出版・読書メモランダム

出版と近代出版文化史をめぐるブログ

書評 の検索結果:

古本夜話355 ルドルフ・ロッカー、新井松太郎、麻生義

…対する丸山真男の長文書評「麻生義輝『近世日本哲学史』(昭和十七年)を読む」(『戦中と戦後の間』所収、みすず書房)に目と通すと、麻生の著作がクロポトキンの翻訳やロッカーの解説とはまったく異なる位相で展開されていることを教えられる。それは丸山が「本書は日本の啓蒙哲学の形式を学問的に取扱つた殆ど唯一のモノグラフィーとして永く学界に銘記さるべき労作」と述べていることからもうかがえる。『近世日本哲学史』は書肆心水から復刻も出ているようなので、いずれ読んでみたいと思う。 [関連リンク] …

出版状況クロニクル67(2013年11月1日〜11月30日)

出版状況クロニクル67(2013年11月1日〜11月30日)11月半ばの新聞に、セブン&アイ・ホールディングスの見開き2ページ広告がうたれ、その右側1ページに「セブン‐イレブン創業40周年記念 国内売上高3.5兆円。国内15,800店舗。」という文字と数字が掲載されていた。 それを見て、あらためてセブン‐イレブンのほうが書店数を上回ってしまったことを実感させられた。調べてみると、12年の書店数は1万4696店、セブン‐イレブンは1万5072店なので、店舗数の逆転はすでに昨年に…

出版状況クロニクル66(2013年10月1日〜10月31日)

出版状況クロニクル66(2013年10月1日〜10月31日)『週刊東洋経済』(10/12)が「今、始めなきゃ!就活」特集で、「業界最新天気図一覧」を掲載している。その中で出版業界だけが最低ランクの「大雨」で、そこからの脱出の可能性はまったくないとされ、「市場に構造的な不況要因があり、多くの企業が赤字や減益の状態」とコメントされている。いうなれば、これは出版業界の内側にある経済誌からの、就活対象とすべき業界ではないという宣告と考えるべきだろう。そのような出版危機を知らしめる、同…

出版状況クロニクル65(2013年9月1日〜9月30日)

…すず書房)についての書評的一編を書いている。そこでリースマンはよく知られているように、アメリカ人の社会的性格の推移を、伝統指向型、内部指向型、他人指向型に分類し、1950年代のアメリカ人はかつての伝統、内部指向型から他者を模倣する他人指向型へと移行しつつあると指摘した。あらためてそれを読みながら、この指摘は他ならぬ80年代以後の日本人にも当てはまるのではないかと思われた。そうして逆説的にいえば、ミリオンセラーに象徴される「孤独な読者」もそのようにしてもたらされたのだと] 7.…

出版状況クロニクル64 (2013年8月1日〜8月31日)

出版状況クロニクル64(2013年8月1日〜8月31日) 所用があって水戸へ出かけたので、帰りに土浦で降りた。土浦は30年ぶりだったが、その駅前周辺の変貌に驚いてしまった。それほど詳しいわけではないけれど、地場も含む百貨店、スーパーが撤退し、かつての面影がないほど街が変わってしまっていた。郊外消費社会の成立による、駅前商店街の衰退があからさまに露出しているように思われた。土浦で降りたのは3月末に開店した☆つちうら古書倶楽部☆に寄るためである。元はパチンコ屋だったことを示す外装…

出版状況クロニクル63(2013年7月1日〜7月31日)

出版状況クロニクル63(2013年7月1日〜7月31日)旧知の読者から連絡が入り、様々な情報を伝えてくれたのだが、それには本クロニクルを続け、最後まで見届けてほしいとの依頼も含まれていた。 彼は大手取次経験者なので、取次関係に限定して要約してみる。取次によっては実質的に債務超過に陥っているところがすでにあるのではないか、取次を必要としない電子書籍問題、雑誌の異常な返品率の改善は難しいし、ガソリン高による運賃値上げも迫っているし、消費税アップはただでさえ疲弊している出版業界を直…

