出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル173(2022年9月1日~9月30日)

22年8月の書籍雑誌推定販売金額は801億円で、前年比1.1%減。
書籍は423億円で、同2.3%減。
雑誌は378億円で、同0.2%増。
雑誌の内訳は月刊誌が315億円で、同0.3%増、週刊誌は62億円で、前年同率。
返品率は書籍が37.9%、雑誌は41.8%で、月刊誌は41.5%、週刊誌は43.3%。
雑誌が前年増となったのは21年5月以来で、月刊誌のプラスは『ONE PIECE』(集英社)103巻が300万部を超えて発売されたことなどによっている。
しかし取次の書店POS調査を見ると、書店売上は低迷状態が続いている。
八重洲ブックセンター本店の閉店が発表されたのは象徴的で、これからの取次グループ書店の行方を注視しなければならない。

ONE PIECE 103 (ジャンプコミックス)


1.『日経MJ』(8/31)の2021年度「卸売業調査」が出された。
 そのうちの「書籍・CD部門」を示す。


■書籍・CD・ビデオ卸売業調査
順位社名売上高
(百万円)
増減率
(%)
営業利益
(百万円)
増減率
(%)
経常利益
(百万円)
増減率
(%)
税引後
利益
(百万円)
利益率
(%)
主商品
1日版グループ
ホールディングス
504,9932,84036481,39113.0書籍
2トーハン428,1511,2791,177▲1,64814.6書籍
3図書館
流通センター
51,0822.62,141▲0.62,266▲2.81,31018.8書籍
4楽天ブックス
ネットワーク
47,737書籍
5日教販27,257▲1.55478.73571.722511.0書籍
9春うららかな書房2,64135322028.6書籍
MPD148,635354133.5CD


 TRC(図書館流通センター)の売上高は3位で、トーハン、日販GHDと一ケタ異なる510億円だが、税引後利益額は遜色がない。
 粗利益率も18.8%と群を抜き、売上高経常利益率に至っては4.4%で、日教販1.3%、日販GHD 0.7%、トーハン0.3%に比べ、ダントツということになる。
 増え続ける公共図書館を背景とする図書館専門取次として、低返品率、出版社との直接取引などが相乗し、雑誌を扱っていないにもかかわらず、このような高利益率を確保するに至っている。知られざるTRCの成長のメカニズムは『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』(論創社)で明らかにしたばかりだ。
 それを日販やトーハンに当てはめれば、書店が増え、雑誌が売れ、その返品率が低かったことで成長も可能だったことを示唆している。ところが書店は減少する一方で、閉店も多いために返品率は高止まりのままであり、もはや流通業としての利益が生じる取次ではなくなっていることを告げていよう。
  



2.日本図書館協会の『日本の図書館 統計と名簿2021』が出されたので、1と関連して、その「公共図書館経年変化」を示す。

日本の図書館 2021: 統計と名簿
日本の図書館統計と名簿2021

■公共図書館の推移
    年    図書館数
専任
職員数
(人)
蔵書冊数
(千冊)
年間受入
図書冊数
(千冊)
個人貸出
登録者数
(千人)
個人貸出
総数
(千点)
資料費
当年度
予算
(万円)
1971 8855,69831,3652,5052,00724,190225,338
1980 1,3209,21472,3188,4667,633128,8981,050,825
1990 1,92813,381162,89714,56816,858263,0422,483,690
1997 2,45015,474249,64919,32030,608432,8743,494,209
1998 2,52415,535263,12119,31833,091453,3733,507,383
1999 2,58515,454276,57319,75735,755495,4603,479,268
2000 2,63915,276286,95019,34737,002523,5713,461,925
2001 2,68115,347299,13320,63339,670532,7033,423,836
2002 2,71115,284310,16519,61741,445546,2873,369,791
2003 2,75914,928321,81119,86742,705571,0643,248,000
2004 2,82514,664333,96220,46046,763609,6873,187,244
2005 2,95314,302344,85620,92547,022616,9573,073,408
2006 3,08214,070356,71018,97048,549618,2643,047,030
2007 3,11113,573365,71318,10448,089640,8602,996,510
2008 3,12613,103374,72918,58850,428656,5633,027,561
2009 3,16412,699386,00018,66151,377691,6842,893,203
2010 3,18812,114393,29218,09552,706711,7152,841,626
2011 3,21011,759400,11917,94953,444716,1812,786,075
2012 3,23411,652410,22418,95654,126714,9712,798,192
2013 3,24811,172417,54717,57754,792711,4942,793,171
20143,24610,933423,82817,28255,290695,2772,851,733
2015 3,26110,539430,99316,30855,726690,4802,812,894
20163,28010,443436,96116,46757,509703,5172,792,309
2017 3,29210,257442,82216,36157,323691,4712,792,514
2018 3,29610,046449,18316,04757,401685,1662,811,748
2019 3,3069,858453,41015,54357,960684,2152,790,907
2020 3,3109,627457,24515,05458,041653,4492,796,856
20213,3169,459459,55014,89356,807545,3432,714,236

