出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル130(2019年2月1日~2月28日)

 19年1月の書籍雑誌推定販売金額は871億円で、前年比6.3%減。
 書籍は492億円で、同4.8%減。
 雑誌は378億円で、同8.2%減。その内訳は月刊誌が297億円で、同7.6%減、週刊誌は81億円で、同10.2%減。
 18年12月の、2年1ヵ月ぶりのプラスである同1.8%増の反動のように、19年1月は17年の6.9%、18年の5.7%という通年マイナスの数字へと逆戻りするスタートとなってしまった。
 返品率は書籍が35.6%、雑誌は47.4%で、月刊誌が49.3%、週刊誌は39.3%。
 雑誌の返品率は18年5月の48.6%に次ぐもので、月刊誌のほうはコミックの販売金額7%増がなかったならば、50%を超えていたであろう。
 またそれに週刊誌の落ち込を重ねると、19年も雑誌の凋落が続いていくことは確実で、かつてない書店市場の激減に立ち合うことになるとも考えられる。
 そのようにして、19年が始まっているのである。


1.出版科学研究所による18年度の電子出版市場販売金額を示す。

■電子出版市場規模(単位:億円)
20142015201620172018前年比
(%)
電子コミック8821,1491,4601,7111,965114.8
電子書籍192228258290321110.7
電子雑誌7012519121419390.2
合計1,1441,5021,9092,2152,479111.9

 18年度の電子出版市場規模は2479億円で、前年比11.9%増。
 それらの内訳は電子コミックが1965億円、前年比14.8%増で、その占有率は79.3%に及び、来年は確実に売上とシェアは2000億円、80%を超えるであろう。
 それに対して、電子雑誌は193億円、前年比9.8%減で、200億円を割り、シェアは7.8%となった。
 要するに日本の電子出版市場は電子コミック市場と見なしていいし、電子雑誌は初めてのマイナスで、「dマガジン」の会員数が2年連続して減少したことが影響している。それらを考えれば、電子出版市場の成長もあと数年しか続かないかもしれない。
 18年の紙と電子を合わせた出版市場は1兆5400億円で、前年比3.2%減、電子出版市場の成長が止まれば、合体の出版物市場もさらなるマイナスへと追いやられていくだろう。



2.アルメディアによる18年の書店出店・閉店数が出された。

■2018年 年間出店・閉店状況(面積:坪)
◆新規店◆閉店
店数総面積平均面積店数総面積平均面積
11300300726,41490
2428471818,412106
3142,940210937,32982
4163,292206383,08593
51120120545,15999
671,259180473,45280
7102,118212595,948106
81107107555,876109
981,757220444,804117
104582146402,96774
11113,777343421,97952
1273,696528391,82952
合計8420,23224166457,25491
前年実績16534,69221065861,793101
増減率(%)▲49.1▲41.714.60.9▲7.3▲10.3

 出店84店に対して、閉店は664店である。
 17年の出店は165店だったから、ほぼ半減となり、閉店は高止まりの横ばいだったので、実質的に書店坪数は3万7000坪の減少となった。
 本クロニクル118において、13年から続いてきた出店と閉店のフラットな数字の反復は、18年に入ると疑わしいと既述したが、ついに出店は100店を割りこむ段階に入り、それでいて閉店は変わらず続いているという最悪の書店状況を迎えている。
 しかもそれが19年も続いていくだろうし、そうしたプロセスに立ち会うことになる取次は、どのような事態に追いやられていくのだろうか。
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3.2と同じく、アルメディアによる取次別新規書店数と新規書店売場面積上位店を示す。

■2018年 取次別新規書店数 (面積:坪、占有率:%)
取次会社カウント増減(%)出店面積増減(%)平均面積増減(%)占有率増減
(ポイント)
日販48▲41.515,790▲26.532925.678.016.1
トーハン26▲65.33,722▲68.8143▲10.118.4▲15.9
大阪屋栗田4▲20.0528▲56.4132▲45.52.6▲0.9
中央社3200.010088.733▲37.70.50.3
その他350.092178.83182.40.0▲0.1
合計84▲49.120,232▲41.724114.8100.0
                           (カウント:売場面積を公表した書店数)


