出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『出版人物事典』の間違い2

『出版人物事典』の第四番目の人物として、青木嵩山堂の青木恒三郎が立項されている。この青木崇山堂についてふれてみる。ただ残念なことに青木嵩山堂は多くの本を出しているのだが、私は一冊しか所持していない。 それは物集高見編纂の『詞のはやし日本大辞…

古本夜話11 謎の訳者帆神煕と第一出版社

『あまとりあ』に先駆ける「文化人の性科学誌」と銘打った『人間探究』と第一出版社について、前回わずかばかりふれておいた。その後、木本至の『雑誌で読む戦後史』の中で、『人間探究』が立項され、第一出版社へのかなり詳細な言及があったこと、それに加…

『出版人物事典』の間違い1

本ブログで一連の出版学会批判を展開したことに関して、何人もの読者から、ブログが炎上したのではないか、さらなる誹謗中傷などが押し寄せてきたのではないかという問い合わせを受けた。他の読者もそのことに関心があると思うので記しておくが、私はいつで…

古本夜話10 『マンハント』編集長 中田雅久

藤本義一編の『あまとりあ傑作選』の巻末に、『あまとりあ』元編集長中田雅久による「あまとりあ回想録」が収録されている。 中田によれば、ある雑誌の原稿依頼のために高橋鉄を訪ね、それを何度か重ねているうちに、「あまとりあ社で計画中の新雑誌について…

リブロと小川道明

これまで記してきたように、橋立孝一郎が書籍、玩具、ホビーの専門店チェーンであるキディランドを展開し、1960年代後半に年商30億円、47店舗に至った。だが急成長のとがめから、会社更生法の適用を受け、それをきっかけにして、キディランドの優秀な書店員…

古本夜話9 『あまとりあ』と高橋鉄

前回藤見郁の『地底の牢獄』があまとりあ社の「裏窓」叢書として刊行されたことを書いたが、実はあまとりあ社は『裏窓』の久保書店の別名で、この社名で『あまとりあ』を刊行していた。『あまとりあ』は昭和二十六年から三十年にかけて刊行された「性風俗誌…

河村清一の『千二百円で出来る書籍雑誌店開業案内』

前々回の「倉本長治と田中治男『踏んでもけっても』」で書名を挙げた、河村の『千二百円で出来る書籍雑誌店開業案内』は、柴野京子の『書棚と平台』の「購書空間の変容」の章で参照され、そこで示された書店のレイアウト平面図が転載されている。彼女はこの…

古本夜話8 藤見郁の『地底の牢獄』

濡木痴夢男は『「奇譚クラブ」とその周辺』の中で、昭和四十四年に第二書房のナイトブックシリーズとして、自分が書いた小説や読物類から、まだ単行本になっていなかったものを集め、藤見郁名義で十数冊刊行されたことを記し、『縄と女と野獣たち』などの八…

出版状況クロニクル 18

論創社サイトにて「出版状況クロニクル 18(2009年9月26日〜10月25日)」を更新しました。

倉本長治と田中治男『踏んでもけっても』

本ブログ「キディランドと橋立孝一郎」に記しておいたように、橋立が書店の流通革命に目覚めたのは、商業界のゼミに参加したことがきっかけだった。商業界ゼミの主宰者は倉本長治であり、倉本は橋立と異なり、『出版人物事典』(出版ニュース社)に立項され…