小田光雄亡き後も続けてきたブログ「出版・読書メモランダム」もついに終わりの時を迎えました。
2009年から16年間、「古本夜話」と「出版状況クロニクル」の二つの柱を中心に、没後も番外編、同人誌編、さらには第一冊目の著書『消費される書物 西村寿行と大衆文学の世界』の紹介も付け加えて続けてきましたが、ここに長い旅路を終えます。
「出版メモ」から始まり、「消費社会をめぐって」「ゾラからハードボイルドへ」「謎の作者佐藤吉郎と『黒流』」「ブルーコミックス論」「戦後社会状況論」など様々なジャンルを横断しながら、書き続けてきました。
それらの大半は『近代出版史探索外伝』に収録され、「間奏曲のような趣」の「愛着のある論稿」であると本人も「あとがき」で述べておりました。
このたび70冊目の著書として、論創社ホームページに連載されたコラム「本を読む」を単行本化した『近代出版史探索外伝Ⅱ』が4月末に刊行となりました。
最後までお骨折りいただいた論創社さま、また支えて下さった多くの方々に感謝申し上げます。
小田光雄は静岡県西部の地方都市の二十数軒ほどの農村集落に生まれ、大学での在京期間を除き、七十年近くをそこで暮らしてきました。
小田の著書ではめずらしく「本を読む」のタイトルどおり、少年期の農村の駄菓子屋兼貸本屋、町の商店街の貸本屋や書店、隣市の古本屋、そして中高生時代の学校図書室での読書体験などがふんだんに織りこまれています。
未発表原稿も10編ほど加えておりますので、お手に取っていただければ幸いです。
ronso.co.jp
小田光雄が愛してやまなかった絵画を表紙に配しています。
小田光雄の生きた証としてご覧いただければ幸いです。
月刊『日本古書通信』に連載中の「古本屋散策」は、ご好意により8月号まで掲載が続きます。
また「日本の古本屋メールマガジン5月26日号」の〈自著を語る〉にも『近代出版史探索外伝Ⅱ』の紹介が掲載されますので、こちらも合わせてお読みいただければ幸甚に存じます。
書店員、店長、書店経営を経て、出版社パピルス代表として数々の翻訳書を刊行できましたし、「売れない物書きになりたい」という中学生時代の夢もかなった人生でした。
『古本屋散策』が鹿島茂氏のご選考によって「第29回 Bunkamuraドゥマゴ文学賞」を受賞したことは何よりのご褒美となり、大きな喜びだっただろうと思います。
www.bunkamura.co.jp
最後になりましたが、73年の生涯に70冊もの著書を刊行できたのは、たくさんの方々のご支援があってのことと深く感謝いたします。
次回【付録】として小田光雄の全70冊(+共著2冊)の著書一覧とその書影、次々回に年譜とパピルス刊行物一覧を掲載します。
よろしかったらご覧くださいませ。
今日までブログをご愛読いただき、まことにありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
小田啓子
