出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル185(2023年9月1日~9月30日)

23年8月の書籍雑誌推定販売金額は711億円で、前年比11.3%減。
書籍は378億円で、同10.6%減。
雑誌は333億円で、同12.0%減。
雑誌の内訳は月刊誌が277億円で、同12.0%減、週刊誌は55億円で、同12.0%減。
返品率は書籍が40.2%、雑誌が44.4%で、月刊誌は43.7%、週刊誌は47.6%。
推定販売金額は23年4月の12.8%に続く二ケタマイナスで、書店売上の低迷はいずれも40%を超える高返品率となって表われている。
23年も残すところ3ヵ月となっているが、このように販売金額も推移していけば、かつてない最悪の数字とデータを招来することになろう。


1.『日経MJ』(9/6)の2022年度「卸売業調査」が出された。
 そのうちの「書籍・CD・ビデオ部門」を示す。

■書籍・CD・ビデオ卸売業調査
順位社名売上高
(百万円)
伸び率
(%)
営業利益
(百万円)
伸び率
(%)
経常利益
(百万円)
伸び率
(%)
税引後
利益
(百万円)
粗利益率
(%)
主商品
1日版グループ
ホールディングス
444,001▲12.1▲417▲158▲21813.4書籍
2トーハン402,550▲6.0238▲81.4351▲70.231214.7書籍
3図書館流通
センター
52,3402.51,809▲15.52,044▲9.81,18518.0書籍
4日教販26,87639238728710.5書籍
10楽天ブックス3,917▲91.8書籍
11春うららかな書房2,561▲3.04014.314▲56.3931.5書籍
MPD139,238▲6.3▲444▲434▲6283.4書籍


 前年の本クロニクル173で、取次状況はTRCの一人勝ちであること、その流通メカニズムは中村文孝との対談『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』を参照してほしいと既述しておいた。
 22年度「経営指標」から見ても、「書籍・CD」は売上高前年比12.1%減と13業種のうちの最悪で、しかもこれで下げ止まりではなく、さらに加速していくだろう。
 日販GHDとMPDの売上高マイナスが本格化するのはこれからであり、前者は4000億円を割りこみ、トップの座をトーハンに譲ることは明らかだ。それとパラレルにMPDもどのように変貌していくのだろうか。
  



2.『新文化』(8/24)が「日販グループ『出版流通』再構築へ」との大見出しで、日販GHD吉川英作社長にインタビューしている。
 これは王子流通センター太田紀行所長への「ESG推進」インタビューとの併載だが、吉川の発言の「共同会社構想」「MPD事業再編」のほうを要約してみる。


日販グループの7つの事業のうちの取次事業と書店事業は赤字だが、その他の5事業は24億円の経常利益を計上している。しかし取次事業の大きな赤字をカバーできていない。
生活者が本を買って読む機会は減り、大量送品、大量返品の時代はすでに終わった中で、祖業である取次事業を復活させたい。
これからは身の丈に合ったサイズで仕事の仕方を変え、取引書店の販売・収益力を最大化させ、書店経営が持続できるように全力で取り組みたいし、出版文化を守っていきたい。
日販、紀伊國屋、CCCの3社共同会社の目的は「書店主導」で粗利益の向上に取り組み、書店を持続可能な業種・業態に再生していくことである。このままでは日本に書店がなくなってしまうからだ。
 そうした強い危機感と日本の書店を守らなくてはいけないという観点から、議論を突き詰め、書店の粗利益率を改善するために、書店主導での改革という結論に至った。
日販、紀伊國屋、CCCの3社の運営書店は1000店に及ぶので、その事業基盤を活かし、具体的な話し合いを行なっている。
新会社は書店と出版社の新たな直仕入れスキームを構築し、返品条件付き買切、粗利益率30%以上となる取引を増やしていく。
 つまり新会社は返品条件付き買切制の仕入れ共同会社となる。従来の委託性流通は日販とMPDが担う。
MPDはカルチュア・エクスペリエンス(CX)と社名変更し、企業体としてCCCのFC事業を統合する。これまでは卸事業とFC事業に分かれ、MPDは流通する商品代、CCCはFCからの手数料を売り上げ計上していたが、それがひとつになる。