出版状況クロニクル62(2013年6月1日〜6月30日)

…京新聞』(6/30)書評でもふれたのだが、重要な問題なので、書店や書籍推定販売部数も含めて表化してみる。データはアルメディア、出版科学研究所、『日本の図書館―統計と名簿』などによる。 ■書店数、図書館数、個人貸出総数と書籍販売部数 年書店数前年比較図書館数個人貸出総数 (万冊)書籍推定販売部数(万冊) 199922,296−2,58549,54679,186 200021,495▲8012,63952,35777,364 200120,939▲5562,68153,27074…

出版状況クロニクル61(2013年5月1日〜5月31日)

…こちらは別のところで書評予定] 19.「がんが消えた」などと未承認の薬の効能を本でうたったとして薬事法違反の罪に問われていた現代書林の許社長と編集者に無罪の判決。 [これは『出版状況クロニクル3』で書いておいたが、11年2月の事件である。事実上絶版になっている10年前の本がその対象となったもので、釈然としない逮捕にも至っているものだった。今回の無罪判決はそれを証明していよう] 20.リードにもその名前を記したが、『裏窓』の元編集長飯田豊一へのインタビュー『「奇譚クラブ」から「…

出版状況クロニクル60(2013年4月1日〜4月30日)

出版状況クロニクル60(2013年4月1日〜4月30日)イオンがダイエーを子会社化すると発表された。ダイエーが創業以来、初の経営赤字に陥ったのは1998年で、2001年創業者の中内㓛が退任し、02年産業再生法の適用認定を受け、04年産業再生法の支援、07年丸紅、イオンとの業務提携を経て、今回の事態を迎えたのである。60年代において、消費社会を出現させる過程で、最も過激なアジテーターにして革命家であった中内㓛のダイエーは、もはや消滅したと見なせるだろう。なぜこのことにふれたかと…

混住社会論16 菊地史彦『「幸せ」の戦後史』(トランスビュー、二〇一三年)

…ばかりの新刊の紹介と書評を兼ねた一編を挿入しておきたい。その新刊は菊地史彦の『「幸せ」の戦後史』である。彼はこの著作において、「私もまた昭和と平成を生きてきたひとつの社会現象」という認識のもとに、「自分の生きてきた時代」を描いている。その認識にしても時代にしても、菊地と私は同世代ゆえにバックヤードを共有しているし、『「幸せ」の戦後史』も「戦後社会状況論」に他ならないので、拙論との併走を確信しているからだ。しかも菊地は長年の友人で、元筑摩書房の編集者でもあり、またこれはまったく…

出版状況クロニクル59(2013年3月1日〜3月31日)

…れない。彼には拙著を書評してもらったこともあるし、山口のポートレートをあしらったその表紙カバーの原画は壁にかけてあり、亡くなった今でも、ポーやヴェルヌやボルヘスたちと図書館に並んでいる姿をすぐに目にすることができる。 しかし山口の死に際しても、出版状況がどうしても重なってくる。私たちが読み、影響を受けてきた戦後の著者たちを考えてみると、埴谷雄高や澁澤龍彦は全集に間に合ったけれど、江藤淳にしても吉本隆明にしも、もはや全集は出されないだろうし、それは山口も同様のように思われる。そ…

出版状況クロニクル58(2013年2月1日〜2月28日)

出版状況クロニクル58(2013年2月1日〜2月28日) BS朝日で、「世界で最も美しい書店」(2/23)を放映した。それは次の4ヵ国の書店の紹介である。 * オランダの「セレクシス・ドミニカネン」/13世紀のゴシック教会建築を利用した書店。 * アメリカの「バートズ・ブックス」/ロサンゼルス近郊のオーハイにある、パリのセーヌ河岸の古本屋にヒントを得た、屋外に在庫20万冊を並べる書店。そのために日没時間に閉店。 * ポルトガルの「レロ書店」/ポートワインで有名なポート市にある…

出版状況クロニクル57(2013年1月1日〜1月31日)

