2017-01-01から1年間の記事一覧
17年3月の書籍雑誌の推定販売金額は1766億円で、前年比2.8%減。送品稼働日が1日多かったことにより、マイナスが小さくなっている。 書籍は1050億円で、同1.2%減、雑誌は716億円で、同5.0%減。 雑誌の内訳は月刊誌が603億円で、同4.2%減、週刊誌は112億…
これは前回のゴルドン夫人の『弘法大師と景教』のように、国会図書館でデジタル化されていないし、現物も入手していないので、本連載としてはイレギュラーだが、あえて取り上げてみる。それは藤無染の『英和対訳 二聖の福音』で、明治三十八年に新公論社から…
新仏教運動に寄り添うかたちで明治四十三年に、スウエンデンボルグの『天界と地獄』とブラヴァツキーの『霊智学解説』が翻訳刊行された。前年に、これも同様に大きな影響を与えたと思われる一冊が出版されている。それは日英図書館首唱者イー・エー・ゴルド…
前回ふれたように、明治四十三年十二月に博文館からブラヴァツキーの『霊智学解説』が刊行されている。しかしこれは発売所を博文館とするもので、厳密にいえば、博文館の出版物ではない。『博文館五十年史』の「出版年表」にその記載がないことは、それを裏…
前回の小林康達の、若き杉村楚人冠伝『七花八裂』(現代書館)において、明治三十二年の仏教清徒同志会(後に新仏教徒同志会)の結成から『新仏教』創刊までの経緯が述べられている。その背景にあるのは仏教の国家保護やキリスト教排除を目的とする仏教諸団…
かなり間が開いてしまったけれど、ここに日本評論社のもう一冊を付け加えておきたい。浜松の時代舎で、昭和十二年に日本評論社から刊行された『楚人冠全集』第一巻を購入してきた。美作太郎の『戦前戦中を歩む』の中では、「明治から大正にかけて活躍したジ…
もう一編、内外社に関して書いておきたい。『綜合ヂャーナリズム講座』を通読することで、定かでなかった人物のことが判明したからである。そのことにふれる前に、一冊の復刻本に言及しなければならない。それは昭和五十七年にみき書房から刊行されたサトウ…
『綜合ヂャーナリズム講座』はこの第十二巻で完結することになるのだが、最終巻にしては出版部門の論考はあまり見るべきものがなく、次の二編にとどまる。 (日本図書センター復刻版) 1 田中直樹「『娯楽雑誌』の編輯・其他」 2 一城龍彦「出版書肆鳥瞰論 …
『綜合ヂャーナリズム講座』第十一巻からは次の四編を取り上げることにする。 (日本図書センター復刻版) 1 大宅壮一 「改造論」 2 小汀利得 「産業経済雑誌論」 3 柳田国男 「世間話の研究」 4 金児農夫雄 「詩歌書の出版について」 1 の「改造論」で、大…
17年2月の書籍雑誌の推定販売金額は1398億円で、前年比5.2%減。前年は閏年で1日多かったこともあり、0.1%減だった。 書籍は827億円で、同1.9%減、雑誌は570億円で、同9.6%減。 雑誌の内訳は月刊誌が471億円で、同7.3%減、週刊誌は286億円で、同19.9%減…
『綜合ヂャーナリズム講座』第十巻には神道久三「日本プロレタリア雑誌発達史」が掲載されている。プロレタリア運動におけるヂャーナリズムの歴史をトレースし、新聞や雑誌のスタイルや主筆者たちの名前も挙がり、簡略なチャートとなっている。だがこれは新…
『綜合ヂャーナリズム講座』第九巻には杉村楚人冠「日本ヂャーナリズムの現勢」、安成二郎「新聞と婦人」も収録されている。前者は新聞編輯部の現在のみならず、印刷設備、科学的新機械の利用、洋紙の現勢などにも及ぶトータルな新聞状況を広範にレポートし…
前回、美術雑誌においても、専門の評論や記事だけでは成立せず、それらも含めてゴシップなども包括する一般雑誌と同様の編輯方針を必要するという『アトリエ』の編輯主任の藤本韶三の言を紹介しておいた。『綜合ヂャーナリズム講座』にしても、それは同様で…
『綜合ヂャーナリズム講座』第七巻からは次の四編を紹介してみる。 (日本図書センター復刻版) 1 新居格 「婦人雑誌論」 2 佐藤澄子 「婦人雑誌の編輯と記事のとり方」 3 藤本韶三 「美術雑誌の編輯」 4 出口堅造 「出版屋うちわ話」 1 の「婦人雑誌論」に…
(日本図書センター復刻版) 『綜合ヂャーナリズム講座』第六巻は、本連載635でふれた小澤正元による興味深い「日本プロレタリア新聞発達史」も掲載されているが、これは新聞の領域にあると見なし、言及は差し控える。今回は以下の三編とする。 1 菅忠雄 …