 日販、MPD、CCCの三位一体の関係が終わりを迎えている。その始まりは拙著『出版業界の危機と社会構造』(論創社、2007年)において、「CCCと日販」「次世代TSUTAYA三〇〇〇店構想」「日販とCCCによるMPDの立ち上げ」「MPDとTSUTAYAの関係の謎」として言及している。
 そのコアはレンタル、FC、Tポイントであり、それらの失墜が現在の状況を招来させたことになろう。『出版状況クロニクル』シリーズに先行する拙著が読み直されることを切に願う。



3.『朝日新聞](9/3)が「書店主導の出版流通改革狙いは」と題して、紀伊國屋書店の高井昌史会長にインタビューしている。これも要約してみる。

日販、CCC、紀伊國屋の3社傘下書店を合わせると、書店経由の売り上げの20%を占めるし、それだけの規模の書店が直仕入れするようになるかもしれない。
日販は大きな判断をしたと思うし、かつての大量配本、大量返品は非効率で、今は適正な送品で返品を減らすとともに、欠品も防ぐべきだ。
紀伊國屋は在庫の自動補充システムを自社開発したり、出版社に対して積極的に配本指定したりして、返品率を27~28%まで下げてきたし、業界全体でもそこまで抑えたい。
川下の書店が努力して、川上の出版社にとっても利益を生む仕組みを作らなければならない。場合によっては8~9割を委託販売ではなく、買切制にすることも、交渉の中で出てくるだろう。
地域によっては蔦屋書店しかない町もあるし、そういう町でこそ、行政、図書館、学校、家庭と手を組み、本屋をひとつの文化サークルの拠点とし、町おこしのモデルをつくっていきたい。
仕入れで大切なのはAIに全部をまかせるのではなく、書店の現場やバイヤーの力によって、小さな地方出版社の本も含めてチェックし、良い本が店に並ぶようにしなければならない。読者が行きたいと思う本屋をどんどん作っていきたい。

 前回の本クロニクルのCCCの高橋誉則代表兼COOへのインタビューと並んで、日販GHDと紀伊國屋の会長の見解が公表されたことになる。
 3者の共通項を一言でいえば、低正味買切制への移行ということになるだろう。
 しかし返品条件付きにしても、その実現は難しいし、紀伊國屋一社であればともかく、日販傘下書店とCCCのFC書店まで含んでの低正味買切制は絵に描いた餅のようにしか思えない。それを高井会長が承知していないはずもない。
 低正味買切制を実現できるのは1980年代の全盛期のリブロしかなかったし、そのような時期にしてもすでに外してしまったと考えられる。
 それに再販制の問題はクリアできていない。また現在のアマゾンのマーケットプレイスだけでなく、ヤフーやメルカリにおける新刊書籍出品は驚くほどで、すべてが売られているといっても過言ではない。そうした新刊割引商品がすでに確固として存在しているし、その事実も直視しなければならないのだ。



4.CCCは旗艦店「SHIBUYA TSUTAYA」を改装のために、10月1日から一時休業し、インバウンドに対する新施設として、2024年春に再開業する。
 1999年に「SHIBUYA TSUTAYA」はDVDやCDのレンタル業態の旗艦店として開店し、地上2Fから屋上まで11フロアを有し、DVD、CD、雑誌、書籍も販売していた。

 再開業に際して、本クロニクル182でふれた「Tポイント」は三井住友カードの「Vポイント」へと統一され、新業態店舗へと移行するとされている。
 その一方で、TSUTAYAの大型店閉店は続き、8月も6店を数えている。また未来屋、アシーネ、西友内書店などの閉店も10店以上に及び、スーパー系書店もビジネスモデルとしての退場を告げているようだ。
 なお『朝日新聞』(9/24)の「朝日歌壇」に永田和宏選として、次の一首が選ばれていた。

