2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
クロポトキンは『ある革命家の思い出』において、もう一度反復すれば、十九世紀後半の政治状況を次のように分析している。国際労働者協会(第一インターナショナル)は万国の労働者の連帯と団結に基づき、資本と戦うという思想によってヨーロッパで隆盛を迎…
『ある革命家の思い出』に述べられているように、クロポトキンは前回ふれた一八七二年のスイスにおける国際労働者協会(第一インターナショナル)の歴史と活動への注視、及びジュネーブ統一支部での国際労働者運動の実態を知ったことで、ロシアに帰ると、チ…
クロポトキンは『ある革命家の思い出』に記されているように、一八七二年の初めての西ヨーロッパ旅行で、スイスに向かった。それは長きにわたって国際労働者協会=第一インターナショナルのことを確かめたいと思っていたからだ。それまで多くの成果をもたら…
高杉一郎の訳業として、クロポトキンの『ある革命家の思い出』を忘れるわけにはいかない。これは昭和三十七年に平凡社から刊行された『世界教養全集』26に収録されたもので、その後『ある革命家の手記』と改題され、五十四年には岩波文庫の上下本となってい…
ここでスメドレーに戻る。本探索1433のスメドレーの『女一人大地を行く』の尾崎秀実による「アグネス・スメドレー女史の旅」という序文において、ドイツ版の表紙に彼女の「複雑な表情が大写し」で使われていることへの言及がある。それに関して、尾崎が通っ…
これも浜松の典昭堂で見つけたのだが、大正十二年に刊行された『世帯』という雑誌がある。本探索1436の文化生活研究会と連鎖していると思われる。そのフォーマットはA5判一二〇ページ前後、入手したのは四冊で、大正十二年三、六、七、八月号だが、三月号の…
誠文堂新光社の二代目小川誠一郎にふれたからには創業者の小川菊松にも言及しないわけにはいかないだろう。これまでも本探索で『出版興亡五十年』の著者として、しばしば登場してもらってきたが、『出版人物事典』の立項は引いてこなかったので、まずはそれ…
続けて『釣りの四季』『シャボテン』と誠文堂新光社の趣味実用書といっていい「豪華版」を取り上げてきたが、これらの企画者と思われ、奥付発行者とある小川誠一郎は言及してこなかった。誠文堂新光社の小川菊松の長男の誠一郎は菊松の『出版興亡五十年』に…
本探索1440の『釣りの四季』と同じく、誠文堂新光社から昭和三十八年に龍胆寺雄の『シャボテン』が刊行されている。これも函入B4判で「豪華版」と銘打たれ、定価は二四〇〇円である。 昭和三十年代に釣りとシャボテンの豪華本が出版された事情は分かるような…
文化生活研究会絡みで、釣りの本などの道草を食うことになったのだが、もう少し続けてみる。本探索1436で文化生活研究会の実用書として、上原静子『家庭園芸と庭園設計』、田村剛『庭園の知識』を挙げておいた。しかしこれらの大正時代の実用書の入手はほと…
本探索は大手出版社や著名版元、古典や名著をコアとしているのではなく、小出版社や忘れられた版元の所謂「雑書」に広く言及することをひとつの目的としている。そのためにいつも脇道にそれたり、寄り道したり、道草を食ったりしてしまう。だが考えてみれば…
23年8月の書籍雑誌推定販売金額は711億円で、前年比11.3%減。 書籍は378億円で、同10.6%減。 雑誌は333億円で、同12.0%減。 雑誌の内訳は月刊誌が277億円で、同12.0%減、週刊誌は55億円で、同12.0%減。 返品率は書籍が40.2%、雑誌が44.4%で、月刊誌は43.7%、…