出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

6 白人種の女の典型ロツドマン未亡人

◆過去の「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」の記事 1 東北書房と『黒流』 2 アメリカ密入国と雄飛会 3 メキシコ上陸とローザとの出会い 4 先行する物語としての『黒流』 5 支那人と吸血鬼団 6 白人種の女の典型ロツドマン未亡人「夜」の舞台はサンフランシスコ…

古本夜話62 平井功と『游牧記』

西谷操=秋朱之介がポルノグラフィから始めて、特異な装丁家として、書局梨甫や以士帖印(エステル)社などの限定版書肆を設立し、それから三笠書房の創立に参画していったことは既述した。西谷のそのような装本美学は、日夏耿之介と「南柯叢書」の企画編集者だっ…

5 支那人と吸血鬼団

◆過去の「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」の記事 1 東北書房と『黒流』 2 アメリカ密入国と雄飛会 3 メキシコ上陸とローザとの出会い 4 先行する物語としての『黒流』 5 支那人と吸血鬼団 第五章の「宣誓」は二人がサンフランシスコにやってきて、すでに一ヵ…

古本夜話61 南柯書院と南柯叢書

これまで何度かその社名を挙げてきた梅原北明グループの南柯書院がずっと気にかかっていた。前回林芙美子を登場させたこともあり、そのことに言及してみよう。南柯書院は上森健一郎、宮本良、西谷操たちによって、昭和三年に設立され、『変態黄表紙』を刊行…

4 先行する物語としての『黒流』

◆過去の「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」の記事 1 東北書房と『黒流』 2 アメリカ密入国と雄飛会 3 メキシコ上陸とローザとの出会い 4 先行する物語としての『黒流』 ここまでの要約で、『黒流』の物語の序章的流れは説明できたと思う。時代は一九一九年から…

古本夜話60 野村吉哉と加藤美侖

前々回のマリー・ストープスの『結婚愛』の巻末広告を見て、思い出される事柄があった。それらにまつわる本を入手していないので、仮説にとどまるが、これも記しておくことにする。それは見開き二ページの加藤美侖著「人間叢書」全十編の広告で、「新旧世界…

3 メキシコ上陸とローザとの出会い

◆過去の「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」の記事 1 東北書房と『黒流』 2 アメリカ密入国と雄飛会 3 メキシコ上陸とローザとの出会いそして第三章「南国」に入る。メキシコに上陸した荒木は大海会長からの紹介状を持ち、三村という雄飛会員を訪ねた。三村は医…

古本夜話59 マリー・ストープスと能

もはや忘れられていたと思われるマリー・ストープスが再び召喚されたのは、一九九四年の荻野美穂の『生殖の政治学』 (山川出版社)のようなバース・コントロール研究の領域ばかりではない。彼女は思いがけないことに、近年の比較文学研究において、これまで…

出版状況クロニクル30(2010年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル30(2010年10月1日〜10月31日) 今年は例年になく、各地に出かける機会が多かった。そして今さらながらに、21世紀に入っての巨大な郊外ショッピングセンターの出現によって、ただでさえ衰退していた地方の商店街が壊滅的な打撃を受け、と…