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…れているが、本格的な書評は出たのであろうか。 しかし戦後における春山へのまとまった唯一の言及である小島輝正の『春山行夫ノート 』(蜘蛛出版社)、及び第一書房と春山の関係に一章を割いている長谷川郁夫の『美酒と革嚢 』(河出書房新社)にしても、『ジョイス中心の文学運動』にはふれていない。だからこそ、すでに一世紀近く経ってしまっているが、ここであらためてその内容を紹介しておきたいと思う。 (『美酒と革嚢 』) だがこの浩瀚な一冊、エズラ・パウンドからヴァージニア・ウルフに至までの二…
…山薫や三好達治などの書評も出て、伊藤は北海道の中学教師から詩壇における詩人として認知され始めた。伊藤は『若い詩人の肖像』の中で書いている。この昭和の初期が自分にとって最も幸福な時で、数え年二十三歳の青年詩人として、詩集も多くの賞讃によって迎えられたと。 (日本図書センター復刻) それに加えて、伊藤は東京商大の入学試験も兼ね、百田を訪ねた。そして三好や丸山とも知り合い、昭和三年からは大学に通い始め、さらに百田を介して北川冬彦と出会い、梶井基次郎にも紹介される。二人は三好や淀野隆…
…する人、流通、書店、書評家などの横断的つながりで出来上るものだが、そのパーツすべてが傷んできている」が引かれている。 井出彰『書評紙と共に歩んだ五〇年』(「出版人に聞く」9)で語られているように、崙書房は『日本読書新聞』に在籍していた小林規一たちによって、1970年に立ち上げられている。 なお、地方・小出版流通センター設立時代のエピソードは、中村文孝『リブロが本屋であったころ』(同4)に詳しい。 11.『フリースタイル』44が恒例の「THE BEST MANGA 2020 こ…
…して鳥瞰を与えた」と書評され、増刷を重ねたようだ。それに続いて東京堂から昭和五年に『日本文化史概論』、同六年に『世界古代文化史』が出され、後者は手元にある。 (『世界古代文化史』) これは『東京堂の八十五年』がいうように、「人種、遺物、言語、工芸、土俗の諸方面の資料をふまえて、各地域の古代史を闡明した大著で、四六倍判六百頁、背革装、本文上質百斤、大判地図、三色版、コロタイプ、石版、単色版等、別刷八十葉、本文挿入三百八十図という、当時としてはめずらしい豪華版で、分冊普及版も刊行…
…の取次事業に参入することを表明したばかりでもあるからだ。 16.『股旅堂古書目録』22 が出た。 今回の「巻頭特集」は「或る愛書家秘蔵の地下室一挙大放出 ‼ 」で、書影も4ページ、64点に及び、昭和の時代の「地下本」の面影を伝えてくれる。 17.拙著『近代出版史探索』は鹿島茂による『毎日新聞』(12/22)書評が出され、12月7日の東京古書組合での講演「知るという病」は『図書新聞』に掲載予定。 また論創社HP「本を読む」㊼は「『アーサー・マッケン作品集成』と『夢の丘』」です。
… この前田は井出彰『書評紙と共に歩んだ五〇年』(「出版人に聞く」シリーズ9)に出てくる人物で、井出の『日本読書新聞』での同僚であった。それもあって、このインタビューは井出の回想の補足、その後の『日本読書新聞』人脈と出版史となっている。 前田によれば、鹿砦社は『日本読書新聞』の労働組合メンバーの天野洋一、高岡武志、大河内徹、前田の四人が関わり、1969年に中村丈夫編『マルクス主義軍事論』を刊行してから始まっている。 私も70年代に『左翼エス・エル戦闘史』や『マフノ叛乱軍史』を読…
…載されている。後者の書評は『民間伝承』の編集の中心にいた瀬川清子によるもので、「蜑女の神事信仰の民俗」「潜水労働に生きて来た一群の民俗はやがて他の生活群の民俗研究にも尊い示唆を与へるもの」と評している。(復刻版) これを読んで、後述する『海村生活の研究』において、瀬川が「海村婦人の労働」「蜑人の生活」「海辺聖地」「海上禁忌」「血の忌」という最多の五つの報告を提出していることがわかるように思われた。つまり瀬川の研究もまた岩田の『志摩の蜑女』と併走していたのだし、それゆえに「蜑人…