 21年の公共図書館界で異変が起きているといってもいいかもしれない。それは個人貸出総数が5.4億冊で、20年の6.5億冊に比べて、1億冊以上の減少を見ている。
 21年の図書館数は20年よりも6館増えているし、専任職員数、蔵書冊数、年間受入図書冊数、個人貸出登録者数、資料費はほとんど変わっていないのだが、個人貸出総数だけが急激に減少していることになり、それは20年前に戻ってしまう数字である。この減少に対して、21年の書籍販売部数は5.2億冊で、図書館の個人貸出冊数と書籍販売部数が接近してきている。
 これは『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』において、「書店数、図書館数、個人貸出総数と書籍販売部数」の推移で示しておいたが、2010年から個人貸出総数と書籍販売部数が逆転し、その差は開く一方で、17年からは1億冊以上、個人貸出総数が上回る事態となっていたのである。
 その個人貸出総数が21年になって、いきなり逆に1億冊以上減少してしまった。コロナ禍や電子書籍図書館化によって生じたものではないと見ていいし、原因は何なのか。単に無料貸本屋の客と需要が減っただけなのか、あらためてこの事実に注視しなければならない。



3.八重洲ブックセンター本店が2023年3月で閉店。
 同店は1978年にゼネコン大手の鹿島による出店で、国内最大の書店としてオープンしたが、2016年にはトーハンが株式の過半数近くを鹿島から取得し、そのグループ書店化していた。

 これは中村文孝『リブロが本屋であったころ』(「出版人に聞く」4)に詳しいが、1970年代後半は都市型大型店出店の時代であり、75年に西武ブックセンター、それに八重洲ブックセンター、81年に三省堂書店本店、東京堂書店が続いていくことになる。
 しかし西武ブックセンター(リブロ池袋)はすでになく、三省堂本店も閉店したばかりだし、来年は八重洲ブックセンター本店も退場する。本クロニクル171でふれておいたように、4期連続の1億円以上の赤字だったのである。都市型大型店の時代のサイクルが閉じられたと見なせよう。
 それだけではない。本クロニクル157で、トーハンの近藤敏貴社長の、このままいけば、24年にグループ書店法人はすべて赤字になるとの言を引いておいたが、八重洲ブックセンター本店に象徴されているように、24年どころか前倒しになり、22年で限界となったのであろう。出版社にとっては返品ラッシュとなるかもしれない。
 したがって、それはトーハン書店法人のみならず、日販の書店法人にしても同様であり、これから閉店が相次いでいくと推測される。
リブロが本屋であったころ (出版人に聞く 4)
odamitsuo.hatenablog.com
odamitsuo.hatenablog.com



