2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧
またしても戯曲全集のことになってしまうが、本連載の目的のひとつはできるだけ円本に関して言及することなので、やはりここで書いておきたい。それは春陽堂の『日本戯曲全集』全五十巻のことである。 (第21巻、『滑稽狂言集』) これは『日本近代文学大事典…
前回、前々回と続けて、大正末期から昭和円本時代にかけて近代社と新潮社の『近代劇大系』、同じく近代社『古典劇大系』『世界戯曲全集』、第一書房『近代劇全集』が連鎖するように刊行されたことを既述しておいた(『近代劇大系』)(『世界戯曲全集』)こ…
前回のニーナ・ルヴォワル『ある日系人の肖像』が範としたのは、一九八九年に刊行されたトマス・H・クックの『熱い街で死んだ少女』ではないかと述べておいた。さらにそれに関して補足すれば、デイヴィッド・グターソンの『殺人容疑』(高儀進訳)も同様だと…
前回の最後のところでふれた近代社の円本『世界戯曲全集』は一冊しか手元にないが、これもここで取り上げておこう。 かつて「近代社と『世界童話大系』」(『古本探究』所収)でも『世界戯曲全集』に言及しているけれど、それは第一書房の『近代劇全集』の側…
前々回の生田蝶介の処女作「今戸の家」に登場する女性がオスカー・ワイルドの『サロメ』を読み、マックス・クリンガーのセイレーンを彷彿させるということ、また前回の加能作次郎の出世作「厄年」における、結核を病む義妹が、イプセンの『海の夫人』に見え…
本連載125で、日系二世トシオ・モリの『カリフォルニア州ヨコハマ町』を取り上げた際に、アメリカにおける日本人移民史、及びその太平洋戦争下までのクロニクルも示しておいた。それはもちろん戦後を迎えても切断されたわけではなく、前々回のカポーティ…
前回は生田長介の『歩み』の巻末広告にまで言及できなかったので、、今回はそれを取り上げてみたい。そこにはそれぞれ一ページ広告というかたちで、須藤鐘一『愛憎』、白石実三『曠野』、加能作次郎『厄年』が四六判上製函入として掲載されている。これらは…
本連載544「三上於菟吉『随筆わが漂泊』と元泉社」で、三上が博文館の『講談雑誌』編集長の生田蝶介に見出されたこと、また生田に関しては425や426でも言及していることを既述しておいた。それでも生田には『日本近代文学大事典』に立項があるので…
出版状況クロニクル95(2016年3月1日〜3月31日)16年2月の書籍雑誌の推定販売金額は1475億円で、前年比0.1%減。近年なかったほぼ横ばいという数字だが、これは4年に1度の閏年で、前年より1日多かったことによっている。 そのために書籍が844億円で、同9.8%…