出版状況クロニクル57(2013年1月1日〜1月31日)『週刊ダイヤモンド』(1/26)が新年早々から、特集「倒産危険度ランキング」を組んでいる。それは近年の大企業の崩壊と凋落、中堅・中小企業の劣化の二つの視点を通じ、その倒産リスクと危機の内実を浮かび上がらせている。この特集の背後にあるのは、安倍政権の景気浮揚策だが、「その実態は倒産の先送り」でしかなく、むしろ倒産危機は高まっているという認識だ。とりわけ中小企業の金融円滑化法は3月で終了するし、それは危機がまったなしでやって…

出版状況クロニクル56(2012年12月1日〜12月31日)

…出版史において、必読の「回想」となっている。それはあの牧神社史でもあるからだ。同じ70年代の出版者のことゆえに、内藤三津子へのインタビュー『薔薇十字社とその軌跡』(近刊)とともに読まれることを願う] 14.「出版人に聞く」シリーズは12月に井出彰『書評紙と共に歩んだ五〇年』が出て、13年は内藤三津子『薔薇十字社とその軌跡』、古田一晴『名古屋とちくさ正文館』が続いていく。今年のうちに20本までのインタビューを実現できるといいのだが。 《既刊の「出版人に聞く」シリーズ》 《新刊》

出版状況クロニクル55(2012年11月1日〜11月30日)

…なことで、いくつかの書評を見ているが、私なりに関心を持った佐野の一文を引いておきたい。それは日本の出版業界の特殊性にもふれているからだ。 佐野は「書店員の年齢」と題する章で、現在の書店員がコンビニと同様に若い人ばかりになり、年齢限定といった環境になっていて、そのために多様で年齢も高い読者層への対応がなされず、棚づくりもできないようなひずみを生んでいると指摘している。そして佐野は書店と書店員の原則について述べている。 「書店員は読者の年齢層に対応する年齢層を擁して作業にあたらな…

古本夜話252 芦谷芦村、日本童話協会、『模範実演童話』

…代』(日本国際児童図書評議会、1991年)がピクチャレスクにして横断的に網羅する一冊となっている。それらの雑誌の中にあって、大正十一年に児童文学に関する初めての研究誌『童話研究』が芦谷重常(芦村)を中心として、日本童話協会から刊行されている。幸いにして、日本童話協会は『日本児童文学大事典』に立項されているので、それを引いてみよう。 日本童話協会 にっぽんどうわきょうかい 団体。童話の学術的、本質的研究を目的をした団体。一九二二(大一一)年五月、神田神保町において「童話研究」の…

古本夜話248 佐々木孝丸訳『ファンニー・ヒル』と解説「十八世紀英京倫敦遊里考」

…『ファンニー・ヒル』書評が収録されていることから読んだのだが、丸谷才一編著『ロンドンで本を読む』(マガジンハウス、後光文社知恵の森文庫)の中で、丸谷がイギリスの書評ジャーナリズムに関して、「レーフ・グリフィスがクレランドの『ファニー・ヒル』の大当たりで得た金をつぎこんで『マンスリー・レヴュー』を出したころから」始まったと見ることも可能だと述べていた。この視点からすると、ポルノグラフィと書評紙の始まりも連鎖していることになるし、ポルノグラフィの刊行と隆盛、それがもたらす経済はま…

出版状況クロニクル54(2012年10月1日〜10月31日)

…人に聞く」シリーズ〈9〉の、図書新聞の井出彰の『書評紙と共に歩んで50年』は遅れてしまい、11月下旬刊行とずれこんでしまった。 なお同〈10〉の、内藤三津子の『薔薇十字社とその軌跡』は編集が終わった。何とか年内に出せるといいのだが。 このシリーズとは別に、八木書店の八木壮一にもインタビューしていて、こちらは『日本古書通信』11月号から3回にわたって同誌に掲載されることになっているので、よろしければ読まれんことを。 『日本古書通信』11月号) 《既刊の「出版人に聞く」シリーズ》

