出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

古本夜話1112 佐村八郎『国書解題』、岩波書店『国書総目録』、梅徳

本探索1107、1108で続けて『古事類苑』と『群書類従』をたどってきたので、これは戦後の出版ではあるけれど、『国書総目録』にもふれてみたい。実は拙稿「浜松の泰光堂書店の閉店」(『古本屋散策』所収)で既述しているように、二十年ほど前のことになるが…

古本夜話1111 穂積陳重『法窓夜話』と有斐閣

前回の田口卯吉『日本開化小史』の文庫化を確認するために、『岩波文庫解説総目録(上)』を繰ったところ、その下に続けて穂積陳重『法窓夜話』全2冊が掲載されていた。実は浜松の典昭堂で田口の『支那開化小史』と一緒に買い求めてきたのが、この原本に他な…

古本夜話1110 田口卯吉『支那開化小史』と塩島仁吉

前々回に田口卯吉と経済雑誌社の名前を挙げておいたが、田口の『支那開化小史』を入手しているので、この一冊も取り上げておこう。同書は『日本開化小史』(岩波文庫)と異なり、文庫化されていないが、中扉、奥付などから判断すると、明治十六年から二十一…

古本夜話1109 松本清張『Dの複合』と重松明久『浦島子伝』

『群書類従』に関して、もう一編書いておきたい。それはその第九輯に収録された「浦嶋子伝」をめぐってである。そういえば、『近代出版史探索Ⅴ』979でふれた大江匡房の「傀儡子記」なども同輯に見出せるし、確認に至っていないけれど、多くの古典籍に出典は…

古本夜話1108『群書類従』の近代出版史

『古事類苑』を取り上げたからには、その範ともなった『群書類従』にも言及すべきだろうし、実は前者と異なり、後者は架蔵してもいるからだ。この江戸時代の盲人塙保己一によって編まれた日本で初めての百科事典は文芸叢書の成立と出版事業に関しては、紀田…

古本夜話1107『古事類苑』の流通と販売

近代の先駆的公共出版にして古典籍刊行の試みともいうべき『古事類苑』のタイトルをずっと挙げてきたけれど、実は端本すらも所持していない。それもあって『古事類苑』を取り上げることはためらっていた。しかし私の利用している公共図書館には「赤松則良文…

古本夜話1106 吉川弘文館と『和漢三才図会』

本探索1075の『日本随筆大成』別巻の『和漢三才図会』は入手していないと記しておいたが、その後やはり浜松の時代舎で明治時代に刊行された一巻本を見出し、買い求めてきたので書いておこう。(『日本随筆大成』) 現在であれば、『和漢三才図会』は平凡社の…

古本夜話1105 郁文舎と内藤耻叟、三輪文次郎『一覧博識漢学速成』

前々回、『古事類苑』に端を発して、古典籍などに関する出版人脈が形成されていったのではないかと述べたが、流通や販売のみならず、それは印刷業界の人々も含んでだったと推測される。そのことを立証する一冊を入手したので、やはりここで書いておきたい。 …

古本夜話1104 金谷真『川面凡児先生伝』

ここで間奏的一編を挿入しておこう。 前回、『神道辞典』から今泉定介(助)の立項を引いたところ、大正十年頃に川面凡児の大寒禊の行事に挺身参加した後、「皇道」の宣布に東奔西走するとの記述が見出された。さらに『同辞典』で川面凡児を繰ってみると、神…

古本夜話1103 今泉定介と「増訂故実叢書」

前回、国書刊行会は吉川弘文館顧問の今泉定介が市島謙吉と計らって設立し、その第二期以後は早川純三郎が編集長として引き継いだこと、また国書刊行会の第一期事業の成功が大正時代の予約出版の範となり、様々な刊行会や出版社が立ち上げられ、それが昭和円…

出版状況クロニクル152(2020年12月1日~12月31日)

20年11月の書籍雑誌推定販売金額は949億円で、前年比5.6%減。 書籍は489億円で、同9.1%減。 雑誌は460億円で、同1.7%減。 その内訳は月刊誌が386億円で、同2.1%減、週刊誌は74億円で、同0.5%増。 返品率は書籍が34.3%、雑誌は38.9%で、月刊誌は37.9%、週刊誌…