2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧
まずは入手した関係から『四畳半襖の下張り』に連なるポルノグラフィを挙げてみる。本連載85で取り上げた日輪閣の『秘籍 江戸文学選』の監修者にして校注者の山路閑古は、ポルノグラフィ出版人脈の中にあっても、共立女子大教授の肩書ゆえか、岩波新書の『…
前回のそれぞれの文学者による『大東京繁昌記』を読みながら思い出されるのは、タイトルが借用されている寺門静軒の『江戸繁昌記』や服部撫松の『東京新繁昌記』だけでなく、内容からいえば、永井荷風の『日和下駄』であった。それはまた最近古本屋の均一台…
ずっと続けて、フランスの郊外を歩いてきたので、ここで日本へと戻りたい。原書が出されてから六十有余年を経た一九六八年のハワードの『明日の田園都市』の初めての邦訳出版は、ほとんど知られていなかった一九〇七年に刊行された一冊の本の存在を知らしめ…
前回三一書房の『盛り場・裏街』(『近代庶民生活誌』第二巻)に収録されていた参考文献の「主要単行本」一覧のことにふれておいた。そこには前回取り上げた正続『生きる悲哀』の他に、やはり二冊所持している本もあるので、それらについても書いておこう。 …
本連載の考現学や銀座に関するバックヤードを確認するために、三一書房の南博他編『近代庶民生活誌』全二十巻を参照してきた。その一端は本連載403の片岡昇『カメラ社会相』や同406の前田一『サラリマン物語』にも示しておいた。これらは第七巻『生業…
ローラン・カンテの映画『パリ20区、僕たちのクラス』は郊外を背景としているわけではないが、パリの内なる郊外とでも称すべき20区の中学校を舞台とし、移民社会、すなわち混住社会を表象する物語となっているので、本稿でフランスを離れることもあり、ここ…
本連載403の片岡昇の『カメラ社会相』が三一書房の『近代庶民生活誌』の第七巻『生業』に抄録されているとことを既述したが、同巻には前田一の『続サラリーマン物語』も収録されている。これは昭和三年に東洋経済新報社刊行の、同じく前田の『サラリマン…
思文閣出版の復刻版『見世物研究』に寄せられた郡司正勝や小寺玉晃の解説によれば、朝倉無声の『見世物研究』は江戸時代の風俗随筆集叢書『新燕石十種』 (中央公論社)所収の『見世物雑誌』の影響を受けているが、画期的なもので、先駆的意義を持つとされる…
林瑞枝の『フランスの異邦人』が「第二世代―フランス生れ、フランス育ち」と一章を割いてレポートしているように、一九七〇年代後半になって、林が挙げている移民や難民たちの二世の時代を迎えている。八〇年代のデータによれば、フランスの「0歳から満26歳…
前回、片岡昇『カメラ社会相』において、昭和に入り、軽業に代表される見世物が消えてしまった社会状況に関する言及から始まっていることに留意しておいた。この片岡の著書とほぼ同時代に見世物に関する重要な一冊が出されていた。それは朝倉無声の『見世物…
安藤更生の『銀座細見』に続いて、松崎天民の『銀座』も中公文庫版ではなく、戦前の原本を見てきたが、やはり同時代の昭和三年に出された片岡昇の『カメラ社会相』も取り上げてみたい。これも東京考現学の一冊と称すべきもので、三一書房の『近代庶民生活誌…
本連載62の映画『憎しみ』などで既述しているように、一九八〇年代以降フランス郊外において、繰り返し暴動が起きていた。最初の暴動は八一年に、前回ふれたリヨンの郊外のマンゲットで起きたとされている。それゆえに、デナンクスの『記憶のための殺人』の…
出版状況クロニクル74(2014年6月1日〜6月30日)5月の出版物推定販売金額は1125億円で、前年同月比5.0%減である。その内訳は書籍が同6.0%減、雑誌は同4.2%減である。雑誌のうちの月刊誌は同1.5%減だが、これはコミックス『NARUTO』 『暗殺教室』 『黒子…