前回の『十二階崩壊』に見られる今東光の「十二階」への否定的見解とは対照的な思いを描いていた同時代人もいたにちがいない。その一人は江戸川乱歩であり、「十二階」を舞台装置として昭和四年(『新青年』六月号)に「押絵と旅する男」を発表している。 米…
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