『綜合ヂャーナリズム講座』第五巻からは以下の五編を見てみる。 (日本図書センター復刻版) 1 中村武羅夫 「文芸雑誌の編輯」 2 木内高音 「幼年少年少女雑誌の編輯」 3 原田三夫 「自然科学雑誌の編輯」 4 島田青峯 「中間読物としての短歌と俳句」 5 田…
『綜合ヂャーナリズム講座』第四巻からは次の四編を紹介してみよう。 (日本図書センター復刻版) 1 久保栄 「演劇雑誌の編輯に就いて」 2 飯田豊二 「希望社の出版事業概観」 3 丸山岩吉 「哲学・宗教・教育図書の出版」 4 神田豊平 「赤本・浅草本漫話」 1…
『綜合ヂャーナリズム講座』第三巻には平林初之輔「ヂャーナリズムと文学」、森下雨村「雑誌編輯の要諦」、大宅壮一「現代作家総批判」、斎藤精輔「辞書の編纂と出版に就て」といった著名な寄稿者と興味深い論考も見えているが、今回はテーマと内容から、次…
『綜合ヂャーナリズム講座』第二巻からも、次の三編を抽出、紹介してみよう。 (日本図書センター復刻版) 1 広津和郎 「新潮論」 2 〃 「中小出版社の悩み」 3 村田勇治 「通信販売とは何か」(出版物通信販売の研究) 1と 2 の広津が作家であるばかりでな…
続けて内外社にふれてきた。その『綜合ヂャーナリズム講座』は全巻にわたって、「ヂャーナリズム総論」「新聞ヂャーナリズム」「雑誌ヂャーナリズム」「出版ヂャーナリズム」を柱とする構成を採用し、近代出版史を考える上でも見逃せない論考が多く寄せられ…
前回、内外社の出版物に関して、取り上げられなかったシリーズがあるので、それも挙げておきたい。それは「国際最鋭文学叢書」で、これま同様に取り上げられていないように思われるからだ。まずはラインナップを示す。 1 イリヤ・エレンブルグ、高田保訳 『…
17年1月の書籍雑誌の推定販売金額は963億円で、前年比7.3%減。 書籍は508億円で、同6.0%減、雑誌は455億円で、同8.7%減。 雑誌内訳は月刊誌が353億円で、同11. 2%減、週刊誌は101億円で、同1.4%増。 前者の大幅マイナスは、集英社のジャンプコミックス…
本連載632の新潮社の『社会問題講座』の成功はひとつの出版社を誕生させ、同じような講座をも生み出すに至る。その出版社は内外社で、刊行されたのは『綜合ヂャーナリズム講座』全十二巻である。この編輯健発行人は第一巻から十巻までが橘篤郎、第十一、…
前回の大杉栄訳『種の起原』のことで、大正十二年に刊行された彼の『自叙伝』(『大杉栄全集』第十二巻所収、現代思潮社)を再読してみた。すると中学時代の回想として、『進化論講話』との出会いが語られていた。 (講談社学術文庫版) 丘博士の『進化論講話…
前回の参照資料として、『新潮社四十年』所収の佐藤義亮「出版おもひ出話」を読んでいたら、『社会問題講座』のところに「大杉栄氏へ絶交状」という一章が置かれていた。これもかつて読んでいたはずなので、すっかり忘れていたことになる。大杉栄は新潮社か…
新潮社は円本の『世界文学全集』に先駆けて、大正十五年に『社会問題講座』全十三巻の刊行を始めている。『新潮社七十年』の中で、「これは予約物としては、円本の現われるまで、最大成功の記録保持者だった」と語られている。つまり大成功を収めたと述べら…
勝野金政の『赤露脱出記』は日本評論社から昭和九年に刊行されているが、美作太郎は治安維持法違反で捕われ、獄中にあったので、『戦前戦中を歩む』の中ではまったくふれられていない。 勝野は「ソヴエト露国を去るまで」という言葉を添えた「序にかへて」で…
前回飯島正の訳書として『ソビエトロシアの映画』を挙げておいてが、これは本連載215でふれた往来社の「映画科学研究叢書」の一冊である。それをリストアップしてみる。第一編から第十二編の刊行となっているけれど、アラビア数字に代える。 1 ヴエ・プド…
前回の『シナリオ文学全集』の編輯者の一人として飯島正の名前を挙げたこと、また本連載582で日本評論社からの『ムッソリーニ全集』の刊行を伝えたこともあり、ここでF・F・ニッチ著、飯島正訳『ムッソリィニ恐怖政治と牢獄脱走記』にふれてみたい。その…
本連載625の『神秘主義 象徴主義』の巻末広告に「河出書房予約刊行十種」として、次のようなタイトルが挙げられていた。河出書房も多くの出版社の例にもれず、全出版目録を刊行していないので、読者によっては初めて目にするシリーズもあるかもしれない。…