 ぎっしりの本描かれたシャッターに「週休七日」三月書房      (京都府 島多尋子)



5.いささか旧聞になるが、『週刊東洋経済』(6/24)が、「伝説の起業家が見た天国と地獄」というタイトルで、アスキー創業者西和彦へのインタニューを掲載していた。
 それを簡略にたどってみる。

 西は債権者から第三者破産を申し立てられた。その経緯と事情は5年ほど前に出版社のアスペクトの借金の連帯保証がきっかけだった。
 当時の高比良公成社長に経営が悪化したので助けてくれないかといわれ、3億円を出資した。ところがその直後、三菱UFJ銀行がアスペクトへの融資を連帯保証してくれなければ、資金を引き揚げるといってきた。そうなると出資した3億円も消えてしまうので、断腸の思いで連帯保証した。
 アスペクトの高比良はCSK創業者大川功の秘書で、西をつなぎ、アスキーに100億円出資してくれたので、その借りを返すかたちだった。
 だがアスペクトは経営が改善せず、三菱UFJ銀行が債権を金融会社に売り渡し、その金融会社がアスペクトと西に第三者破産を申し立てたのである。
 週刊東洋経済 2023年6/24号[雑誌](富裕層のリアル)  本の世界に生きて五十年―出版人に聞く〈5〉 (出版人に聞く 5)

 これは続報が出てからと考えていたが、9月になるまでアスペクトと西に関する記事は目にしていない。
 アスキーに関しては能勢仁『本の世界に生きて50年』(「出版人に聞く」5)において、西とアスキー時代が語られているが、能勢が退社して、それほど経っていなかったので、詳細な金融や経営事情はインタビューに織りこめなかったことを思い出す。
 それらのことはともかく、この旧聞記事を取り上げたのは最近になって、地方老舗書店の清算事情が伝えられ、第三者破産ということも絡んでいたのではないかと推測されたからだ。
 その老舗書店は地元で知られた資産家で、繁華街の一等地に店があったが、大型書店の出店の失敗もあってか、いつの間にか閉店し、他業種の店舗となっていた。
 どのような経緯があったのか不明だが、伝わってきた話によれば、自宅だけはかろうじて残されたが、その他の資産はすべて失われてしまったという。
 この間には5、6年が過ぎており、大きな負債がある老舗書店の清算のかたちの一端がうかがわれる。銀行、金融会社、取次などが複雑に絡み、清算に至る過程も一筋縄ではいかないことを示していよう。
 おそらく現在の書店はそれらにFC問題や多くのリース契約も抱えながら閉店に至っているはずだ。とすれば、閉店後の清算も困難な道筋をたどっているように思われる。



6.中央社の決算は売上高202億5447万円、前年比2.2%減で、減収減益となった。
 その内訳は雑誌が113億8316万円、同6.3%減、書籍は76億629万円で6.3%増、特品等は10億4057万円、同20.4%減。
 返品率は27.7%で、4年連続30%を下回り、営業利益は3億1894万円、同10.6%減、当期純利益は7645万円、同17.2%減。

 これまでも中央社がコミックに特化し、低返品率で利益を上げてきたことを既述してきたが、減収減益とはいえ、それが顕著である。
 「雑誌扱いのコミックス」は前年比7.6%減だったが、「書籍扱いのコミックス」が増えたことで、書籍部門の売上の伸びにつながっている。
 ただ出版業界の売上全体がコミック次第という状況において、やはり紙のコミックの行方が焦眉の問題であることは中央社にとっても同様だろう。



7.雑誌、書籍の卸売業を手がける広島市のブックス森野屋が自己破産。
 同社は1966年創業で、広島市内のスーパーや量販店に雑誌、書籍を卸し、2000年には年商24億3500万円を計上していた。
 22年には5億1300万円に落ちこみ、業務改善の見通しがたたず、今回の措置となった。
 負債は6億5600万円。

