2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧
春秋社・松柏館の探偵小説シリーズの出版は昭和十年一月夢野久作『ドグラ・マグラ』から始まったのではないだろうか。幸いにして『ドグラ・マグラ』は平成七年に沖積舎から覆刻版が出され、その函背には「幻魔怪奇小説」と謳われ、松柏館書店版とあった。ま…
柳田泉編『世界名著解題』は発行所を春秋社、発売所を松柏館として刊行されている。これはあらためていうまでもないけれど、編集と生産は春秋社、流通と販売は松柏館が担うという同族会社の出版分業システムと見なすべきであろう。つまり取次口座は松柏館名…
春秋社の『大思想エンサイクロペヂア』は異なるバージョンの企画も生み出していく。それは昭和十三年に刊行された柳田泉編『世界名著解題』全三巻で、そのうちの二冊が手元にある。 (『大思想エンサイクロペヂア』)(『世界名著解題』) 柳田は拙稿「春秋…
本探索1224、1225の『世界大思想全集』に続いて、春秋社から菊判の『大思想エンサイクロペヂア』も刊行されていく。しかしこちらも書誌的にいって全巻数の確認が難しいようで、『全集叢書総覧新訂版』では全二十一巻、『春秋社図書目録創業100年二〇一八年度…
前々回の暁書院のフランツ・ノリス『オクトパス』は入手していないけれど、やはりノリスの犬田卯訳『小麦』は手元にある。これは上下巻で、昭和十七年に牛込区新小川町の片山量雄を発行者とする肇書房から刊行されている。 しかし『小麦』を古書目録で見つけ…
春秋社の「世界家庭文学名著選」ではないけれど、円本と認識されていないシリーズはまだ他にもいくつもあり、「世界文学大綱」もそのひとつと見なすべきだろう。それは大正十五年に東方出版株式会社(東方出版)から全十八巻で刊行されている。この版元は京…
前回の春秋社「世界家庭文学名著選」の訳者の一人である加藤朝鳥をたどって、大正時代の翻訳も兼ねた文学者のポルトレを描いてみたい。それは浜松の時代舎で、加藤が訳したバアナアド・シヨウの『神を探す黒人娘の冒険』を買い求めたばかりだし、数年前にそ…
前回の最後のところでふれた春秋社の「世界家庭文学名著選」のラインナップを挙げてみる。このシリーズは「全訳」が売りのようで、大半のタイトルにそれが付されているが、ここでは省略する。 1 フアラア 村山勇三訳 『三家庭』 2 マロック 中村千代子訳 『…
前回のエドワード・スペンサーと同様に、オーギュスト・コントもまた忘れられてしまった思想家であろう。それにコントの場合、森村進編訳『ハーバート・スペンサー』のような新訳アンソロジーも編まれておらず、その復権は難しいように思われる。しかし清水…
本探索1219で、板垣退助が明治十六年の外遊の際に、スペンサーとも会っていたことにふれておいた。それゆえに板垣が持ち帰った英仏独の数百巻の中にスペンサーの著作もあったはずだ。 しかしスペンサーの『社会平権論』はすでに明治十四年から松島剛訳によっ…
21年11月の書籍雑誌推定販売金額は955億円で、前年比0.6%増。 書籍は542億円で、同11.0%増。 雑誌は412億円で、同10.4%減。 雑誌の内訳は月刊誌344億円で、同10.8%減、週刊誌は68億円で、同8.1%減。 返品率は書籍が33.6%、雑誌は41.3%で、月刊誌は40.7%、週…