2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧
デュルケムの『自殺論』はかつて中央公論社の『デュルケーム・ジンメル』(『世界の名著』47)に抄訳が収録されているが、昭和六十年になって、同じ訳者の宮島喬によって新たに全訳が中公文庫として刊行され、宮島自身の論稿『デュルケム 自殺論』(有斐閣新…
前回デュルケムの『宗教生活の原初形態』の他にも、戦前には彼の著作が翻訳されていたことを既述したが、それらは田辺寿利『社会学研究法』(刀江書院、昭和三年)、鈴木宗忠、飛沢謙一訳『自殺論』(宝文館、昭和七年)である。 前者の初版は未見だけれど、…
本連載926のレヴィ・ブリュル『未開社会の思惟』がエミール・デュルケムの『宗教生活の原初形態』の影響下に書かれたこと、及び同922のマルセル・モースがデュルケムの甥であることはよく知られた事実であろう。 (『未開社会の思惟』) デュルケムはド…
前回はレヴィ・ブリュルの山田吉彦訳『未開社会の思惟』を取り上げながら、そこに山田が献辞を捧げていたジョセフ・コットのほうに紙幅を多く割いてしまった。それは近代文学史や出版史において、コットが創立したアテネ・フランセが果たした役割は想像以上…
本連載922の山田吉彦はモースの『太平洋民族の原始経済』に先駆けて、昭和十年二小山書店からレヴィ・ブリュルの『未開社会の思惟』を翻訳刊行している。これは菊判の裸本が手元にあり、まずモースの翻訳と同様に、「A Monsieur Joseph Cotte, mon cher m…
前回の神原泰『蘭印の石油資源』にふれながら、タイトルのこともあり、絶えず想起されたのは金子光晴の『マレー蘭印紀行』だった。ただ私が読んでいるのは中公文庫版なので確認してみると、初版は昭和十五年十月に山雅房から刊行されていて、神原の著書とほ…
前回のリーゼンバーグの『太平洋史』の出版の翌年の昭和十七年に、やはり朝日新聞社から神原泰の『蘭印の石油資源』という七三ページのブックレット判の一冊が出ている。「蘭印」とはその見返しの地図に示されているように、オランダ植民地の東インド、つま…
続けてマリノウスキー『西太平洋の遠洋航海者』、マーガレット・ミード『マヌス族の生態研究』、マルセル・モース『太平洋民族の原始経済』などの太平洋民族に関する文化人類学や社会学の著作にふれてきた。また以前にも本連載584などで太平洋協会とその…
マリノウスキーは『西太平洋の遠洋航海者』などで、ニューギニアのトロブリアンド諸島におけるクラ、前回その名前を挙げたブランツ・ボアズは北米インディアンに見られるポトラッチという贈与の慣習を報告している。これらを参照しながら、「フランス人類学…
ニューギニアで文化人類学のフィールドワークを試みていたのは、本連載916などのイギリス人のマリノウスキーばかりでなく、アメリカのマーガレット・ミードたちも同様だった。ただ前者が一九一四年から一八年にかけてのトロブリアンド諸島であったことに…
19年5月の書籍雑誌推定販売金額は755億円で、前年比10.7%減。 書籍は388億円で、同10.3%減。 雑誌は367億円で、同11.1%減。その内訳は月刊誌が291億円で、同9.5%減、週刊誌は75億円で、同16.9%減。 返品率は書籍が46.2%、雑誌は49.2%で、月刊誌は50.6%、週刊…