 ブックス森野屋は1960年代末から70年代にかけて、全国各地で簇生した所謂スタンド業者のひとつだと思われる。
 同社の自己破産はスーパーなどの雑誌スタンド販売も、ビジネスモデルとして限界に達していることを示唆していよう。
 こうしたスタンド業者が全国にどれだけあるのか定かではないけれど、同じような状況に追いやられているとみなすべきだ。



8.集英社の決算は売上高2096億8400万円、前年比7.4%増だが、不動産の減損による135億3400万円の特別損失を計上したことで、当期純利益は159億1900万円、同40.7%減の増収減益決算となった。
 売上高内訳は「出版売上」1274億1700万円、同5.6%増、「広告売上」80億2600万円、同6.7%減、「事業収入」742億4000万円、同12.6%増。
 「出版売上」のプラスは当期から「事業収入」に計上していた「デジタル」を出版売上に移管したことによっている。
 その内訳は「雑誌」157億8900万円、同4.9%減、「コミックス」311億9500万円、同8.4%減、「書籍」118億6500万円、同1.1%減、「デジタル」698億1000万円、同15.9%増。
 「事業収入」は「版権」563億1100万円、同18.2%増、「物販等」179億2900万円、同2.0%減。

 「デジタル」と「版権」売上は1261億円におよび、売上高の半分以上に及んでいる。また「雑誌」「コミックス」「書籍」は合わせても587億円で、その半分にも達していない。
 ここに集英社の現在の実像が浮かび上がるし、もはや取次や書店と密接にコラボレーションしてきた姿は失われてしまったことがわかるであろう。



9.光文社の決算は売上高179億6800万円、前年比5.5%増だが、今期も赤字決算。
 総売上高内訳は「製品売上」70億8000万円、同7.8%減、「広告収入」45億1200万円、同8.2%減、「事業収入他」57億7900万円、同26.0%増、「不動産収入」5億9900万円。
 増収は「製品売上」以外の3部門によるもので、「製品売上」の「雑誌」は43億8100万円、同12.2%減、「書籍」は26億9900万円、同0.5%増。
 返品率は前者が47.6%、後者は39.1%で、高止まりしたままである。
 その結果、特別損失は7億3400万円(前年は16億3200万円の損失)、当期純損失は4億9300万円(同12億400万円の損失)。

の小学館系列の集英社の好決算と対照的な講談社系列の光文社の連続赤字決算ということになる。
 それはコミック雑誌の集英社と女性誌の光文社の現在の等身大の姿を伝えていよう。
 それもあってか、43年ぶりに講談社から巴一寿社長が就任し、講談社らグループとの連携、DXを推進が伝えらえている。



10. 『文化通信』(9/19)が「ブロンズ新社代表取締役若月眞知子氏に聞く」というインタビューを掲載している。これも簡略に紹介してみる。

 若月は友人たちと広告プロダクションを設立し、テレビCMや企業PR誌を制作していたが、友人の一人がR書房を引き継ぎ、R書房新社を設立した。その一冊目が柳瀬尚紀訳のルイス・キャロル『シルヴィーとブルーノ』で、翻訳書の編集制作を手伝い、すっかり夢中になってしまった。
 そこで自主企画として、伊丹十三訳のサローヤン『パパ・ユーアクレイジー』、岸田今日子訳『ママ・アイラブユー』を手がけ、R書房新社を発売元として出版すると、とんとん拍子に売れた。
 そこで出版社を立ち上げようとして、新泉社の小汀良久から休眠状態だったブロンズ社を紹介され、1983年にブロンズ新社としてスタートし、今年で40周年になる。
 90年代に初の絵本『らくがき絵本』を刊行し、以後ヨシタケシンスケや かがくいひろしなどの絵本や児童書でヒットさせるに至る。

    らくがき絵本: 五味太郎50%

 これは前半だけの紹介だが、まだ長いので、興味のある読者は『文化通信』に当たってほしい。
 ここでR書房とされているのはれんが書房新社のことであり、ブロンズ社がどうしてブロンズ新社として立ち上げられたかを教えられ、ひとつの出版史のミッシングリンクを了承したことになる。