4.東京オリンピック、パラリンピックのスポンサー選定をめぐる汚職事件で、KADOKAWAの芳原世幸元専務、馬庭教二元室長に続いて、角川歴彦会長も逮捕。

 芳原元専務がリクルート出身で、『エイビーロード』や『ゼクシィ』編集長、馬庭元室長が『ザ テレビジョン』『関西ウォーカー』の編集長だったことを知ると、1988年のリクルート事件のことが想起される。
 また『出版状況クロニクルⅣ』で、角川歴彦会長へのインタビューやその著書『クラウド時代と〈クール革命〉』に言及しているが、その帰結が今回の事件だったとすれば、それも『クラウド時代と〈クール革命〉』がもたらしたものということにもなろう。
 いずれにしても、この事件によって露呈したのは、今までは書く側にあった出版社が書かれる側へと転位してしまった事実であり、それはこれからも続いていくだろう。
 いやそればかりでなく、1970年代後半の角川商法の帰結であるかもしれない。
 この事件に関しては、『選択』(9月号)の連載企業研究の「電通グループ『黒幕・高橋』と五輪汚職の根源」を合わせ読むべきことを付記しておく。

ゼクシィ首都圏 2022年 11月号 【特別付録】ミッフィー鍋つかみ&鍋敷き2点SET  ザテレビジョン 首都圏関東版 2022年9/2号  関西ウォーカー2022秋 ウォーカームック  クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)

www.sentaku.co.jp



5.集英社の決算は売上高1951億9400万円、前年比2.9%減、当期純利益は268億4500万円、同41.3%減の減収減益。
 売上高内訳は雑誌506億5400万円、同38.0%減、書籍120億円、同32.6%減、広告86億円、同9.2%増、事業収入1261億5700万円、同34.7%増。
 雑誌部門の雑誌売上は165億9600万円、同17.0%減、コミックスは340億5800万円、同44.8%減。
 事業収入のうちのデジタル売上は602億4100万円、同31.4%増。版権収入476億2700万円、同29.7%増。物販等182億8900万円、同52.2%増。事業収入の売上構成比は64.6%となる。

 本クロニクル167で講談社、同169でKADOKAWA、同170で小学館の決算を既述しておいたが、集英社の場合、減収減益ながら、事業収入が売上の64.6%を占めるというデジタル、版権、物販に特化した色彩が強くなってきている。
 それは今後も続いていくし、雑誌、コミック出版社として、町の書店とともにあった、かつての集英社の面影はドラスチックに後退していくだろう。それは、小学館、講談社、KADOKAWAも同様であろう。



6.光文社の決算は売上高170億2700万円、前年比1.0%増で、6期ぶりに増収だったが、経常損失は16億3200万円、当期純損失は12億400万円。
 売上高内訳は製品(紙版)売上76億7600万円、同9.2%減、広告収入41億6900万円、同15.4%増、事業収入45億8700万円、同9.2%増。

 光文社にしても、広告収入はデジタル広告増、事業収入は自社ECサイトでの写真集売上、デジタル雑誌書籍売上、版権ビジネスによるもので、紙の雑誌、書籍は苦戦が続いている。
 かろうじて6年ぶりの増収ではあるけれど、来期はどうなるであろうか。
 その中でも「古典新訳文庫」は好調と伝えられているので、安堵するが、季刊誌『HERS』は10月発売の秋号で、不定期刊行になる。
 私たちの世代は1960年代の松本清張を始めとするカッパ・ノベルスとともに成長したので、光文社といえばカッパ・ノベルスのイメージが強かったが、それももはや半世紀前のことになってしまったと痛感してしまう。
 まさにカッパ・ノベルスとは高度成長期をも象徴するものであったし、私もかつて「高度成長期と社会派ミステリ」(『文庫、新書の海を泳ぐ』所収、編書房)を書いている。

HERS(ハーズ)2022年8月号 点と線―長編推理小説 (カッパ・ノベルス (11-4))  文庫、新書の海を泳ぐ―ペーパーバック・クロール



7.『朝日新聞』(8/18)の「朝日歌壇」の高野公彦選として、下記の三首が並んでいた。

  ずっとここに居ていいんだよというような 平日の昼ジュンク堂書店
                          (東京都) 金 美里
  学生時「風土」買いたる古書店が 京の街から消えるとの報
                          (亀岡市) 俣野 右内
  かさばれる古書のリュックを抱えつつ 時忘れけり岩波ホール
                          (我孫子市)松村 幸一


