出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話1547 西條八十『少年愛国詩集』と帝国在住軍人会『新興日本軍歌集』

前回、「現代詩人叢書」に西條八十『蝋人形』があることを示しておいたが、『西條八十全集』(国書刊行会)には書影掲載されているけれど、やはり収録されていない。それはアンソロジー詩集という理由にもよっているのだろう。 西條に関してはすでに『近代出…

古本夜話1546 百田宗治詩集『静かなる時』

これも浜松の時代舎で、百田宗治の詩集『静かなる時』を買い求めている。これまで『近代出版史探索Ⅵ』1008で百田が詩話会と新潮社の『日本詩人』の中心人物であり、椎の木社と詩誌『椎の木』を主宰していたこと、また同1031で百田のポルトレを紹介しておいた…

古本夜話1545 戦前と戦後の南北社

前回、大岡信の「保田与重郎ノート」(『超現実と抒情』所収)にふれ、審美社の『神保光太郎全詩集』に言及したこともあり、当時南北社から『保田与重郎著作集』が刊行されていたことを思い出したので、それにまつわる事情も書いておこう。 昭和四十年代前半…

古本夜話1544 大岡信『超現実と抒情』と神保光太郎「悲しき昇天」

これも前回の吉本隆明『抒情の論理』を読んでいた半世紀前のことだが、続けて大岡信の「昭和十年代の詩精神」のサブタイトルが付された『超現実と抒情』(晶文社、昭和四十三年)にも目を通している。 そこで同じように三好達治が論じられていたけれど、それ…

古本夜話1543 北原白秋童謡集『風と笛』と紀元社「国民学校児童の読物」

前回、三好達治の詩集『寒柝』の初版部数が五千部で、これが国策取次日配による買切制のもとでの出版だったことから、出版社にとっても詩人にとっても、大きな利益と収入をもたらすものであったことにふれた。 その事実を反映してだと思われるが、戦時下にお…

古本夜話1542 三好達治『寒柝』

かなり前に三好達治の詩集『寒柝(かんたく)』を入手している。それは均一台から拾ったもので、著名な詩人の初版詩集とはいえ、カバーも半ば破れ、装幀も粗末であり、奥付には五千部と記載されていたからだろう。そのことに加え、『寒柝』は昭和十八年十二月…

古本夜話1541 金星堂『新文学研究』と『ジイド全集』

『日本近代文学大事典』における辻野久憲の立項には、第一書房に在職し、『セルパン』編集長を務めたとあるけれど、本探索で指摘しておいたように、これは明らかに間違いで、『近代出版史探索Ⅴ』904の福田清人、もしくは拙稿「第一書房と『セルパン』」(『…

古本夜話1540 『詩・現実』と辻野久憲

『詩・現実』第二冊から第五冊にかけて、伊藤整、辻野久憲、永松定訳のジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』が翻訳連載されるのだが、この三人の訳者たちは同時に『詩・現実』の様々な分野における寄稿者でもあった。伊藤と永松に関しては『近代出版史探索Ⅵ』…

古本夜話1539 『詩・現実』第一冊と淀野隆三

前回の三好達治が詩を寄せていた『詩・現実』全五冊は、発行所を教育出版センター、発売所を冬至書房新社として、昭和五十四年に復刻されている。これも本探索1516、1492などの『生理』『四季』と同様に「近代詩誌復刻叢刊」シリーズである。 もっとも『近代…