■2018年 新規店売場面積上位店
順位 店名所在地
1江別 蔦屋書店江別市
2高知 蔦屋書店高知市
3蔦屋書店龍ヶ崎店龍ヶ崎市
4フタバ図書ジアウトレット広島店広島市
5TSUTAYA BOOK STORE岡山駅前店岡山市
6TSUTAYA東福原店米子市
7ブックスミスミ日向店日向市
8TSUTAYA BOOK STORE Oh!Me大津テラス店大津市
9TSUTAYA大崎古川店大崎市
10ブックス・モア本荘店由利本荘市

 取次別の新規書店数を見ると、日販が48店、1万5790坪に及び、全体の半分以上を占め、売場面積シェアも78%に達している。
 しかも売場面積上位店からわかるように、大半がTSUTAYAの大型店であり、これも本クロニクル116で指摘してきたように、16年から続いていて、異常な出店状況だというしかない。
 しかしこのような出版状況が19年も続いていくとは考えられない。それを支えてきた日販の体力が落ちこんできているのは明らかだし、MPDにしても、それは同様である。すでに今期決算も近づいているし、文教堂問題も予断を許さない状況下に置かれている。取次にとっては薄氷を踏むような事態の中にあると推測される。
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4.19年1月のTSUTAYAの閉店と坪数を挙げておく。

■2019年1月TSUTAYA閉店名と売場面積
店名売場面積(坪)
フジワTSUTAYA国分店120
TSUTAYA高須店170
TSUTAYA府中駅前店280
蔦屋フジグラン四万十270
TSUTAYA JR野田店240
TSUTAYA砥部店280
TSUTAYA上尾原市店280
TSUTAYAフジグラン十川店200
TSUTAYA宇都宮鶴田店270
TSUTAYA仁戸名店400
TSUTAYA祖師谷大蔵店166
TSUTAYA上尾駅前店240

 1月の閉店数は83店で、そのうちの12店がTSUTAYAと蔦屋で占められているわけだから、でふれた出店の異常さは、閉店も同様であることをあからさまに伝えていよう。
 前回の本クロニクルで、18年の81店というTSUTAYAの全国的な大量閉店にふれ、さらに19年が大型店も含め、それ以上の本格的な閉店ラッシュに見舞われるのではないかと予測しておいた。何とすでに1月だけで、2916坪のマイナスが生じたのである。それはの売場面積上位3店の合計売場面積に相当するものだ。
 この1月のTSUTAYA閉店状況を見ると、まさにそのように進んでいくと考えるしかない。



5.『朝日新聞』(2/4)が各社の「ポイントカードなど個人情報を扱う各社の対応例」表を添え、CCCの「Tカード」が会員の知らないままに個人情報を捜査当局に任意提供していたことに言及している。

 おそらくTSUTAYAの大量閉店も「Tカード」の行方とリンクしているのだろうし、それは本クロニクル128でもふれたばかりだ。ファミリーマートのTポイント離脱に、ドトールも続いている。
 その他にも動画配信サービス「TSUTAYA TV」の全作品見放題宣伝は虚偽で、景品表示法違反に当たるとして、消費者庁はTSUTAYAに課徴金1億円の納付命令を出している。
 また一方で、ネット証券のSBI証券がTポイントで株式投資ができるSBIネオモバイバル証券を、CCCグループと資本業務提携して設立。早期に50万口座の獲得をめざすという。これらに関してはいずれ『FACTA』などが内幕をレポートしてくれるだろう。
 なお本クロニクル121でもCCCによるフェイスブックへの個人情報の提供などに言及しているので、ツタヤ図書館との関係もあり、ぜひ参照してほしい。
 それから『出版ニュース』(2/下)にも田井郁久雄「マスコミの図書館報道を検証する」が掲載されていることを付記しておく。

