出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

出版状況クロニクル

出版状況クロニクル74(2014年6月1日〜6月30日)

出版状況クロニクル74(2014年6月1日〜6月30日)5月の出版物推定販売金額は1125億円で、前年同月比5.0%減である。その内訳は書籍が同6.0%減、雑誌は同4.2%減である。雑誌のうちの月刊誌は同1.5%減だが、これはコミックス『NARUTO』 『暗殺教室』 『黒子…

出版状況クロニクル73(2014年5月1日〜5月31日)

出版状況クロニクル73(2014年5月1日〜5月31日)4月の出版物推定販売金額は1339億円で、前年同月比6.5%減となり、近年の最大の落ちこみである。その内訳は書籍が7.7%減、雑誌が5.4%減、雑誌のうちの月刊誌が4.1%減、週刊誌は10.1%減で、返品率は書籍が3…

出版状況クロニクル72(2014年4月1日〜4月30日)

出版状況クロニクル72(2014年4月1日〜4月30日) 前回、3月は学参期で、書店売上は最も伸びる月であるけれど、マイナスが続いているために、出版物推定販売金額の2000億円割れは必至ではないかと記しておいた。それは適中し、13年の2059億円に対し、前年比5.…

出版状況クロニクル71(2014年3月1日〜3月31日)

出版状況クロニクル71(2014年3月1日〜3月31日)2月の出版物推定販売金額は1530億円で、前年比3.6%減、その内訳は書籍が810億円で同2.8%減、雑誌が720億円で同4.4%減。 返品率は1月よりは低くはなっているが、やはり前年を上回り、書籍は33.7%、雑誌は37.…

出版状況クロニクル70(2014年2月1日〜2月28日)

出版状況クロニクル70(2014年2月1日〜2月28日)1月の出版物推定販売金額は1082億円で、前年比5.5%減、その内訳は書籍が533億円で同3.6%減、雑誌が549億円で7.2%減となっている。雑誌のうちの月刊誌は418億円で、同5.7%減、週刊誌は131億円で同11.9%減. 14年…

出版状況クロニクル69(2014年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル69(2014年1月1日〜1月31日)本クロニクルにおいて、危機の中にある出版業界を、社会要因と構造から限界集落にたとえ、そこで起きている現象を出版敗戦ともよんできた。そして今年はその不可避の帰結として、出版業界のあからさまな解体が…

出版状況クロニクル68(2013年12月1日〜12月31日)

出版状況クロニクル68(2013年12月1日〜12月31日)13年は大きな事件は起きなかったにしても、出版業界は正念場を迎え、14年はあからさまな解体の時期として顕在化してくるであろう。出版危機は本クロニクルで既述してきたように、日本特有の出版業界の歴史と…

出版状況クロニクル67(2013年11月1日〜11月30日)

出版状況クロニクル67(2013年11月1日〜11月30日)11月半ばの新聞に、セブン&アイ・ホールディングスの見開き2ページ広告がうたれ、その右側1ページに「セブン‐イレブン創業40周年記念 国内売上高3.5兆円。国内15,800店舗。」という文字と数字が掲載されてい…

出版状況クロニクル66(2013年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル66(2013年10月1日〜10月31日)『週刊東洋経済』(10/12)が「今、始めなきゃ!就活」特集で、「業界最新天気図一覧」を掲載している。その中で出版業界だけが最低ランクの「大雨」で、そこからの脱出の可能性はまったくないとされ、「市…

出版状況クロニクル65(2013年9月1日〜9月30日)

出版状況クロニクル65(2013年9月1日〜9月30日)消費税増税が決定となった。それによって、14年4月8%、15年10月10%と続いていくことになるだろう。日書連などは出版物に対する軽減税率の適用を求めているが、新聞と同様に適用されるはずもない。その事情と理…

出版状況クロニクル64 (2013年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル64(2013年8月1日〜8月31日) 所用があって水戸へ出かけたので、帰りに土浦で降りた。土浦は30年ぶりだったが、その駅前周辺の変貌に驚いてしまった。それほど詳しいわけではないけれど、地場も含む百貨店、スーパーが撤退し、かつての面…

出版状況クロニクル63(2013年7月1日〜7月31日)

出版状況クロニクル63(2013年7月1日〜7月31日)旧知の読者から連絡が入り、様々な情報を伝えてくれたのだが、それには本クロニクルを続け、最後まで見届けてほしいとの依頼も含まれていた。 彼は大手取次経験者なので、取次関係に限定して要約してみる。取…

出版状況クロニクル62(2013年6月1日〜6月30日)

出版状況クロニクル62(2013年6月1日〜6月30日)ヤマダ電機の13年度の売上高は1兆7014億円で、これは12年の出版物売上高1兆7398億円とほとんど同じであることを示している。このヤマダ電機の他に、エディオン、ケーズ、ヨドバシカメラを加えた家電量販店4社…

出版状況クロニクル61(2013年5月1日〜5月31日)

出版状況クロニクル61(2013年5月1日〜5月31日) 今月インタビューした『裏窓』の元編集長飯田豊一から、大衆演劇に関する教示を得た。そこで早速調べてみると、焼津の黒潮温泉で常に観劇できることがわかり、出かけることにした。5月公演は劇団新で、昼の部…

出版状況クロニクル60(2013年4月1日〜4月30日)

出版状況クロニクル60(2013年4月1日〜4月30日)イオンがダイエーを子会社化すると発表された。ダイエーが創業以来、初の経営赤字に陥ったのは1998年で、2001年創業者の中内㓛が退任し、02年産業再生法の適用認定を受け、04年産業再生法の支援、07年丸紅、イ…

