出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話716 高嶋辰彦『皇戦』

藤沢親雄、スメラ学塾、「ナチス叢書」と続けてきたので、ここで本連載130でその名前を挙げている高嶋辰彦のことも書いておきたい。 その前に昭和二十六年刊行の木下半治編『現代ナショナリズム辞典』(学生文庫、酣燈社)の中に、高嶋の名前も見えるスメ…

古本夜話715 八條隆孟『ナチス政治論』と「ナチス叢書」

続けてもう一編、藤沢親雄絡みのシリーズのことも書いておきたい。それは本連載127でふれているアルスの「ナチス叢書」に関してで、その際には未見だった「同叢書」の一冊を入手したからだ。その一冊は昭和十六年刊行の八條隆孟の『ナチス政治論』である…

古本夜話714 東洋図書と藤沢親雄『全体主義と皇道』

本連載709の「国民精神文化類輯」の4『自由主義の批判』の著者は藤沢親雄だった。藤沢については本連載113、124などで、そのプロフィルを紹介しておいたが、その後昭和十五年に東洋図書から刊行された『全体主義と皇道』を入手している。その藤沢の…

古本夜話713 大日本産業報国会、「産報理論叢書」、難波田春夫『日本的勤労観』

前々回の国民精神文化研究所の「国民精神文化類輯」と類似するシリーズが昭和十七年に刊行されている。それは大日本産業報国会の「産報理論叢書」で、その第一輯の難波田春夫『日本的勤労観』を入手している。難波田が本連載706の「現代哲学叢書」の著者…

古本夜話712 紀平正美『哲学概論』と岩波書店「哲学叢書」

本連載706で、紀平正美が朝倉書店の「現代哲学叢書」の推薦者の一人だったことに加えて、前回も紀平が国民精神文化研究所員であり、「国民精神文化類輯」の1『我が青年諸兄に告ぐ』の著者だったことを既述しておいた。これはふれなかったけれど、「現代哲…

古本夜話711 精神文化研究所と「国民精神文化類輯」

実は前回の河野省三の小冊子的な一冊も入手している。それは『我が国の神話』で、「国民精神文化類輯」の第三輯として、昭和十一年に国民精神文化研究所から刊行されている。奥付には「発売元」が国民精神文化研究会、「売捌元」は目黒書店とある。これは実…

古本夜話710 河野省三『すめら せかい』

前回の鹿子木員信『すめら あじあ』の発行者を宇野橘とする同文書院に関して、そのプロフィルをつかめていないのだが、その巻末の十二冊の文学博士の肩書がついて刊行図書からすれば、人文系アカデミズム出版社と見なせるだろう。また戦後も実用書出版社とし…

古本夜話709 鹿子木員信『すめら あじあ』

前回の朝倉書店の「現代哲学叢書」の推薦者の一人として、鹿子木員信の名前を挙げておいたが、彼は『現代日本朝日人物事典』に立項されているので、まずはそれを引く。 鹿子木員信1884・11・3~1949・12・23/かのこぎ・かずのぶ 思想家。東京都生まれ。1904…

古本夜話708 朝倉書店、「現代哲学叢書」、斎藤晌

大東亜戦争下においては出版社も総動員体制となり、それは哲学の分野にも及んでいった。その典型を朝倉書店の「現代哲学叢書」にも見ることができる。朝倉書店は同文館出身の朝倉鑛造によって昭和四年に創業された賢文館の後身で、教育書や農業書の出版から…

古本夜話707 「アジア内陸叢刊」と三橋富治男訳『トウルケスタン』

前回の『東亜学』の中に、生活社の鄧雲徳『支那救荒史』(川崎正雄訳、昭和十四年)の書評が掲載されていたことを既述しておいた。生活社に関しては本連載131で創業者と設立事情、同578で雑誌『東亜問題』を刊行したことに言及しているが、「アジア内…

出版状況クロニクル113(2017年9月1日~9月30日)

17年8月の書籍雑誌の推定販売金額は976億円で、前年比6.3%減。 書籍は464億円で、同3.7%減、雑誌は511億円で、同8.6%減。 雑誌の内訳は月刊誌が419億円で、同6.9%減、週刊誌は92億円で、同15.7%減。 返品率は書籍が42.2%、雑誌は44.4%で、月刊誌は45.3%、週…