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6.もう少し4の1月の書店閉店に関して続けてみる。
 TSUTAYA以外に、複数の閉店がある書店とその数を示す。
 天牛堺書店11、ヴィレヴァン4、宮脇書店3、文教堂2、WonderGOO 2、福家書店2、夢屋書店2となっている。

 天牛堺書店と福家書店は本クロニクル129,128でレポートしておいたように、破産に伴う閉店、ヴィレヴァンも18年に続く閉店ラッシュ、宮脇書店はフランチャイズシステムの限界、文教堂はこれも前回の本クロニクルでふれたとおりの延長線上にある。
 だがWonderGOO の場合は本クロニクル127などで取り上げてきたように、少し入り組んでいて、これもTSUTAYAのFCだから、その閉店と関係があるだろうし、親会社のRIZAPの動向も反映されていよう。
 後者については『週刊東洋経済』(2/2)が深層レポート「RIZAP役員大幅削減の真相」を掲載している。それによれば、ワンダーコーポレーションの内藤雅也会長兼社長は元大創専務だが、「ワンダーを本格的にこう変えていこうというビジョンも戦略」もなく、「経営者としての資質には疑問符がつく」とされている。赤字とはいえ、ワンダーは売上高700億円に及び、RIZAP中核企業で、再建の失敗は許されない状況にあることは間違いない。
 書店閉店状況は、より深刻化する出版危機を照らし出す鏡のようにして、出版業界の現在を虚飾なく映し出しているといえよう。
週刊東洋経済

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7.トーハンの「機構改革」「役員人事」「人事異動」の「お知らせ」が届いた。

 「機構改革」や「役員人事」からうかがえるのは、明らかにポスト書店を迎える中での取次のサバイバルの行方ということになるだろう。書店と出版物販売に関してはリストラ、不動産事業とそれにまつわる新たな業態の開発などに向っていることが伝わってくる。
 そのことを象徴するかのように、トーハンの月刊広報誌『書店経営』が3月で休刊となる。これは1957年に創刊され、747号まで出されてきたのだが、その廃刊はかつての「書店経営」という言葉が死語となってしまった時代を迎えたことをも意味していよう。

 そのかたわらで、トーハンは中小出版社に対し、2月後半の新刊配本が3月にずれこむと通達してきた。これはまったく報道されていないし、また文書によるものではないこともあり、大手出版社の書籍に関しても同様なのか、確認ができていない。
 しかしこのような処置が全出版社に対して行なわれているようであれば、大手出版社、老舗出版社こそ資金繰りの問題に直面することになろう。いってみれば、様々な原因は考えられるにしても、大手取次による新刊配本のデフォルトであり、これからも反復されていくのではないだろうか。



8.アマゾンは買切取引を始めると発表。
 現在の返品率は既刊が3%だが、新刊は20%に達しているので、買切によって返品率低下をめざす。
 書籍、雑誌、コミックの全分野に及ぶ。
 商品選定は出版社との話し合いにより、在庫過多になった場合、出版社と協議し、ケースバイケースで対処する。買切仕入れ条件や時限再販も同様で、一律の条件設定はしない。

 しかしこのアマゾンの買切仕入れには疑念がつきまとう。確かに既刊本に関しては販売データの蓄積により可能かもしれないが、新刊については難しいのではないか。AIによる自動発注のテスト運用を開始し、返品率を改善するとの言は鵜呑みにはできない。
 現在のアマゾンの新刊返品率は50%を超えるものもかなりあり、仕入れの難しさは明らかである。自店の売れ行き動向をつかんでいる書店にしても、適正な新刊仕入れは困難であり、それがAIによって可能になるとは思われないからだ。
 現在のアマゾンの直取引出版社数は2942社、その取引率は取次ルートを越える56%に達しているとされるが、それこそ各出版社が「ケースバイケース」で判断していくしかないだろう。



