2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧
『近代出版史探索Ⅲ』459でふれた農民文学者の伊藤永之介に関して、ずっと書くつもりでいたのだが、彼の戦前の農民小説に出会えず、その機会を得ずして長い時間が過ぎてしまった。それだけでなく、いくつかの文学全集類は別にして、伊藤の作品は戦後に刊行さ…
浜松の典昭堂で美術展カタログが大量に放出されていたので、私も多くを買い求め、知らずにいた美術展をカタログで観ている。 その中に『ミレー3大名画展―ヨーロッパ自然主義の画家たち』(Bunkamura ザ・ミュージアム他、二〇〇三年)と『ピサロ展―カミーユ…
浜松の時代舎で、森谷延雄『これからの室内装飾』を購入した。それは厚さが五センチ近いのだが、疲れ気味で、著者名もタイトルも定かに読めないので、時代舎による帯がまかれていた。そこに「建築書の歴史的名著」、大正十六年(ママ)初版、古書価五千円と記さ…
『近代出版史探索Ⅵ』1148で、インド北部の『ベンガル民族誌』を取り上げたこともあり、ずっと気になっていた岡本貫瑩『印度美術の主調と表現』にも言及しておきたい。同書は昭和七年に発売所を神田区南甲賀町の六文館として刊行されている。函入菊判、本文、…
前回の木下杢太郎の座右宝版『大同石仏寺』の「跋」において、編集の齋藤菊太郎と写真の山本明への謝辞が述べられていることを既述した。だがそれはもう一人いて、東京帝大工学部の藤島亥治郎教授で、建築学教室が有するインドの寺院や石仏の写真の多くを参…
本探索でお馴染みの生活社だけでなく、「ユーラシア叢書」に見たように、様々な出版社から東西交渉史、回教史、中国史、蒙古史、ロシア史、アジア史などに関する古典ともいうべき書物が刊行されていた。それらの企画や翻訳は『近代出版史探索Ⅲ』563の東亜経…
番外編その五の1で取り上げた『シャーマニズムの研究』を入手したのは『近代出版史探索Ⅳ』730のハルヴァ『シャマニズム』に関連してだった。この訳者の田中克彦が「シベリアの金枝篇」とよぶ『シャマニズム』は現在平凡社の東洋文庫に収録されているが、最初…
前回、芙蓉書房の「シルクロード叢書」にふれたが、その明細を示さなかったので、ここでそれらを挙げてみる。 1 西川一三 『秘境西域八年の潜行』上 2 〃 『 〃 』下 3 〃 『秘境チベット歩く』 4 岡本昇 『若い国ネパール―医学診療隊の記録』 5 ロバート・…
新時代社の季刊雑誌 『ユーラシア』と加藤九祚のことで思い出されたのは芙蓉書房の『シルクロード事典』である。私は自分の無知を弁えているので、翻訳や編集のために多くの辞書、事典類を架蔵している。古本屋で目にとまるごとに購入した時期もあって、それ…