2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧
前回の雑誌『人間』、目黒書店、目黒謹一郎に関しては『近代出版史探索Ⅳ』788でふれているが、戦前の目黒書店は書籍専門取次として、六合館、浅見文林堂、柳原文盛堂、杉本翰香堂、松邑三松堂と並んで大手であった。小川菊松の『出版興亡五十年』によれば、…
またしても飛んでしまったが、高杉一郎へと戻らなければならない。彼の『極光のかげに』を読んだのは冨山房百科文庫によってなので、昭和五十年代になってからだった。ただそれ以前に内村剛介『生き急ぐ』(三省堂新書、昭和四十四年)や石原吉郎『望郷と海…
前回、耕進社の既刊書リストを掲載したが、その中に吉田孤羊編『啄木研究文献』があり、私も二十年以上前に彼の編著『啄木写真帖』を入手していたことを思い出した。 それは函入の桝形本で、昭和十一年に改造社からの刊行である。当時の啄木研究や詩人、作家…
本探索1407の山室静と耕進社の関係については『近代出版史探索Ⅱ』208、214で言及し、山室を通じて耕進社から矢野文夫訳『悪の華』が出版の運びとなったこと、及び山室たちのリトルマガジン『明治文学研究』が刊行されたことを既述しておいた。その際に、耕進…
かつて大阪の出版業界を調べる資料として、足立巻一の『立川文庫の英雄たち』(中公文庫)も読み、思いがけない記述に出会ったので、それも書いておこう。実は同書の中に、『近代出版史探索Ⅲ』418の嵩山房が登場しているのである。 立川文庫を刊行した立川文…
増進堂・受験研究社の前身岡本増進堂が、「立川文庫」に類する「新著文庫」や講談本を刊行していたことを既述しておいたが、最近になって浜松の典昭堂で、大正時代の榎本法令館の類書を入手している。それらはいずれも極彩色の表紙の『侠客稲妻重三』と『忍…
『近代出版史探索Ⅱ』282で、既述しておいたように、錦城出版社は増進堂の他に、やはり『同Ⅱ』274や281の立川文明堂、崇文館などが参画した大阪の共同出版社だった。それが戦時下の企業整備によって増進堂へと吸収合併されたことは前回もふれたばかりだ。その…
これもいずれ取り上げなければならないと思っているうちに、十年以上が過ぎてしまった。それは添田知道の『教育者』で、やはり「新日本文芸叢書」と同じく、錦城出版社から刊行されている。ただその編集者の大坪草二郎との関係は不明で、彼と添田の組み合わ…
前回『近代出版史探索Ⅱ』282「錦城出版社、大坪草二郎、太宰治『右大臣実朝』」を確認して、「なお富田常雄の『姿三四郎』も錦城出版社から刊行されたのだが、こちらは後述することにしよう」と書いていたことを思い出した。 考えてみれば、その後『近代出版…
前々回の赤塚書房「新文学叢書』と同様に、昭和十年代に刊行された錦城出版社の「新日本文芸叢書」のうちの長谷川幸延『大阪風俗』も、ほぼ同じ頃に入手しているので、それも続けて書いておきたい。(『大阪風俗』) 長谷川は大阪市曽根崎生まれの劇作家、小…
23年5月の書籍雑誌推定販売金額は667億円で、前年比7.7%減。 書籍は366億円で、同10.0%減。 雑誌は311億円で、同4.9%減。 雑誌の内訳は月刊誌が252億円で、同6.1%減、週刊誌は58億円で、同0.7%増。 返品率は書籍が40.8%、雑誌が45.9%で、月刊誌は46.3%、週刊…