出版状況クロニクル53(2012年9月1日〜9月30日)

…、「本を選ぶには新聞書評は難しく、宣伝広告は一方的過ぎる。本屋大賞が現在の読者像にマッチングする」と分析している。 昨年の本屋大賞『謎解きはディナーのあとで』と同様に、『舟を編む』もブックオフにあふれる日がほどなくしてくるであろう] 4.取次の決算にもふれておく。太洋社の売上高は353億円で、9.2%減。7期連続減収、純損失5億円で2年連続の赤字。 [取引先書店の帳合変更による返品増もあり、最悪の決算とされているが、さらに問題なのは来期だと考えられる。来期の目標売上高は296…

出版状況クロニクル52(2012年8月1日〜8月31日)

…1977−2012』が編まれ、またブックファースト青葉台店で、8月20日から9月30日にかけて、それらを中心とする二宮追悼フェアも催されている。 こちらもぜひ出かけてほしい]『親密なる秘義―編集者二宮隆洋の仕事1977−2012』 13.「出版人に聞く」シリーズとして、薔薇十字社の内藤三津子へのインタビュー『薔薇十字社とその軌跡』(仮題)を終えた。〈9〉として、井出彰の『書評紙の戦後と現在』が9月下旬刊行予定。 《既刊の「出版人に聞く」シリーズ》 以下次号に続く。 Tweet

出版状況クロニクル51(2012年7月1日〜7月31日)

…回は著作権の二重、三重譲渡である。 これはかなり複雑なので、同記事のチャートなどを参照してほしい。だがこの問題はコミックにおける原作者と作画家、電子書籍化における著作権、コンテンツビジネスなどにもつながるもので、文化庁の登録制度の欠陥も含め、さらなる様々な波紋をもたらすと思われる] 16.「出版人に聞く」シリーズの図書新聞の井出彰へのインタビュー『書評紙の戦後と現在』の編集を終えた。9月中には刊行できるだろう。 《既刊の「出版人に聞く」シリーズ》 以下次号に続く。 Tweet

出版状況クロニクル48(2012年4月1日〜4月30日)

…刊行され、いくつもの書評を見ているが、私見によれば、これは60年代以後の出版史として読むことができる。 実は「出版人に聞く」シリーズとして、近いうちに『図書新聞』の井出彰へのインタビュー『書評紙の戦後と現在』を予定しているのだが、絓は井出の後の『日本読書新聞』編集長であり、そのようなアングルゆえに、このような出版史も描けることを実感した次第だ。そうしたアングルも含めて、井出ならではの戦後出版史もぜひ聞いてみたいと思う。 「出版人に聞く」シリーズの刊行がしばらく中断している。し…

出版状況クロニクル45(2012年1月1日〜1月31日)

…出されたこともあり、書評も多く出て、『新潮45』のような特集も組まれることで、現在の書店を語る上でのカノンとなりかねない危惧をも覚えているからだ。 まず何よりも石橋が書店業界のためというより、恣意的にしても私的レポートにすぎない自著を、『「本屋」は死なない』と題して刊行したことはあざとすぎると思う。彼は『新文化』の記者を経て編集長でもあったわけだから、今世紀に入ってからだけでも1万店に及ぶ書店が閉店に追いやられていった事実をよく承知のはずだ。つまり『北斗の拳』ではないが、「書…

出版状況クロニクル44(2011年12月1日〜12月31日)

…籍出版で読んだ上での書評というのも目にしていない。大半が売れないという結果に終わってしまったゆえなのだろうか] 11.けやき出版から津野海太郎の『図書館の電子化と無料原則』というブックレットが出された。これは「特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩」の第4回年次記念講演をまとめたもので、津野は講演時に理事、後に顧問に就任しているようだ。 [津野は同書において、次のような問題を提出している。 「図書館はなぜ無料なのか? 『売り買いの社会』にあって、なぜ図書館だけが公然と、商品と…

出版状況クロニクル41(2011年9月1日〜9月30日)

