2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧
『VOLO』第3号 昭和50年10月1日発行 Ⅳ ダシェル・ハメット ニューヨーク大恐慌と同年にハメットの『血の収穫』(二九年)は発表された。これは通称ポイズンヴィル(毒の町)ことパースンヴィルと云う街を舞台として、鉱山のストライキに原因を持つところのギ…
『VOLO』第3号 昭和50年10月1日発行 Ⅲ ハードボイルド派 一般のアメリカ文学史の伝えるところに依れば、三十年代に入るや否や、「失われた世代」の作家たちの問題は忘れ去られ、二九年の大恐慌を境として、アメリカ史上未曾有の不況期の中で、ストライキ小説…
『VOLO』第3号 昭和50年10月1日発行 Ⅱ 失われた世代― アメリカの「狂乱の二十年年代(ローリング・ツェンティーズ)は「失われた世代」と称される一群の作家たち、S・フィッツジェラルド、ヘミングウェイ、フォークナー、ドス・パソス等を生み出した。 一九二十年、フィッ…
『VOLO』第3号 昭和50年10月1日発行 Ⅰ 三十年代へ―― 蒼ざめて行く視界の中を風が吹き抜けて行った。風景を視ていたのだった。風が樹々を揺らし、微かな鳥の羽搏きが聴こえた。陽の光で暖められ彩どられた硝子窓と風の流れで舞踏するカーテンは、もはやわたし…
同人誌『VOLO-私は翔ぶー』第2号 昭和49年12月20日発行 Ⅲ しかし、吉行淳之介がストイシズムという「鎧」を着けることを決意して、社会へと降りて行ったにもかかわらず、そしてまた、吉行の小説の主人公たちは、このストイシズムを保とうと自己に課している…
同人誌『VOLO-私は翔ぶー』第2号 昭和49年12月20日発行 Ⅱ 吉行淳之介の短編の中に、さして文学的に密度の高い作品とは思われないが、吉行の〈女〉に対する、あるいは〈恋愛〉に対する姿勢を象徴的に物語っているように見える『ハーバー・ライト』と『がらん…
同人誌『VOLO-私は翔ぶー』第2号 昭和49年12月20日発行Ô Saisons, ô châteaux ! Quelle âme est sans défauts? Rimbaud Ⅰ 夕暮の街、落日の光景、恋人たちの時刻― 様々な〈愛〉の調べを奏でながら、恋人たちは歩いて行く。〈愛〉を確認するように、指をから…
小田光雄亡き後も続けてきた「古本夜話」=「近代出版史探索」番外編の旅もいよいよ終わりを迎えます。 「出版・読書メモランダム」のもう一方の柱である「出版状況クロニクル」は2024年の190回でストップしました。 本人も「最後まで見届けられなくて気がか…
これは二〇〇八年に中経出版が新人物往来社を買収したことで明らかになったのであるが、すでに出版活動を停止していると思われた荒地出版社が新人物往来社の傘下におかれていたという事実だ。 荒地出版社は早川書房から独立した伊藤尚志によって、一九五二年…