…や赤松の筆名で論文や書評を発表する。また『東洋古代史講話』(白揚社)や『民俗学』(三笠全書)も刊行し、後者で唯物史観に依拠し、歴史科学としての民俗学を力説し、民俗の階級制、差別、性の問題にふれない柳田民俗学を批判したとされる。 ちなみに『非常民の民俗境界』の中で、赤松は学術、民俗学関係雑誌の原稿料は絶無だったが、『唯物論研究』は一枚五十銭、『東洋古代史講話』は五十円、『民俗学』は百二十円の印税が支払われ、「正当な金儲け」の仕事で、「だいぶん助かった」と語っている。この証言は昭…
…ているし、まして新聞書評に至ってはいうまでもないことだろう。 12.またしても訃報が届いた。 それは木村彦次郎で、講談社の『群像』や『小説現代』の編集長を務め、退社後『文壇栄華物語』(筑摩書房)などを著わしている。 大村からは5月に手紙が届き、下咽頭癌で入院すると知らされていた。それから便りがなかったので、その後どうしているのかと気になっていたところに、訃報がもたらされたのだった。 彼からは何度も「浅酌」に誘われていたが、なかなか時間がとれず、またしても呑まずじまいに終わって…
…載し、『魔術の島』の書評を寄せ、「ヴードゥーの秘儀を伝授された初の白人」による貴重なルポルタージュと絶賛しているという。その「現地スナップ」は真島も転載しているので、そこにヴードゥーのイニシエーションのしるしである額に血の十字を記したシーブルックのポートレートを見ることができる。(『ドキュマン』) 『魔術の島』の仏訳版は入手していないが、原書の復刊 The Magic Island (Dover,2016)は手元にあり、何とその序文はジョージ・A・ロメロがしたためているのだ。…
…第一号)として紹介、書評が掲載される。 小林の書評は日本語がプシルスキーのいうところの「オーストロアジア言語」に所属するのかをめぐって、松本の方法論的手順に疑問を呈し、日本語の体系の概念の欠如を指摘している。それに対し、松本は「小林英夫氏に答ふ」(第四巻第二号)を書き、日本語の形式にオーストロアジア語の影響が大きいと述べたけれど、両言語の親族性を証明したとは記していないし、それらは人類学や考古学などによる二民族の接触を確認し、そこから両語彙を比較検討すべきで、「日本語の所属問…
…員たちの翻訳や論稿、書評が続いている。また「北方文明研究会の創立」「啓明会と南島研究」「おもろ草子の校訂刊行」などの告知、紹介記事も付され、それから「学友書信集」もあり、そこには「巴里(松本信広君)より『民族』同人へ」という便りの掲載もある。この信広君こそ、モースが山田に近況を訪ねた松本に他ならない。そこにはマルセル・グラネ、ペリオ、マスペロ、プシルスキイ、モースの消息や講義が語られ、本連載738のアンダーソンや、パリで日本学の代表であるエリセーエフと交流し、ロシア語を習って…
…著『古本屋散策』はまったく書評も紹介も出ないので、おそらく「忖度」により、『日本古書通信』(8月号)に樽見編集長との3ページ対談が掲載されます。 またこれは18年10月のシンポジウムの記録ですが、好評ということで、最近になって「CINRA.NET「郊外」から日本を考える 磯部涼×小田光雄が語る崩壊と転換の兆し」がネットにアップされました。若い人たちの試みなので、アクセスして頂ければ幸いです。 なお今月の論創社HP「本を読む」㊷は「紀田順一郎、平井呈一、岡松和夫『断弦』」です。
…20年連結売上高1兆5200億円、連結営業利益570億円と予測。 このような印刷業界の再編が出版業界にどのような影響や波紋をもたらしていくのか、それが今後の焦点であろう。 すでにDNPによって、出版社や書店などの再編が進められていったのは周知の事実であるからだ。 19.今月の論創社HP「本を読む」㊶は「種村季弘『吸血鬼幻想』」です。 同HPには拙著『古本屋散策』の最初の書評が「矢口英祐ナナメ読み」No12として掲載されています。 よろしければ、拙文ともどもアクセスして下さい。
…に勤務し、美術批評と書評を担当。 『社会と新聞』の美土路昌一は明治四十一年に東京朝日新聞社に入社し、社会部記者、後に上海、ニューヨーク特派員を務め、社会部長、調査部長を経て、昭和九年編集局長に就任。翌年から取締役として戦時下の朝日新聞社の経営や編集に重要な役割を果たした。 『地方自治の話』の前田多門は内務省を経て、ILO政府側委員としてジュネーブに駐在後、フランス大使館参事監などを務め、退官して、昭和三年に朝日新聞論説員となる。戦後は文相にも就任。 確かにこれらの錚々たるメン…
