2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧
前回、喜田貞吉にふれたこと、及び戦前の本ではないけれど、喜田の気になる一冊を入手しているので、それを書いておきたい。その一冊とは喜田貞吉編著『福神』(山田野理夫補編、宝文館出版、昭和五十一年)である。 その前に喜田に関する簡略なプロフィルを…
前回もふれた寺田和夫の『日本の人類学』の中で、岡書院の『ドルメン』が昭和十年で休刊した後、東大人類学教室の甲野勇がその方針に則り、翰林書房から『ミネルヴァ』を創刊したが、これは同十一年に第十号を出したところで終わってしまったと述べられてい…
前回、中谷治宇二郎が東京帝大理学部人類学選科生で、前々回の雄山閣の「考古学講座」の松村瞭博士の下で先史学研究に従事していたことを挙げておいた。 明治十七年に東大理学部生物科の学生だった坪井正五郎たちの呼びかけで、一ツ橋の植物学教室において人…
前回の松本清張の「断碑」の主人公木村卓治=森本六爾は、「N」という「同じ年配の考古学者」のパリからの手紙をもらい、自分も「フランスに行って箔をつけたい」と思い、妻の実家の援助で、昭和六年にシベリア経由でフランスに向かう。 木村のパリでの一年…
藤森栄一の『二粒の籾』に添えられた「森本六爾年譜」で、森本の処女作『金鐙山古墳の研究』が大正十五年に雄山閣から出されたことを知った。もちろん未見だが、その時彼は二十三歳だった。(『二粒の籾』) 雄山閣に関しては本連載519などでも取り上げて…
前回の松本清張の「断碑」は在野の考古学者森本六爾をモデルとする小説だが、森本を木村としているように、多くの人物が仮名となっている。その中で、鳥居龍蔵は実名で登場し、森本の弟子に当たる人々はイニシャル処理され、人名はフィクションとノンフィク…
本連載737において、小林行雄が在野の考古学者で、浜田耕作に認められ、京大考古学研究室助手となったことを既述しておいた。彼は森本六爾たちの東京考古学会にも加わっていた。 その東京考古学会に関連して、葦牙書房の肥後和男『文化と伝統』の巻末に、…
これも例によって浜松の時代舎で見つけ、購入してきた一冊だが、須井一の『清水焼風景』という小説集がある。これは五編の中編、長編が収録され、そのうちの長編がタイトルになって言う。改造社から昭和七年に刊行されているけれど、作家名を初めて目にする…
本連載730の山本実彦『蒙古』の参考資料として、水島治男の 『改造社の時代・戦前編』『同戦中編』(図書出版社)を読み、ふたつほど気になっていたことが氷解したので、それらを二編挿入しておきたい。 水島は大正十三年に創立された夜間の大学である早…
前回の『古代の南露西亜』の訳者による「参考書目」の中に、アンデルソンの『黄土地帯』と『支那の原始文化』の二冊が挙げられ、前者が昭和十七年に座右宝刊行会から刊行されていることを既述しておいた。ただ著者表記はアンダーソンとあるが、これだけは入…
17年11月の書籍雑誌の推定販売金額は1069億円で、前年比7.8%減。 書籍は515億円で、同3.1%減。 雑誌は554億円で、同11.8%減と3ヵ月連続の2ケタマイナス。 その内訳は月刊誌が457億円で、同12.5%減、週刊誌は97億円で、同8.2%減。 しかも雑誌の推定販売部数を…