9.持ち株会社カドカワの川上量生社長がドワンゴの動画配信サービス「niconico」の業績不振のため引責辞任し、ドワンゴはKADOKAWAの子会社となる。
 カドカワの第3四半期連結業績は売上高1521億円で増収増益だったが、ドワンゴの固定資産減損損失を計上したことで、純損失21億6900万円。
 新社長には松原眞樹代表取締役専務が就任。
 これらに関しては『週刊ダイヤモンド』(2/9)が「財務で会社を読む」で「カドカワ」に言及し、さらなるリスクとしての「所沢プロジェクト」にもふれている。

 本クロニクル126で、カドカワの川上社長がブロッキングの導入推進派の急先鋒で、カドカワの角川歴彦会長は「ブロッキングに反対」とのコントラストを紹介しておいたばかりだ。
 川上の立場もそのようなドワンゴ動画配信サービス状況、及び角川会長との意思の相違も影響しているのかもしれない。
 動画サイトという新しいメディア企業にしても、様々な思惑が犇き合っているのであろう。
週刊ダイヤモンド
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10.大阪地裁は海賊版リーチサイト「はるか夢の址」を運営する主犯格の3人に、それぞれ懲役3年6ヵ月から2年4ヵ月に及ぶ執行猶予がつかない実刑判決を下した。

 前回の本クロニクルで、海賊版サイトを強制的に止めるブロッキング法制化が事実上棚上げになったことを既述しておいた。その一方で、文化庁が海賊版ダウンロードの違法範囲をネット上のすべてのコンテンツに広げ、国会への著作権法開催案の提出を目論んでいることも。
 それを文化審議会著作権文化会が了承し、通常国会に提出することが明らかになった。これは権利者の許可なくインターネット上に挙げられているコミック、写真、論文などのあらゆるコンテンツのダウンロードは全面的に違法とするもので、「はるか夢の址」の主犯3人の実刑判決もそのような流れの中で出されたように思われる。
 本クロニクルで繰り返し述べてきたが、東京オリンピックを目にしての、規制と管理によって、社会が包囲されていく兆候の表われと見なせよう。
 出版広報センターも2月21日付で、「今国会に提出される著作権法改正『リーチサイト規制』『ダウンロード違法化の対象範囲見直し』について」という声明を出している。



11.ベストセラーズの月刊男性ファッション誌『Men’s JOKER』が休刊。
 2004年創刊で、18年は7万部近くを保っていたが、発行部数と広告収入は減少していた。

Men’s JOKER


12.エムディエスコーポレーションのデザイン専門総合誌『MdN』休刊。
 1989年創刊で、18年12月号から隔月刊に移行したが、休刊になってしまった。

MdN

 それほどポピュラーでもないのに2つの休刊を記したのは、まず11の場合、本クロニクル118で記しておいたように、新たな経営者が株式を取得したことと関係しているのかもしれない。やはりM&Aされると、当初はともかく、出版内容は変わらざるを得ないようで、最近もM&Aされた人文書出版社がビジネスと自己啓発書の分野に方向転換し、既存在庫も最低ロットを残し、断裁されるという話を聞いたばかりだ。

 12に関しては月刊、隔月刊、休刊という流れゆえに取り上げたのである。実は大手出版社の雑誌も40誌ほどが刊行サイクルを減らしていて、その主なものを挙げてみる。
 文春の『オール読物』が年10回、マガジンハウスの『Hanako』が各週から月刊、講談社の『FRaU』、セブンアイ出版の『saita』がそれぞれ不定期刊となっている。

