2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧
『宝塚市史』 『阪神間モダニズム』 かなり前のことだが、都市住宅学会関西支部長の舟橋國男から、同学会での郊外をめぐるシンポジウムの基調講演の依頼を受け、大阪へ出かけていったことがあった。当時舟橋は阪大大学院建築工学の教授だったと思う。確認し…
前回の『紫艸』に見られる江戸時代の商標ではないけれど、実は私も一枚だけ商標を持っている。この際だから、箸休めとしての一編を書いてみる。それは縦五十センチ、横四十センチほどの板看板で、茜色の上の部分にSHIP CHANDER、ブルーの下の部分にEZEKIEL T…
林若樹は明治四十四年に亡くなった岡田村雄の五年忌にあたる大正五年に、岡田編『紫艸』を刊行している。その広告が『風俗』第二号の巻末に「集古叢書第二編」の『紫草(ママ)』として掲載され、「此書も亦集古会誌へ続載せるもの江戸時代に於ける高名なる商標…
前回の山口廣編『郊外住宅地の系譜』(一九八七年)がサブタイトル「東京の田園ユートピア」に示されているように、東京の郊外住宅地を対象とするものだったことに対し、同じく鹿島出版会から出された片木篤・藤谷陽悦・角野幸博編『近代日本の郊外住宅地』…
高浜虚子の「杏の落ちる音」の中で、緑雨=岡田紫男が、直樹=林若樹に残した「おしづ籠」はどうなったのだろうか。それは大正五年に創刊された『風俗』において、「三谷堀の話―お千代船より」として、同誌が終刊となる十二号まで連載された。『風俗』は『集…
山路閑古が高浜虚子に俳句を学んだこととポルノグラフィの書き手であったことを知って、ひとつの連想が浮かんだので、それを書いておきたい。高浜虚子に「杏の落ちる音」という短編がある。これは『ホトトギス』の大正二年一月号に掲載され、同六年に北原白…
(講談社学術文庫) 柳田国男は前回の『都市と農村』に続いて、一九三一年に『明治大正史世相篇』を刊行している。これは朝日新聞社編『明治大正史』全六巻のうちの第四巻として出されたもので、まさに明治大正の「世相」、柳田の「自序」の言葉によれば、「…
松川健文が営んでいたロゴスという出版社に関しては、斎藤夜居が『大正昭和艶本資料の探究』の中で、、十ページにわたって書いている。それは昭和二十七年に、中年の紳士が千代田区代官町にある国際文化会館を訪れる場面から始まっている。そこに図書出版の…
たまたま古本屋に、前回ふれた岡田甫の川柳関連書などが六冊ほど出されているのを見つけ、いずれも古書価は安かったので、まとめて購入してきた。 それらの書名、出版社、刊行年を記せば、次のようになる。岡田のものは 『定本誹風末摘花』 (第一出版社、昭…
(『柳田国男全集』4巻所収、筑摩書房) 前回記しておいたように、内務省地方局有志編纂『田園都市』が刊行されたのは一九〇七年のことだった。その当時、柳田国男は農商務省の若手官僚として全国農事会幹事を務め、『柳田国男農政論集』(藤井隆至編、法政…
前回『誹風末摘花』は江戸の天保時代から戦前にかけて、ずっと禁書扱いにされ、その発禁の厄が解かれたのは昭和二十五年のことだったと書いた。それは同二十三年に葛城前鬼と柳田良一の校注共著として、『新註 誹風末摘花』が出され、発禁処分を受けたが、発…
出版状況クロニクル75(2014年7月1日〜7月31日)出版危機は歴史構造に基づくものであり、それが取次にも及んでいることを繰り返し既述してきた。本クロニクル74 で各取次決算にふれておいたが、大阪屋に象徴されているように、構造改革がなされない限り、深…