出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話1493 『文学界』中原中也追悼号

続けて取り上げて来た『四季』と同じく、冬至書房の「近代文芸復刻叢刊」として、『文学界の』中原中也追悼号(昭和十二年十二月号)も復刻されている。これも手元にあるので、そこに寄せられた十本の「追悼」を挙げてみる。 *「追悼」/島木健作 *「中原…

古本夜話1492 『四季』と『辻野久憲追悼特集』

前回の『四季』は『日本近代文学大事典』第五巻「新聞・雑誌」に一ページに及ぶ解題があり、「『コギト』とともに昭和十年代の抒情詩復興の気運の中枢として重きをなした同人雑誌」とされている。 そこでは戦後の第三次、四次までの言及をみているし、ここで…

古本夜話1491 『四季』の「萩原朔太郎追悼号」と四季社

萩原朔太郎や第一書房と関係の深い詩のリトルマガジンがある。それは『四季』で昭和十七年には「萩原朔太郎追悼号」(第六十七号)を発行している。この「追悼号」は立原道造、中原中也、辻野久憲も合わせ、昭和五十二年に冬至書房新社によって、「近代文芸…

古本夜話1490 萩原朔太郎『氷島』と『日本への回帰』

かなり長く第一書房に関して書いてきたけれど、それはいつの間にか本がたまってしまったことにもよる。そうしたことは改造社や三笠書房にもいえるので、やはり続けて取り上げていきたいと思う。 その前に残った第一書房の春山行夫『詩の研究』と萩原朔太郎『…

古本夜話1489 堀口大学訳詩集『空しき花束』

これは古本屋で偶然に入手し、その「序」を読むまで知らなかったのだが、堀口大学訳詩集『空しき花束』は『月下の一群』の続編として刊行されていたのである。それは大正十五年十一月で、前年九月の『月下の一群』に続く訳詩集であることからすれば、当然の…

古本夜話1488 岡田正三、田中秀吉、全国書房『プラトン全集』

これは後述するつもりだが、第一書房の『土田杏村全集』の全巻校正は岡田正三が担っていた。ただ彼は『日本近代文学大事典』などには見えていない。ところが『第一書房長谷川巳之吉』所収の「第一書房刊行図書目録」にはふたつの『プラトン全集』の訳者とし…

古本夜話1487 大阪毎日新聞社校正部編『校正の研究』

もう一冊、浜松の時代舎で、所謂「業界本」を見つけているので、これも続けて紹介しておこう。 それは大阪毎日新聞社校正部編『校正の研究』で、昭和三年に大阪毎日新聞社と東京日々新聞社から刊行されている。四六判函入、六三六ページ、索引付の堂々たる一…

古本夜話1486 志水松太郎『出版事業とその仕事の仕方』

十年ほど前に『日本古書通信』の樽見博編集長からクリスマスプレゼントとして、『出版事業とその仕事の仕方』を恵送されたことがあたった。この本は知らなかったが、元版はかなり売れたようで、写真が豊富だし、何らかの参考になればという添え書きとともに…

古本夜話1485 竹柏会と「心の花叢書」

本探索1481の片山廣子の歌集『翡翠』を入手し、そこに収録された「ゆめもなく寝ざめ寂しきあかつきを魔よしのび来て我に物いへ」という一首を示し、彼女に言及したことがあった。(『翡翠』) その際に片山の『翡翠』の他に二冊の歌集も拾っていたことを思い…

古本夜話1484 生活社「日本叢書」と堀口大学『山嶺の気』

浜松の時代舎で、前回の今田謹吾が編集し、それに花森安治も関わっていたのではないかと推測される生活社の「日本叢書」を見出した。これは初めて目にする「叢書」にして、堀口大学の詩集『山嶺の気』である。「叢書」といってもB6判並製三〇ページのもので…

出版状況クロニクル189(2024年1月1日~1月31日)

23年12月の書籍雑誌推定販売金額は887億円で、前年比8.9%減。 書籍は483億円で、同7.5%減。 雑誌は404億円で、同10.0%減。 雑誌の内訳は月刊誌が354億円で、同8.8%減、週刊誌は50億円で、同17.9%減。 返品率は書籍が29.1%、雑誌が40.3%で、月刊誌は38.5%、週…