…れている。イギリスの書評紙に掲載されたパピニへのインタビューである。それを要約してみる。 彼は先述したように、第一次世界大戦に大きな影響を受けた。それはかつてない大量死を生じさせた近代戦争に他ならなかったし、クリストファー・クラークが『夢遊病者たち』(小原淳訳、みすず書房)で、第一次世界大戦は「二〇世紀の最初の災厄であり、他のあらゆる災厄はここから湧き出した」とまで書いている。パピニによれば、「大戦が襲来するや、国々は相次いで殆ど何等の思慮も懸念もなくその渦中に没入して、民を…
…十六編の様々な感想、書評、随筆などを収録した一冊だが、このような作家の随筆集が深澤索一の装幀、画、刻、摺といった手のこんだ函入造本によって刊行されていることは、そうした文芸市場がこの時代に成立していた事実を告げているのだろう。 しかもそこには『若い人』への言及は見当らず、「わが文学論」と「悪作家より」の中で、『麦死なず』にふれ、後者において、『文芸』が創作欄の全スペースにわたって、その四百八十枚を一挙掲載し、「悪作」「力作」の賛否を得たとし、「悪作」評についての反論をしたため…
…告げているし、それは書評紙や出版業界紙にも及んでいくであろう。 13.リンダ・パブリッシャーズが倒産、負債は3億4000万円。 この版元は未知だったので調べてみると、処女出版が『おっぱいバレー』で、本は読んでいないが、映画は見ている。このように映画の原作となる書籍の出版を手掛け、『恋する日曜日 私。恋した』や『99のなみだ』などを刊行していた。 またCCCのトップ・パートナーズの出資を受けていたが、ヒット作が続かず、資金繰りが悪化し、赤字決算が続いていたとされる。 (映画) …
…のような書物状況がそれを伝えていることになろうか。 15.これもまた「特集 ひん死の論壇を再生する」という『情況』(2018年夏号)が送られてきた。 年初に情況出版の大下敦史が亡くなっていたこと、また同号が第五期創刊に当たることを教えられた。 しかし特集の内容や、旧知の人たちが出たりしているのに、『出版状況クロニクルⅤ』への言及は見られず、結局のところ、ひとつの書評も現れなかったことになる。 16.論創社HP「本を読む」㉚は「中野幹隆、『現代思想』、『エピステーメー』」です。
…事は見られたが、例によって書評はひとつも出ない。これも現在の出版業界を象徴していることになろう。 また最近、鄭義信監督の映画『焼肉ドラゴン』を見てきたばかりだ。これも書評はまったくといっていいほど出なかったが、拙著『郊外の果てへの旅/混住社会論』と問題は通底していて、いずれ言及してみたいと思う。 まだ半年すぎたばかりだけれど、18年の映画ベスト1として推奨したい。 (『郊外の果てへの旅/混住社会論』) 今月の論創社HP「本を読む」㉙は「安原顕、竹内書店、『パイディア』」です。
…伏鱒二『多甚古村』の書評が収録されている。そこで河上は寒村の若い巡査の駐在日記である『多甚古村』を、「此の作者の近来の傑作」と評し、井伏のセンスについて、「その古風な無学な田舎者めいた扮装にも関らず、都会的で、文学的で、近代人の感覚」を有しているとし、日本的というよりもチェーホフやフィリップと同じ資質を見ている。 この『多甚古村』の単行本が手元にあり、裸本だが、『日本近代文学大事典』の書影には、その本扉が掲載されているので、確認してみると、まったく同じだった。昭和十四年七月発…
…の日記』(成文社)の書評が『産経新聞』(4/1)に掲載された。 プリーシヴィンはロシアの先駆的なエコロジストにして思想家であった。1990年代に、その初めてといっていい翻訳に際し、ロシア語版選集を彼にプレゼントできたことは本当によかったと思う。この『日記』の訳出もそれによっているのかもしれないからだ。 しばらく会っていなかったのが残念だが、心からご冥福を祈る。 18.植田康夫の死が伝えられてきた。 彼はいうまでもなく、『週刊読書人』編集長や上智大学教授、出版学会会長、4の本の…