 のカッパノベルス読み始めの頃の商店街の書店と古本屋のことを思い出し、たまたまこれらの短歌も見出しているので、ここに挙げてみた。
 1960年代の商店街の書店は「ずっとここに居ていいんだよ」とはいえないほど小さかったけれど、いつも土日には人があふれるようにいて、出版業界も紛れもなく高度成長期だったことを確認させてくれる。
 それは古本屋も同様で、そのような時代もあったことを想起してしまう。
 しかし当然のことながら、そうした商店街の書店も古本屋もなくなってしまい、もはやそれらも街の記憶から失われていくだろう。後者に関しては「浜松の泰光堂書店の閉店」(『古本屋散策』所収)を書いているので、読んで頂ければ幸いである。
古本屋散策



8.中央社の決算は売上高208億4850万円、前年比7.6%減、営業利益は3億5690万円、同8.5%減、当期純利益は9230万円、同16.1%増。
 売上高内訳は雑誌121億5300万円、同9.4%減、書籍71億5630万円、同3.9%減、特品等13億710万円、同13.6%減。返品率は総合で27.9%。

 の『日経MJ』の卸売業調査に中央社は出ていなかったので、ここで決算状況を引いてみた。
 『出版状況クロニクルⅣ』で中央社はコミックに特化して、その業績を確保し、2010年代には増収増益、低返品率であったことを既述しておいた。
 しかしその中央社にしても、雑誌の凋落と電子コミックの影響を受けているはずで、その只中での決算ということになるし、30%を割る低返品率によって、赤字に陥っていないと判断できよう。
 そういえば、中央社とコラボレーションし、書泉や芳林堂もM&Aしてきたアニメイトの情報が伝わってこないが、タイバンコク店も含め、どうなっているのだろうか。



9.ノセ事務所から2021年の「出版広告調査」レポートが届いた。

 これは朝日、読売、日経3紙の「「全五段」「半五段」「三八つ」「三六つ」に加え、「一頁広告」も含めた出版社別出広調査で、『本の世界に生きて50年』(「出版人に聞く」5)の能勢仁ならではの調査報告である。累計1441社に及ぶために具体的にデータは示さないが、それは了承されたい。
 それによれば、21年は東京オリンピックと衆議院議員選挙もあって、その影響が出たのではなかと危惧していたが、例年と変わらない出広状態だったとされる。
 私の持論ではチラシを打てない書店に代わって、出版社が新聞広告を出すことで集客を試みていることになる。
 しかし近年は信じられないほど出版広告費が安くなっているにもかかわらず、出広が少なくなっているとも伝わってくるし、地方紙まで含んだ場合はやはり減少しているのではないだろうか。
 それは22年に顕著になってきたようにも思われる。そのことは来年の「出版広告調査」で確かめることにしよう。
本の世界に生きて五十年―出版人に聞く〈5〉 (出版人に聞く 5)



10.『選択』(9月号)の「社会・文化情報カプセル」において、「岩波書店の看板雑誌『世界』で騒動/前編集長が『居座る』異常事態」がレポートされている。

 『世界』に関しては本クロニクル168、171でふれ、岩波書店の内紛は同166、また坂本政謙新社長へのインタビューについても、本クロニクル162で紹介している。
 この『選択』レポートによれば、坂本新社長は『世界』編集部内の状況から、4月に編集長交代人事を発表したが、編集長は「引き継ぎ」と称して、夏になっても居座り、「新編集長が『編集部付』のような形で仕事をするという前代未聞の状態』になっているという。
 社内の人事をめぐる権力争いとも伝えられ、10月には交代するとされているが、果たしてどうなるのか。
 4のKADOKAWA汚職事件をターニングポイントとして、出版社が書かれる側に転位していくのではないかと述べておいたが、それは同じく今後も続いていくだろう。
 なお同じく『選択』の「経済情報カプセル」にはアマゾンが生鮮食品などの販売強化をめざして、業務提携しているライフコーポレーションを買収するのではないかとの観測も出されている。
世界 2022年10月号



11.リトルマガジン『飢餓陣営』(55、2022夏号)が特集「核戦争の手前で―2022ロシア-ウクライナ」を組み、笠井潔に「世界内戦としてのロシア-ウクライナ戦争」と題するロングインタビューをしている。

