出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル

出版状況クロニクル44(2011年12月1日〜12月31日)

出版状況クロニクル44(2011年12月1日〜12月31日)今回はリードとして、少し長くなってしまうが、以下の一文を掲載する。本クロニクルの読者であれば、これがその要約であるとただちにわかるだろう。ただこれは『東京新聞(中日新聞)』(12/11)の「出版こ…

出版状況クロニクル43(2011年11月1日〜11月30日)

出版状況クロニクル43(2011年11月1日〜11月30日)10月までの出版物売上推移から判断すると、今年の出版物販売金額は1兆8000億円前後と推定される。ピーク時の1996年は2兆7000億円近くあったわけだから、9000億円という巨額なマイナスとなる。これを次のよう…

出版状況クロニクル42(2011年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル42(2011年10月1日〜10月31日)中小から大手に至る、書籍をメインとする大半の出版社が、かつてない大量返品によって、取次売上が激減している。これが一過性のものであるのか、それとも数ヵ月続くのか、またその果てに何が起きるのか、ま…

出版状況クロニクル41(2011年9月1日〜9月30日)

出版状況クロニクル41(2011年9月1日〜9月30日)東日本大震災に続く、かつてない台風の被害に伴い、「深層崩壊」というタームが語られるようになってきている。これはあらためていうまでもないかもしれないが、台風による山崩れや崖崩れにおいて、滑り面が深…

出版状況クロニクル40(2011年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル40(2011年8月1日〜8月31日)「重厚長大 昭和のビッグプロジェクトシリーズ」(ジュネオンエンタテインメント)というDVDがある。これは東京タワー、佐久間ダム、名神高速道路、青函トンネルなどの工事過程を映像に収めたアーカイブで、戦…

出版状況クロニクル39(2011年7月1日〜7月31日)

出版状況クロニクル39(2011年7月1日〜7月31日)私は10年以上にわたって、東北のある地酒を好み、それだけをずっと飲んできた。しかしその地酒は東日本大震災もあって、品薄になっているようだ。しばらく入手できない時期も生じていた。それに関連して想起さ…

出版状況クロニクル38(2011年6月1日〜6月30日)

出版状況クロニクル38(2011年6月1日〜6月30日)2010年の日本の自殺者数は3万1690人で、13年連続で3万人を超えている。それは小さな市や町の人口に相当する。だから日本社会は東日本大震災によって、現実的にも多くの市町村が失われてしまったことに加え、…

出版状況クロニクル37(2011年5月1日〜5月31日)

出版状況クロニクル37(2011年5月1日〜5月31日)若かりし頃は自分がこのようなクロニクルを書くことになるとは夢にも思っていなかった。しかし思いもかけずに出版状況論を書くことになり、いつの間にか10年以上が過ぎてしまった。そして仲間内で最も若か…

出版状況クロニクル36(2011年4月1日〜4月30日)

出版状況クロニクル36(2011年4月1日〜4月30日)日本ショッピングセンター協会によれば、3月売上高は前年同月比12.2%減で、そのうちの東北地方は30.8%減、関東地方は21.9%減となっている。全国で3000近くに及ぶその過半数が郊外ショッピングセンターであり…

出版状況クロニクル35 (2011年3月1日〜3月31日)

出版状況クロニクル35(2011年3月1日〜3月31日)東日本大震災のもたらした恐るべき被害と衝撃に対して、発する言葉が見つからない。平和な風景を一瞬にして廃墟へと追いやった津波、その直前まで生命を失うことを予測もしていなかった多数の死者たち、それ…

出版状況クロニクル34 (2011年2月1日〜2月28日)

出版状況クロニクル34 (2011年2月1日〜2月28日)年末に忘年会を兼ねて、知多半島の先にある島に出かけた。その島の周囲は6キロ、人口は2000人余、沿岸漁業が中心で、新鮮な魚介料理を味わうことができる。私はこの島を好み、四度目の訪れになる。夕食後に…

