年)で、これも日本の女性作家による先駆的小説と思われるので、独訳はあるようだが、英訳を望まずにはいられない。
 「シングル・セル」と「コンビニ人間」は併走するようにして、21世紀の中にある。しかし前者は本屋の店員にもなったりするが、後者はコンビニに棲息したままでいる。それも21世紀を表象しているのだろう。

コンビニ人間 (文春文庫) Convenience Store Woman シングル・セル (福武文庫)



22.論創社HP「本を読む」〈64〉は「近代社と日夏耿之介」です。
 『出版状況クロニクルⅥ』は遅れてしまい、6月半ばに刊行予定。

ronso.co.jp