出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

混住社会論57 ビクター・グルーエン『ショッピングセンター計画』『都市の生と死』(いずれも商業界、一九六九、七一年)

ここで現代の郊外消費社会において、注視すべき存在と化しているショッピングセンターに関する言及を二編ほど挿入しておきたい。本連載53の角田光代『空中庭園』の中で、ショッピングセンターが郊外の人間にとっては精神的なよりどころ、救いのトポスであり…

古本夜話381 抒情詩と福田正夫『夢見草』

西條八十の『砂金』も例によって浜松の時代舎で購入したのだが、その後にまたしても交蘭社の本を見つけたので、それも書いておきたい。ただこちらは昭和五十九年に冬至書房新社から出された福田正夫の復刻版「抒情小曲詩集三部作」のうちの一冊である。その…

古本夜話380 尚文堂、西條八十『砂金』、野口雨情『十五夜お月さん』

前回具体的にふれられなかったが、交蘭社は俳句書を刊行するだけでなく、詩や童謡の出版社でもあり、その別名を尚文堂という。それぞれ代表的な詩集と童謡集が手元にあるので、この二冊を紹介してみよう。一冊目は西條八十の詩集『砂金』で、浜松の時代舎で…

混住社会論56 嶽本野ばら『下妻物語』(小学館、二〇〇二年)

*今週から、[古本夜話]を月曜日・水曜日に、[戦後社会状況論]を金曜日にアップします。ご了承ください。 嶽本野ばらの『下妻物語』はタイトルに示されているように、「行けども行けども、田んぼ」の茨城県の「卒倒してしまいたくなる程の田舎町」下妻を…

古本夜話379 交蘭社、荻原井泉水『俳句の新らしき味わい方』、『廣瀬平治郎』

俳書出版に関して、もう一編続けてみる。 本連載320において、特価本業界に属する香蘭社にふれた際に、もうひとつの同名の交蘭社にも言及するつもりだと書いておいたが、こちらの交蘭社は詩や俳句の出版社と考えていい。 交蘭社から出された俳句の本が二…

古本夜話378 資文堂『年刊俳句集』

*今回から、[古本夜話]を月曜日・水曜日に、[戦後社会状況論]を金曜日にアップします。ご了承ください。 本連載373の『俳文学大系』を調べるために、『俳諧大辞典』を繰っていると、『日本俳書大系』十七巻が立項されていて、これが『俳文学大系』と…

古本夜話377 小林一郎「日蓮上人遺文大講座」と蓮本秋郊

*来週から、[古本夜話]を月曜日・水曜日に、[戦後社会状況論]を金曜日にアップします。ご了承ください。 本連載374などで書名を挙げた田村晃祐の『近代日本の仏教者たち』(NHKライブラリー)は高楠順次郎の『大正新修大蔵経』や『南伝大蔵経』など…

古本夜話376 中山由五郎と上田保『趣味の法律』

前回の『国訳禅宗叢書』を入手した同じ古本屋で、これも小川菊松が『出版興亡五十年』でふれ、また私も本連載296や「村上信彦と『出版屋庄平』」(『古本探究』所収)で取り上げてきた上田保の正続『趣味の法律』を購入したこともあり、続けて書いておき…

混住社会論55 佐伯一麦『鉄塔家族』(日本経済新聞社、二〇〇四年)

佐伯一麦の『鉄塔家族』は三本のテレビアンテナ用の鉄塔が建っている山に関する言及から始まっている。いや、山というより、山の頂に至る四通りの道についての説明といったほうがいいかもしれない。それらを列挙すれば、ひとつはバスの通る道で、民放の放送…

古本夜話375 『国訳禅宗叢書』と二松堂

三井晶史と仏教書出版、及び東方書院と誠文堂新光社の関係などを書いてきたが、その後『国訳禅宗叢書』を入手し、その発行者が本連載160でふれた宮下軍平であることを知った。そこで既述したように、二松堂の宮下は誠文堂新光社の小川菊松と公私にわたる…

古本夜話374 三井晶史、『日本思想家史伝全集』、『日本絵巻全集』

三井晶史と東方書院に関して、続けてもう一編書いておきたい。これは実物を見ていないのだが、三井訳として『新訳楞伽経』『新訳大品般若経』、著書として『仏教思想概説』があり、甲子社書房から出されている。甲子社書房は仏教書出版社で、それは三井の訳…

出版状況クロニクル70(2014年2月1日〜2月28日)

出版状況クロニクル70(2014年2月1日〜2月28日)1月の出版物推定販売金額は1082億円で、前年比5.5%減、その内訳は書籍が533億円で同3.6%減、雑誌が549億円で7.2%減となっている。雑誌のうちの月刊誌は418億円で、同5.7%減、週刊誌は131億円で同11.9%減. 14年…