出版状況クロニクル33 (2011年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル33 (2011年1月1日〜1月31日) 21世紀初頭のコミックシーンにおいて、最も健闘してきたのは『コミックビーム』を有するエンターブレインではあるまいか。そのオリジナルにして多様なコミックの追求と実験的試行は、全出版シーンにあって…

出版状況クロニクル32 (2010年12月1日〜12月31日)

出版状況クロニクル32 (2010年12月1日〜12月31日) 日本だけで起きている特異な出版危機について、再販委託制に基づく近代出版流通システムの限界と破綻をずっと指摘してきた。しかし96年に比べて、3分の1近い出版売上高の消滅という異常なまでの凋落は、…

出版状況クロニクル31 (2010年11月1日〜11月30日)

出版状況クロニクル31 (2010年11月1日〜11月30日) ブックオフで、ヘーゲルの『精神現象学』(樫山欽四郎訳、平凡社ライブラリー)上下巻が各100円で売られていた。『精神現象学』を読む試みには何度も挫折し、この訳は河出書房版でも持っているので、入手…

出版状況クロニクル30(2010年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル30(2010年10月1日〜10月31日) 今年は例年になく、各地に出かける機会が多かった。そして今さらながらに、21世紀に入っての巨大な郊外ショッピングセンターの出現によって、ただでさえ衰退していた地方の商店街が壊滅的な打撃を受け、と…

出版状況クロニクル29(2010年9月1日〜9月30日)

出版状況クロニクル29(2010年9月1日〜9月30日)『出版状況クロニクル2』 が刊行され、3ヵ月になるが、例によって書評はひとつも出ない。再販委託制問題に加えて、本クロニクルが大手新聞や総合誌などを批判していることも作用しているのだろう。 それでも…

出版状況クロニクル28(2010年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル28(2010年8月1日〜8月31日)記録的な今年の猛暑の中での7月売上高が公表されつつある。 スーパーは前年比1.2%減、百貨店も同1.4%減、コンビニは猛暑による飲料やアイスクリーム需要が伸び、14ヵ月ぶりにプラスとなる0.5%増だった。 それ…

出版状況クロニクル27(2010年7月1日〜7月31日)

出版状況クロニクル27(2010年7月1日〜7月31日) まだ幸いにして大きな倒産は起きていないが、出版社、書店、古本屋の売上は ほぼ最悪の状態になっている。 創業・開店以来、最悪だといういくつもの声すらも聞こえてくる。もちろんそれは取次も例外ではない…

出版状況クロニクル26(2010年6月1日〜6月30日)

出版状況クロニクル26(2010年6月1日〜6月30日) この数ヵ月で近隣の書店が2店続けて閉店した。1店は地場の書店、もう1店は地方チェーン店で、両者とも郊外店ラッシュの80年代に開店している。大型店でない80年代型郊外店の時代が終わりつつあるのだろう。 …

出版状況クロニクル25(2010年5月1日〜5月31日)

出版状況クロニクル25(2010年5月1日〜5月31日) 今月の出版業界に関する報道はあきれるほどiPadと電子書籍問題一色に染められ、それはまだ続いていくのだろう。 だが本クロニクル24でも書いておいたように、これらの報道は現在の出版業界の危機の本質を隠蔽…

出版状況クロニクル24(2010年3月26日〜4月30日)

出版状況クロニクル24 (2010年3月26日〜4月30日) 今回から本クロニクルが本ブログ【出版・読書メモランダム】に移行するにあたって、月末締め、1日更新とあらため、タイムラグが生じないようにした。 本クロニクルの移行によって、8ヵ月続けてきた【出版・読…

出版状況クロニクル 23 (2010年2月26日〜3月25日)

出版状況クロニクル 23 (2010年2月26日〜3月25日) 本クロニクル21で、新潟の老舗書店北光社の閉店を記しておいたが、『朝日新聞』(3月1日)の「朝日歌壇」に山田昭義という人の次のような一首が掲載された。 北光社書店の今日を限りの閉店を惜しみて客はレ…