出版状況クロニクル41(2011年9月1日〜9月30日)東日本大震災に続く、かつてない台風の被害に伴い、「深層崩壊」というタームが語られるようになってきている。これはあらためていうまでもないかもしれないが、台風による山崩れや崖崩れにおいて、滑り面が深部で発生し、表土層だけでなく、深層の地盤までが崩れてしまう、規模の大きな崩壊現象を意味している。それは降水量が400ミリを超えると発生しやすいとされる。この「深層崩壊」というタームは台風災害のみならず、出版業界の現在にもそのまま当…

出版状況クロニクル39(2011年7月1日〜7月31日)

…ついては、「ナナ氏の書評」(『週刊現代』3/19)がすでに指摘し、私もそれに同感なので、引用しておく。 文章表現の稚拙さ、紙人形みたいにペラペラな人物造型、程度の低いユーモア、本格ミステリとしての作りの甘さは、いかんとも肯定しがたい。コナン・ドイルもアガサ・クリスティも知らない中高生読者が喜んで読むならまだしも、書店で働く社会人が、このように幼稚な“本格”ミステリを嬉々として本屋大賞候補作に推すとは。大丈夫なんですか、日本の書店は。絶句する他ありません。そして「ナナ氏」は「た…

古本夜話116 第一書房版『我が闘争』と小島輝正『春山行夫ノート』

…、『我が闘争』の短い書評を小林秀雄が『朝日新聞』に寄せ、ナチズムが「組織とか制度とかいふ様なものではないのだ。寧ろ燃え上がる欲望」で、その中核は「ヒツトラアという人物の憎悪にある」と書いているようだ。まさに『我が闘争』の「ゴヂツク活字体」はそのような「燃え上がる欲望」や「憎悪」を浮かび上がらせている。『我が闘争』だけでなく、本連載108「春山行夫と小谷部全一郎『日本及日本国民之起原』」で見たように、春山にはまだ知られていない様々な編集者としての役割があったと思われる。こちらも…

出版状況クロニクル37(2011年5月1日〜5月31日)

…わたる中川隆介による書評、『朝日新聞』(5/17)の「異議あり」の「電子書籍が出版文化を滅ぼす」という見出しの「著者インタビュー」などの他にも、多くの書評や紹介が出て、売れ行きを伸ばしていると考えられる。 [このような書評、紹介はまだ続くだろうし、同書が佐野眞一の『だれが「本」を殺すのか』と同様のカノンとしての出版論と見なされかねないので、ここで私も言及しておくことにする。 まずこれはタイトルからして羊頭狗肉で、サブタイトルの「電子書籍の罠」、もしくは帯文の惹句「電子書籍の“…

古本夜話101 コナン・ドイルと英国心霊研究協会

…ジの『レイモンド』の書評を『オブザーバー』に掲載して以来、探偵小説を書くことを放棄し、最も著名な心霊学研究者として、「心霊学関係の書物、心霊関係の記事、心霊学関係の論文以外のものは、あまり書いてはならない」と考えるに至ったのである。その一方で、この心霊研究協会は権威ある国際的な研究機関として認められ、英国人以外の著名な学者たちも会長に就任するようになっていた。当初は詩人、批評家のフレデリック・マイアーズ、ウィリアム・バーレット、歴史家、民俗学者アンドリュー・ラングが会長だった…

古本夜話93 八切止夫と日本シェル出版

…、五十年代になると、書評紙の広告欄に「無料本50冊謹呈」案内が掲載されるようになった。それが『庶民日本史事典』の巻末にも見つけられ、次のように書かれている。 只より安いものはありません荷造りと運賃のみです。大荷物ゆえ送先の電話番号附記して下さい。 在庫整理しませんと身の処置がつきませんので運送費値上りしてますが、23キロ段ボール一箱四、九八〇円(中略)の荷作運賃を当社へ御送金。定価では50冊で四万五千円ゆえ遠慮なさる向きもありますが知人図書館へ、何キロでも御下命下さい。(中略…