出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話756 富永董、北野博美、地平社書房「民俗芸術叢書」

本連載749、750と続けて小寺融吉の本を取り上げてきたが、書き終えてから、浜松の時代舎に出かけ、柳田国男の『民謡の今と昔』を見つけた。これは昭和四年に地平社書房から刊行されたものである。四六判一四六ページの地味な本で、調べてみると、筑摩…

古本夜話755 畝傍書房と棚瀬襄爾『民族宗教の研究』

少しばかり飛んでしまったが、この際だから、ここで昭和十六年に畝傍書房から刊行された棚瀬襄爾の『民族宗教の研究』をはさんでおこう。この出版社名は日本の古代文化をイメージさせる奈良の地名を借用したと見ていいし、本連載741などの森本六爾や樋口…

古本夜話754 桑原天然「精神霊動」シリーズと開発社

拙稿「心霊研究と出版社」(『古本探究3』所収)で、日本心霊学会の刊行書目を挙げ、大正十三年に渡辺藤交の『心霊治療秘書』が出されていることを既述しておいた。本連載137でもふれておいたように、この渡辺藤交こそが、『出版人物事典』などに立項さ…

古本夜話753 カーリングトン、関昌祐訳『現代心霊現象の研究』と福来友吉

二回続けて人文書院の文芸書にふれてきたが、拙稿「心霊研究と出版社」(『古本探究3』所収)や本連載137で言及しておいたように、人文書院は日本心霊学会としてスタートしている。その拙稿で、大正十三年から十五年にかけての日本心霊学会としての出版…

古本夜話752 人文書院の文芸書出版と『文芸日本』

前回の丸岡明『或る生涯』の巻末広告を見ると、昭和十年代半ばの人文書院が『作家自選短篇小説傑作集』だけでなく、多くの文芸書を刊行していることがわかる。そこには佐藤春夫『むさゝびの冊子』、岸田国士『時・処・人』、吉江喬松『朱線』、正宗白鳥『一…

古本夜話751 丸岡明『或る生涯』と『作家自選短篇小説傑作集』

前回の丸岡明の作品集を入手している。それは昭和十五年に人文書院から刊行された『或る生涯』で、『作家自選短篇小説傑作集』の一冊である。このシリーズのキャッチコピーとして、「書中の各短篇は、作家自らが、最も自信と愛情を持つ、文字通りの代表作許…

古本夜話750 宮尾しげを、『をどりの小道具』、能楽書林

前回の小寺融吉『郷土民謡舞踊辞典』には民謡舞踊に伴う様式や、身体の動きを描いた多くの絵画が添えられていた。だがそれにふれられなかったので、続けてもう一編書いておきたい。 (復刻) まだテレビがなかった戦前の時代において、このような辞典を編む…

古本夜話749 小寺融吉『郷土民謡舞踊辞典』と市村宏

『ミネルヴァ』に関してもう一編書いておきたい。といってもそれは『ミネルヴァ』自体ではなく、第五号の裏表紙に掲載された広告の書籍についてである。 その書籍は小寺融吉の『日本民謡辞典』で、「少部数を限定読者への奉仕」と謳われ、定価四円のところを…

古本夜話748 直良信夫と松本清張「石の骨」

前々回の山内清男と喜田貞吉の「ミネルヴァ論争」が続いている『ミネルヴァ』第四号に、直良信夫が「日本の最新世と人類発達史」を寄稿している。「最新世」とは洪積世をさし、直良の論稿は発掘化石や石器などの写真も示し、この時期から日本の旧石器時代も…

出版状況クロニクル117(2018年1月1日~1月31日)

17年12月の書籍雑誌の推定販売金額は1143億円で、前年比10.9%減。 書籍は556億円で、同3.4%減。 雑誌は586億円で、同17.0%減と4ヵ月連続の2ケタマイナス。 しかもかつてない最大のマイナスとなり、17年は雑誌史上初めての10.8%という2ケタマイナス。 その内…