2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
エロシェンコの人脈の中にはエスペラントや社会主義運動関係者以外にも親しい人たちがいて、高杉一郎は『夜あけ前の歌』において、「あたらしい友だち」という章を設け、大正九年に東京大学に入学した正木ひろしや福岡誠一の名前を挙げている。(『夜あけ前…
魯迅とエロシェンコの関係もあって、藤井省三の『東京外語支那語部』(朝日選書、平成四年)も読み、文求堂が東京外語グループによる『現代中華国語文読本』『支那現代短篇小説集』『魯迅創作選集』を刊行し、教科書革新運動と魯迅の紹介を担ったことを教え…
本探索1308、1309、1310と続けて魯迅にふれたので、ここでエロシェンコとの関係にも言及しておくべきだろう。魯迅の『吶喊』は北京の文芸クラブ新潮社の「文芸叢書」第三巻として刊行されたのだが、その第二巻は魯迅訳によるエロシェンコの『桃色の雲』であ…
前回の昭和十年代の東洋、支那、アジアという出版のコンセプトからただちに想起されるのは、吉本隆明の「〈アジア的〉ということ」(『ドキュメント吉本隆明』1、弓立社、平成十四年)である。その「序」にあたる「『アジア的』ということ」で、吉本はヘー…
続けて日本評論社「東洋思想叢書」や大東出版社『支那文化史大系』にふれてきたが、昭和十年代に入ると、東洋、支那、アジアにまつわる企画が多く出されるようになり、それらは単行本にしても、シリーズ物にしても、かなりの量に及んだと推測される。 (「東…
前回、大東出版社「東亜文化叢書」を挙げたが、その後、浜松の典昭堂で同社の『支那文化史大系』の一冊を入手している。これは菊判函入の学術書的装幀と造本で、巻末広告によれば、全十二巻とある。そのラインナップを示す。 1 呂思勉 小口五郎訳 『支那民族…
日本評論社の「東洋思想叢書」は企画編集者の赤木健介によれば、当初全八十三冊の予定だったとされる。ただこの「叢書」は『全集叢書総覧新訂版』にも記載されていないので、赤木が挙げている長与善郎『韓非子』を入手して確認してみると、「刊行予定書目」…
藤井省三『魯迅「故郷」の読書史』では近代中国における「故郷」の読書変遷史がたどられているのだが、日本での魯迅の受容とそのプロセスはどのようなものであったのだろうか。 それは前々回、竹内好訳『魯迅文集』第一巻所収の「故郷」をテキストとしたこと…
藤井省三は『魯迅「故郷」の読書史』において、「近代中国の文学空間」というサブタイトルを付しているように、「故郷」をコアとする国家イデオロギーのパラダイムの変容、つまり「近代中国文学の生産・流通・消費・再生産の物語」を描き出そうと試みている…
前回、エロシェンコの帰郷にふれて、魯迅の「故郷」を挙げたこともあり、この作品にも言及してみよう。それは『エロシェンコの都市物語』を著した藤井省三の『魯迅「故郷」の読書史―近代中国の文学空間』(創文社、平成九年)も合わせて読み、とても触発され…
22年7月の書籍雑誌推定販売金額は745億円で、前年比9.1%減。 書籍は397億円で、同6.9%減。 雑誌は348億円で、同11.5%減。 雑誌の内訳は月刊誌が284億円で、同13.4%減、週刊誌は63億円で、同2.4%減。 返品率は書籍が41.8%、雑誌は43.8%で、月刊誌は44.1%、週…