11.『朝日新聞』(8/31)の「声」欄に、「この夏閉じた50年続けた洋書店」という見出しの「無職 多和田栄治(東京都 90)」の投書が寄せられていた。
 「東京・神保町などで約50年営んだドイツ書専門書店を閉じた」ことに関する一文で、ネット通販と書店文化の衰退に抗えずの閉店が語られている。

 この多和田はドイツ在住の作家多和田葉子の父で、彼は閉店理由として「後継者不在」も挙げているが、父の営むエルベ書店はかたちはちがうにしても、正統的な後継者を世界に送り出したことになる。娘の滞独にしても、エルベ書店を抜きにして語れないであろう。
 エルベ書店の誕生はドメス出版の設立と連鎖していて、それは別のところで語ることにしよう。
 なお私はかつて多和田の『犬婿入り』を論じた「犬婿入りっていうお話もあるのよ」(『郊外の果てへの旅/混住社会論』所収)を書いていることを付記しておく。
犬婿入り (講談社文庫)  郊外の果てへの旅/混住社会論



12.やはり『文化通信』(9/5)で、地方・小出版社流通センターの川上賢一が「わたしの新人時代」としての模索舎体験を語っている。

 それに呼応するかのように、句誌『杉』(7月号)の大原哲夫の「私の編集ノート」連載が「地方・小出版社流通センター」に当てられ、小学館の編集者の大原が同センター発行の情報誌『アクセス』のボランティアとして、編集に携わっていたことを教えられた。
 そこに登場する人々は顔見知りの人たちもいるけれど、実に多くの人たちが地方・小出版社流通センターと書肆アクセス、そして情報誌『アクセス』をひとつのトポスとして参集していたのである。
 本当に『アクセス』を読んでいた時代が思い出されるが、そのような時代はもはや戻ってこないことも実感させられる。



13. 『人文会ニュース』(No.144)が届いた。

 そこで日本評論社の休会を知った。
 未来社が退会したことに続けての休会であり、それぞれの事情の反映と見なせよう。
 なお人文会の「人文会販売の手引き」が8年ぶりに改訂され、人文会のHPからダウンロードできる。
 これも昔のことになってしまうが、1980年代の初版刊行の際に『新文化』で書評したことを思い出す。 
jinbunkai.com



14.宮下志朗『文学のエコロジー』(左右社)が届いた。

  文学のエコロジー (放送大学叢書) ヨーロッパ 本と書店の物語 (平凡社新書)

 この「エコロジー」というタイトルにこめられたタームは文学作品が「いかなるプロセスで成立したのか、また、いかなる環境で流通し、受容されたのかといった問題」に言及していることから選ばれている。
 実は拙著『ヨーロッパ 本と書店の物語』(平凡社新書)もそのことをテーマとしている。
 『文学のエコロジー』で関心を持たれたら、読んでいただければありがたい。



15. 「少女マンガを語る会」全記録としての『少女マンガはどこからきたの?』(青土社)読了。

少女マンガはどこからきたの?: 「少女マンガを語る会」全記録    小学館の学年誌と児童書 (出版人に聞く)

 少女マンガは門外漢なので、非常に教えられることが多かった。
 ただひとつ気になるのは、野上暁『小学館の学年誌と児童書』(「出版人に聞く」18)における証言で、「少女漫画は復刻しても売れない」という事実である。野上は小学館クリエイティブの社長も務めていたから、実感がこもっていたし、それがどうしてなのかわからないとも語っていた。
 その疑問はまだ解かれていない。



16.論創社HP「本を読む」〈92〉は「辰巳ヨシヒロ『劇画暮らし』『劇画漂流』と『影』創刊」です。
 
ronso.co.jp

 『新版図書館逍遥』は発売中。
 『近代出版史探索Ⅶ』は編集中。
 中村文孝との次のコモン論は準備中。
新版 図書館逍遙