出版状況クロニクル59(2013年3月1日〜3月31日)

出版状況クロニクル59(2013年3月1日〜3月31日)アダム・スミスは『国富論』第一編において、次のようなことを述べている。労働生産力を向上させた機械の発明や改善は哲学者、もしくは思索家によってなされたのであり、社会の進歩につれて、哲学や思索は他の…

出版状況クロニクル58(2013年2月1日〜2月28日)

出版状況クロニクル58(2013年2月1日〜2月28日) BS朝日で、「世界で最も美しい書店」(2/23)を放映した。それは次の4ヵ国の書店の紹介である。 * オランダの「セレクシス・ドミニカネン」/13世紀のゴシック教会建築を利用した書店。 * アメリカの「バー…

出版状況クロニクル57(2013年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル57(2013年1月1日〜1月31日)『週刊ダイヤモンド』(1/26)が新年早々から、特集「倒産危険度ランキング」を組んでいる。それは近年の大企業の崩壊と凋落、中堅・中小企業の劣化の二つの視点を通じ、その倒産リスクと危機の内実を浮かび上…

出版状況クロニクル56(2012年12月1日〜12月31日)

出版状況クロニクル56(2012年12月1日〜12月31日)2012年の本クロニクルを通じて、出版業界にとって正念場の年ではないかと記してきた。それと連動するように、出版物売上高は落ちこむ一方で、これまでよりもさらに深刻な危機的状況へと追いやられている。そ…

出版状況クロニクル55(2012年11月1日〜11月30日)

出版状況クロニクル55(2012年11月1日〜11月30日)出版社・取次・書店という近代出版流通システムがスタートしたのは明治20年代、すなわち1890年前後であり、その歴史はすでに120年余に及んでいることになる。しかもそれが未曾有の危機に追いやられているこ…

出版状況クロニクル54(2012年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル54(2012年10月1日〜10月31日)先月ふれられなかったのだが、『週刊東洋経済』(9/8)が「『貧食』の時代」という特集を組んでいた。 サブタイトルは「壊れるニッポンの『食』」で、そのリードは次のようなものだ。 買物が困難になり、新…

出版状況クロニクル53(2012年9月1日〜9月30日)

出版状況クロニクル53(2012年9月1日〜9月30日)先月三島の北山書店の閉店と半額セールにふれたが、今月もう一度訪れることができた。かなり売れているようで、山積みになっていた在庫も明らかに減り、これまで目にする機会がなかった棚も見え、ずっと探して…

出版状況クロニクル52(2012年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル52(2012年8月1日〜8月31日)『出版状況クロニクル3』において、10年に日本古書通信社から刊行された『古本屋名簿』を紹介しておいた。これは全国の2000余の古本屋を紹介した最新の情報を収録している。 そこにも収録されている三島の北…

出版状況クロニクル51(2012年7月1日〜7月31日)

出版状況クロニクル51(2012年7月1日〜7月31日)私は日常の習慣として、午前11時頃スーパーなどに買物に出かけている。たまたまその日は用事ができて行けなかったのだが、まさに同日同時刻に高齢者の運転する車が駐車場から猛スピードで同じスーパーに突っ込…

出版状況クロニクル50(2012年6月1日〜6月30日)

出版状況クロニクル50(2012年6月1日〜6月30日)今年もすでに半年が過ぎた。 出版危機は相変わらず深刻化する一方であるが、表面的には大きな倒産は起きていない。いわば擬似的な凪の状態に置かれているといっていい。しかしそれが嵐の前の静けさという不気…

出版状況クロニクル49(2012年5月1日〜5月31日)

出版状況クロニクル49(2012年5月1日〜5月31日)最近になって、地域の老舗である事務用品、文房具店が自己破産した。町の商店街は実質的に解体されて久しいが、それでもずっと同じ外観のままで残っていた数少ない店舗のひとつだった。ここは小中高などの学校…

出版状況クロニクル48(2012年4月1日〜4月30日)

出版状況クロニクル48(2012年4月1日〜4月30日)先月 記したように、山下耕作の『総長賭博』を40年ぶりに映画館で観たこともあって、続けて同じく東映仁侠映画の名作、加藤泰の『明治侠客伝 三代目襲名』や『緋牡丹博徒 お竜参上』なども、DVDで観てしまった…

出版状況クロニクル47(2012年3月1日〜3月31日)

出版状況クロニクル47(2012年3月1日〜3月31日)昨年の暮れに、映画館で40年ぶりに山下耕作監督の『総長賭博』を観て、様々に思い出されることがあり、10本ほどの一連の雑文を書いてしまった。ちなみに補足しておけば、この鶴田浩二主演の『総長賭博』は1960…

出版状況クロニクル46(2012年2月1日〜2月29日)

出版状況クロニクル46(2012年2月1日〜2月29日) 出版業界は失われた15年を通じて、一万店を超える書店を始めとして、多くの出版社やいくつもの取次も失い、8500億円に及ぶ出版物販売金額のマイナスを見てしまった。しかしこれは本クロニクルで繰り返し言及…

出版状況クロニクル45(2012年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル45(2012年1月1日〜1月31日)今年は出版業界にとって、本当に正念場の一年だと思われる。書店の年末年始の売上も低迷し、総じて10%近いマイナスだったと伝えられている。取次調査によれば、日販は8.8%減、トーハンは7.4%g減で、2012年の困…