 もはや月刊誌というコンセプト自体が揺らいでいる。万年赤字に他ならない文芸誌『文学界』『新潮』『群像』などにしても、『オール読物』のような道筋をたどるのかもしれないし、それも遠からずやってくるだろう。
 雑誌といえば、『噂の真相』の岡留安則も死んだし、それはインディーズ雑誌に他ならなかったけれど、雑誌の終わりの時代を象徴しているようにも思える。


オール読物 Hanako FRaU saita 文学界 新潮 群像



13.村崎修三の『昭和懐古 想い出の少女雑誌物語』(発行 熊本出版文化会館 発売 創流出版 販売代行 武久出版)を読んだ。

 昭和懐古 想い出の少女雑誌物語

敗戦後のGHQ占領下を含め、二十年間の少女雑誌のカレードスコープ的物語が目前で展開されているような思いを味わった。
 塩澤実信『倶楽部楽雑誌探究』や植田康夫『「週刊読書人」と戦後知識人』(いずれも「出版人に聞く」シリーズで語られていた『ロマンス』や『銀の鈴』も取り上げられている。
 初見の雑誌が多く、それらが大半を占めていて、雑誌収集の奥深さとすごみを教えてくれるとともに、戦後に出現した少女雑誌物語があったことを実感させてくれる。
 私が愛読していた草の根出版会の『ママのバイオリン』『ユカをよぶ海』などが講談社の『少女クラブ』に連載されたことも教えられた。
 そしてあらためて、戦後は続いているはずだが、時代はまったく異なってしまったことも。「雑誌とともに去りぬ」というフレーズも思い浮かべてしまう。


倶楽部楽雑誌探究 『「週刊読書人」と戦後知識人』 ママのバイオリン ユカをよぶ海



14.そういえば、やはり亡くなった橋本治も少女漫画ファンであり、デビュー作の『桃尻娘』(講談社)にしても、それを抜きにしては語れないだろう。

桃尻娘 花咲く乙女たちのキンピラゴボウ

 実は「本を読む」で、いずれ橋本と北宋社のことを書くつもりでいたが、彼の存命中に間に合わなかったことが残念である。
 橋本は1980年代に北宋社から少女漫画論『花咲く乙女たちのキンピラゴボウ』全2冊を始めとして、合わせて6冊刊行している。
 まだそれほど売れてなかった橋本にとって、北宋社は「つなぎ」の役割を果たした小出版社であり、それは橋本だけでなく、その他にも何人もの著者を挙げることができる。いずれそれらのことを書いておきたい。
 それにつけても、北宋社の渡辺誠とはもう20年以上会っていない。お達者であろうか。



15.今月は岡留や橋本治に続いて、2人の出版人の訃報が届いた。
 それは春秋社の澤畑吉和と以文社の勝股光政である。

 澤畑とは長きにわたる付き合いで、最後に会ったのは彼が春秋社の社長に就任した頃だった。その時、会社を訪ねている。
 それから数年前に、私と論創社の森下紀夫、緑風出版の高須次郎が三島の畑毛温泉に行く際に、一緒にどうかと誘ったところ、行きたいのは山々だけれど、今回は遠慮するということで、会えずじまいになってしまった。
 今になってみれば、当時すでに病んでいたのではないかとも思う。また会おうといっているうちに、それが果たせず亡くなってしまった一人に澤畑も加わっている。心からご冥福を祈る。
 以文社の勝股は理想社や筑摩書房を経て、以文社を引き継ぎ、現代思想書のベストセラーであるアントニオ・ネグリたちの『〈帝国〉』(水嶋一憲他訳)を刊行したことはまだ記憶に新しい。
 今回の本クロニクルで挙げた4人の死者たちは、いずれもほぼ同世代といっていいし、私たちもそのような時代を迎えていることを本当に実感してしまう。
 
『〈帝国〉』



16.今月の論創社HP「本を読む」㊲は「ハヤカワ・ミステリ『幻想と怪奇』、東京創元社『世界大ロマン全集』、江戸川乱歩編『怪奇小説傑作集』」です。