 笠井は「今回のウクライナ戦争でポスト世界国家化の時代は新しい局面に入ったのではないか」との視座から語っているのだが、示唆に富み、傾聴すべきインタビューだと思われる。
 これを読みながら、ここにも名前が出てくる船戸与一の難民に関してのインタビュー「国境線上の第四世界」(『現代思想』1993・8掲載)を想起してしまった。船戸はその延長線上にルポタージュ『国家と犯罪』(小学館、1997年)を書くに至る。
 笠井にしても船戸にしても、現役の実作者ならではの世界歴史観によるもので、啓発されることが多いし、笠井のインタビューは『飢餓陣営』の読者にしか知られていないであろうし、他のものと合わせ、単行本化が望まれる。

現代思想 1993年8月号 特集=浮遊する国家 外国人問題の視点から<対談●外国人問題とは何か>上野千鶴子/鄭暎恵 国家と犯罪(小学館文庫)  
77566194.at.webry.info



12.『日本古書通信』(9月号)の「昨日も今日も古本さんぽ」143のイントロで、岡崎武志が『サンデー毎日』の書評事情について語っている。それを要約してみる。
 彼の『サンデー毎日』の書評ページとの付き合いは長く、1993、4年頃からレギュラーページを受け持ち、リニューアル、担当者の交代はあっても、連載ページが途切れることがなかった。見開き2ページを独占していた時期もあり、他の特集や企画記事にも関わり、家のローンの完済もそのおかげであった。
 ところが部数低迷により、『週刊ポスト』『週刊現代』と同じく、『サンデー毎日』も5月から月4発行が月3となり、原稿料も4分の3になっていた。それに加えて、10月からの誌面刷新で、書評ページは6ページから2ページになり、彼のページもなくなると告げられ、原稿料も一挙にゼロになってしまったのである。

 週刊誌の書評の歴史は実際に『サンデー毎日』の書評にも携わっていた井家上隆幸『三一新書の時代』(「出版人に聞く」16)においても、たどられている。
 それは1969年の『週刊ポスト』創刊に伴う新たな書評への重視で、その影響は各週刊誌へも反映され、『サンデー毎日』も井家上たちによる特色のある書評時代があり、それを岡崎は引き継いできたことになる。
 だがそうした時代も終わったのだというしかない。
三一新書の時代 (出版人に聞く)



13.中村文孝との対談『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』は刊行されて1ヵ月以上が経った。
 読者から便りがあり、図書館関係者は揃って沈黙を守るしかないだろうと書かれていた。つまり図書館関係者にとって、タブー本とされたことになろう。
 それは出版業界紙(誌)、新聞も同様だ。あたかも緘口令が敷かれたかのようだ。
 ここで提起されている公共図書館状況は、現在の書店と出版業界の問題へとそのまま重なるものであり、どうして出版社や書店からの発信もなされないのだろうか。
 いち早く鹿島茂だけが『週刊文春』(9/8)で1ページ書評してくれたが、その後はまったく続かず、SNSでの言及すらもほとんどなされていない。
 それだけでなく、2で既述しておいた図書館の異変は何によるのか、それも追求されなければならない。
 中村の「日本の古本屋」メールマガジンでの発信「『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』を読むにあたって」も参照されたい。
 なお月末になって、共同通信の配信記事「BOOK交差点」でも紹介された。
  
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www.kosho.or.jp
14.『だれが「本「」を殺すのか』の佐野眞一が亡くなった。

 佐野とは座談会を共にしたこと、及び彼にも言及しているので、病床にあったことを知らずに『私たちが図書館について知っている二、三の事柄』を献本しておいた。読んでくれただろうか。
 また学生時代に脚本家志望だった佐野にちなんでいえば、同タイトルはゴダールの映画からとられているが、彼も9月の死が伝えられたばかりだ。

だれが「本」を殺すのか〈上〉 (新潮文庫)



15.論創社HP「本を読む」〈80〉は「山田双葉『シュガー・バー』と山田詠美」です。


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