…せ、新館案内、随筆、書評を掲載し、多くの読者を獲得していったのである。そうした意味において、書評誌の先駆けといっていいし、そこに斎藤の随筆が寄せられたことで、『獄中の記』の出版となり、ベストセラー化したのも、『東京堂月報』のアクチュアリティによるものと考えられる。だが斎藤に随筆を依頼した編集者は誰だったのだろうか。 しかしこの『東京堂月報』も、『獄中の記』刊行の翌年の昭和十六年に、国策取次の日配の発足とともに廃刊となり、書評雑誌『読書人』と改められた。これは戦時下の十九年に休…
…雄訳、昭和十四年)の書評が掲載されていたことを既述しておいた。生活社に関しては本連載131で創業者と設立事情、同578で雑誌『東亜問題』を刊行したことに言及しているが、「アジア内陸叢刊」というシリーズも出していて、『支那救荒史』もその関連書の一冊であろう。 (「アジア内陸叢刊」第3巻『蒙古と青海』) 実は「アジア内陸叢刊」の一冊を入手していて、それはその4に当たるデニスン・ロス、ヘンリ・スクライン著、三橋富治男訳『トウルケスタン』である。二人の著者は英国人で、ロスはロンドン大…
…その時代に関しては、これ以上私が贅言をはさむより、岡崎英生の『劇画狂時代』(飛鳥新社、2002年)を参照されたい。 18.「出版人に聞く」シリーズ番外編としての鈴木宏『風から水へ』が『週刊文春』(9/21)の鹿島茂の「私の読書日記」において、好書評を得た。 また産経新聞(10/1)の読書欄には著者インタビューも掲載予定。 私も論創社のHP「本を読む」20で、「『風から水へ』と同人誌『はやにえ』」を書いているので、読んで頂ければ幸いである。ronso.co.jp 以下次号に続く
…雄訳、生活社)の長文書評が高橋勇次と吉川美都雄によって寄せられているが、この二人の紹介はないので、先には挙げなかったことを付記しておく。 このような執筆者メンバーと本連載120や160の平野義太郎の存在を考えると、日本内地のアカデミズム、東洋文庫、満鉄調査部、満洲建国大学、東亜同文書院、それに加えて転向左翼が一堂に会し、支那事変を背景とした新たな「東亜学」の確立が目されたと推測できる。それをバックアップしたのが日光書院ということになる。その事実を示すように、巻末ページには「新…
…ポスト』創刊の頃から書評コーナーを担当し、その書評は一世を風靡したといっていい。それは近年まとめられた『ポスト・ブックレビューの時代』(右文書院)にその一端が示されている。 そしてまた「高校生新書」には藤井夏の『若者たち』も収録され、裏表紙に「これはテレビ・ドラマ『若者たち』を小説化したものです」との断わりが書かれている。『若者たち』は昭和四十一年に山内久シナリオ、森川時久演出により、フジテレビで放映されたが、その社会批判的内容ゆえに打ち切られ、それが昭和四十二年からの映画『…
…、新聞に広告や紹介、書評などが出始めると、日を追う毎に「盛り上がるように人気が沸騰して行った」。そして六月末には二十万部を超える売れ行きに達したのだった。ところがである。七月になって、小山書店に「大勢の警官が物々しいいでたちで、しかも大型のトラック用意で、やって来た」。「家中を引っかき廻して」しかし押収できたのは七、八十冊の在庫本と帳簿だけだった。だが警視庁は暁印刷所も捜索し、紙型を押収していたし、小山へも出頭通達も出されてきたのである。そして起訴され、二十六年五月から「チャ…
…タレイ夫人の恋人』の書評が収録されている。これはその刊行年と同じ昭和十年の号は不明だが、『新潮』掲載の河上徹太郎によるものである。河上はこの小説が「正しく精神の強者の文学」で、「作者は現代といふ時代の性格からその代表的人物を割り出し、之を理念でも救はず感傷にも堕せしめず、斯々の人間が生きてゐなければならないといふ自分の強い念願で以て歩かせて見たもの」と評している。ここにはまだ『恋愛論』が未刊行なのに、『恋愛論』を通じて読まれた『チャタレイ夫人の恋人』についての優れた書評である…
…7号、37年7月)や書評などを執筆したほか、37年12月唯物論全書第3次刊行書の1冊として、精神病を系統的・カテゴリー的に研究概観した入門書『精神病理学』(三笠書房)を刊行。戦後、46年、ロマンス社社長として出版界へ進出。50年まで娯楽雑誌『ロマンス』『映画スター』などの月刊誌を発刊した。 ここに式場が唯物論研究会に参加していたこと、またロマンス社社長のことが語られている。。前者に関しては『精神病理学』の入手に至っていないが、「現代学芸全書」としてのラインナップを確認している…